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( 香水工場の )

香る生活


ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
自分で確かめるしかないワインと香水
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・ワインと香水:どちらも賞味期限が明記されない。

多くの食品には賞味期限が記載されています。しかし、昔から食品とは自分の目と鼻と舌で、その痛み具合を知り「食べるべきか捨てるべきか」判断しきたものでした。動物としてそれは自然な姿でしたし、備えるべき能力でした。お腹をこわす失敗をしながら学びます。

しかし、賞味期限が食品に制度上明記されるようになって、どうも私たちは自身の感覚(味覚・嗅覚)で食べ物の安全を確かめる手間を省くなった、と主張されている人がいました。その方によると「賞味期限」という指標自体が食品の買い換えを促す政治的陰謀の賜物とも。その真偽は別として、現在多くの食品で賞味期限が表記されています。

ところが例外もあります。その一つがワイン。

賞味期限が記載されたワインも、世界のどこかにはあるかもしれません。しかし、普通のワインなら底面からてっぺんまで眺めて賞味期限や消費期限の日付刻印は見つからないはず。日本の食品衛生法では表記しなくてよいことになっています。

酒造メーカーの政治的圧力による結果ではありません。世界中でワインの賞味期限表示を義務づける国はおそらく存在しないでしょう。設定が不可能だからです。

ワインは、生鮮食品と比較すれば腐敗したり劣化したりするスピードは落ちますが、かといって劣化しないわけではありません。酸化もしますしカビが生えたり腐敗する可能性もあります。しかし、その時間設定は不可能であり事実上、飲む人が自分の「目と鼻と舌」を頼りに自分で検査・検知するしかありません。

ワインは、瓶詰めの後にも熟成が進みますので、やはり飲み頃があります。程よい熟成期間はブドウの種類やワイン製法によってワインごとに違うと思います。時期を間違えて「多少味がおかしいが、飲むか」とリスクを取るチャレンジャーも多いのではないでしょうか。そういう判断も私たちの選択です。

一方の香水。香水も同じく賞味期限が表記されることは希です。

香水はいっさい劣化せず永遠に使える訳ではありません。酸化もしますし揮発もします。容器も使えなくなるでしょう。また、香水成分の違いによっても使用可能な期間は変化しますし、同じ香水でも個体差があったり、保存状態が違えば当然劣化のスピードも違います。

しかし、香水の液体自体は腐ったり極度に変質したりすることはかなり希です。「タンスにしまい込んでいた30年物香水を試したがOKだった」という投書をいただいたことがあります。もっともその30年物は容器が固まって物理的に使えない状態だったとのことです。100年前の香水を試して使えたという話も聞いたことがあります。

このように実情から判断すると、香水に賞味期限を設けることは実情に合わないとされます。また、強引に賞味期限や消費期限を設定し、顧客の買い換えを促そうというきわどい政治圧力はいまのところ香水業界にはないように思います。

(続く・・・)

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(2009-06-18)
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