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( 香水工場の )

香る生活


漂うユリの香りとユリ香水

お日様臭の夏


いやー昨日は日本中すごい猛暑でしたね。東京ではあまりの日差しの強さに街中が「お日様臭」(*1)で満ち満ちていました。


(*1)「お日様臭」とは、私が命名した太陽の香り。一般用語ではありませんので念のため。日光に照らされた洗濯物の香りやオゾンの香りを含む太陽光&紫外線で焼かれた大地のニオイ。


猛暑になった瞬間から海水浴へ心がそそられます。海辺にお住まいの方々がうらやましい。目の前が海岸だったら楽しそうです。


東京都の秘境・奥多摩


私が住んでいる武蔵野は海岸から程遠く海にでるには不便です。しかし、このエリアには東京都の秘境・奥多摩があります。

奥多摩の清流は驚きの透明度。で、泳げるかというとこれが夏場でも卒倒しそうなくらい冷たいので滝行のような厳しさ。泳ぐ人は多くないようです。


猛暑でも元気なユリ


さて、こんなに暑く湿度が高く、まるで熱帯雨林のような気候の中では人間はバテますが、むしろ元気に咲く花がユリです。

早い品種では5月くらいから咲いていますが、6月には会社近くの道路や民家の庭先にドーンと大柄の花を咲かせていました。

自宅近所の道ばたに毎年花を付けるユリはどんな炎天下でもものともせず毎年純白の花を付け、行き交う我ら町民の目を楽しませてくれます。

もちろん、私の場合は人目を忍んで香りを確認します。

その香りは、言葉を失う甘さ。優雅さ。そして官能的な艶めかしさ。


ユリの甘美な甘い香り


品種はテッポウユリかタカサゴユリと思われます。香りはカサブランカほどにはパワーはありませんが、ユリ特有のねっとりした甘さは共通しています。


ユリの香水、裏話


ユリの甘い香りには好き嫌いが別れるのですが、日本では比較的好まれます。

当社もフローラル・フォーシーズンズ「百合」という香水を出していますが、開発中は調香が難航し製品化に苦しみました。

苦しんでいる間も多くにお客様に「ユリの香水出して」というリクエストを何度もいただき、引っ込みが付かなくなったという裏事情も思い出します。

余談ですが、調香の苦しさ余り外部調達も視野に入れて、フランスのパフューマーにユリの香りの調香を打診したことがあります。

しかし、「あんな香りのどこがいいのだろう?」といった意見もあって、ヨーロッパではユリの香りは好まれない雰囲気を感じユリの香りに対する需要の温度差を感じました(*2)。


(*2)しかし、ユリの香水は、ヨーロッパブランドも何社か製品化しているところがありますので、まったく需要がないわけではありません。


熱帯雨林系の花の甘い香り


ユリの甘い香りが素敵に感じられるのは健康な人だけで、病院では嫌われる花です。確かに具合が悪いときは近寄りたくない香りです。

受け止めるにはちょっと重すぎる香り・ニオイです。

一般に高温多湿な熱帯雨林系の気候の元で咲かせる花は、こってり甘いものが多いようです。

イランイラン、ジャスミン、バニラ(あ、すみません。バニラの花には香りはなかったですね。あるのはバニラビーンズの方です)など。

熱帯雨林系の花の香りは、乾燥系の花、たとえばラベンダーなどと比較すると、やはり熱帯雨林系花々の香りの甘さが際だちます。

日本に、熱帯雨林の季節が訪れました。湿度と暑さに負けないよう香り高い香辛料多目の食事でこの夏も乗り切りたいと思います。


(2010-07-19)
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