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グラースの香水工房

・2007/08/10 15:48:51

グラースは世界的な観光地である南仏カンヌから車で30分程度ですので、香水の都グラースにも多くの観光客が押し寄せます。エルバ島を脱出したナポレオン軍がパリに戻る際に通ったとされるナポレオン街道。ナポレオン街道のアルプス越えの中にグラースがあります。

グラースは丘陵地帯に拓けた街。車道が丘陵をうねるように這う街です。もともとなめし皮産業で栄え、皮手袋工房が多かったのですが、グラース産皮手袋の競争力はその香り。なめし皮に伴う匂いをマスキングして、さらに素敵な香り付けでパリの社交界では御用達の皮手袋となりました。

この香り付けのために栽培されたハーブ類と採油技術、そしてそれらを調合する調香技術が、そのまま香水産業に移行するのが1700年代、オーデコロンという香水がフランスで人気を博す頃にはグラースは「香水の街」としてすっかり頭角を現します。前にもご紹介したランセ(ミラノのメゾンフレグランス)も、実はグラースのグローブメーカーでした。

グラースのことは以前に書いた香水の街、グラースってどんなところ?がありますのでこれくらいにしますが、実際現在では、昔のような広大なラベンダー畑やさざ波を打つミモザの畑は少なくなりました。

フランスの方々は猛烈な勢いで山道を飛ばしますのでグラースの丘陵はのどかなお花畑というより夜中まで自動車の轟音がこだまし合うにぎやかな街となりました。また産業自体、どちらかというとバイオなどのハイテク産業に移行気味の印象を受けます。

さて、観光でグラースに入るといやでも目に入るのが香水工房の大きな看板です。幹線道路のあちこちで見かけます。そして観光客が訪れる「香水工房御三家」がこちらです。「香水工房御三家」とは私がここで勝手に命名している呼び名であって一般的ではありません。

・Molinard(モリナール)
・Fragonard(フラゴナール)
・Galimard(ガリマール)

どうでしょうか?音のゴロ合わせがいいので覚えやすいですね。

他のヨーロッパ人と比較してフランス人の香りの嗜好性は日本人と比較的似ていると思うのですが、グラースの「香水工房御三家」だけでなくプロバンス地方の化粧品メーカーには全体的に、それにプラスして日本人好みのナチュラル感が漂うところが多いように思います。

グラースには御三家以外にも香水メーカーはありますし、また近年生まれた香水工房もそれなりあるようですが、まずはこの3社が目立つ会社さんではないでしょうか?

●1849創業のモリナールは、フローラルウォーターやコロンなど当時グラースで栽培されていたハーブや花を使用したアロマ系のフレグランスから成長してきた会社です。1860年、お花そのままずばりの「ジャスミン」「ローズ」、そして「ミモザ」「バイオレット」などをバカラのクリスタルボトルに入れてリリースします。

1900年代になるとアール・デコ時代の著名なガラスデザイナー、ルネ・ラリックに作品依頼を行うなど伝統的に芸術性の高い製品制作に定評のあるパフューマリーです。南仏の香料を使用したシングルフローラル系の香りを伝統的に大切にしたきたところに私はちょっと心寄せます。創業以来160年、今日でも意欲的に商品開発をされています。

●フラゴナールは日本でも展開されていましたのでよく知られているパフューマリーです。フラゴナールの「練り香水」は、パッケージのかわいさもあって全日空国際線の機内販売で驚異的な売上げを記録しました。そのことから全日空商事さんが日本導入を決意されたという伝説の会社さんです。個人的にはヨーロッパ産ながら日本人の感性にも合う商品作りに好感が持てます。

フラゴナールの創業は1926年。モリナール、ガリマールと比較すると新しい会社さんです。フラゴナールは、グラースの最も中心市街に香水博物館を所有し、グラース観光のほぼ必須コースに組み込まれていることでフランス国内だけでなく世界的に有名なパフューマリーです。新しい会社さんだけにモリナールに漂う頑固さよりは最新の設備や現代的なマーケティングで消費者の心をがっちり捉えるところに特徴があるかもしれません。

●ガリマールの創業は1747年。260年の歴史。老舗ですね。グローブメーカーからパフューマりーに転向した会社さんなので、グラースの歴史をそのまま具現したかのようです。ガリマール社はグラース中心部ではなく郊外にあるため個人ではやや行きにくい印象がありますが、なぜか調香体験や工場見学のツアーに熱心なようです。残念ながらガリマールさんには行ったことがなく情報も不足しているのでこれくらいにしておきます。

後日談・・・あ、と気づけば新宿高島屋さんでガリマールの調香サービスが行われていました。こんなところで・・・

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