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( 香水工場の )

香る生活


香水「摩天楼」・・パチュリとは?

パチュリとは? シソ科の植物


パチュリを理解する上で、まずは押さえておきたいポイントは、パチュリがシソ科の植物という点です。見た目もシソにそっくりです。

シソ科植物は香りの世界では、モンスター級のバケモノです。いや、失礼。そんな荒々しいイメージでなく「香りのクイーン」とでも表現しておきます。

とにかくシソ科は、3500種もの大所帯ですが、香り高いハーブが多いこと特徴。香り業界はもちろんですが、それ以上に食品産業関係者、そして料理に関心ある人にとって目も覚める香味野菜のオンパレードです。

シソ科ハーブの一例あげてみます。これは香り高いシソ科ハーブのごく一例です:

・オレガノ
・セージ
・クラリーセージ
・タイム
・バジル
・マジョラム
・スペアミント
・ペパーミント
・ラベンダー
・ローズマリー
・レモンバーム

「ハーブが入らない肉料理なんて」というハーブ好きには唾液が出るハーブばかりでしょ?

みんなシソ科植物です。たとえば、ラベンダーなどは食品としてよりも香料として加工され、香水やトイレタリーの香りの原料になる比率が圧倒的に高いと思いますが、基本的に上記ハーブはすべて食品にも香料にも使えます。

このようにシソ科には、すごい香り美人がそろっていますが、パチュリは奥ゆかしくそれほど表舞台いでてきませんが、香水産業ではベースノート(ラストノート)を支える香料として大変重宝がられます。

ベースノートとは、香水をつけて香る香りの中で時間的に最後まで残る or 最後の方に出てくる香りをアバウトに総称した香りの遷移名です。

ベースノートには一般に、ヘビーで持続性がある香料が採用されます。動物性香料ならムスクがアンバーグリスが代表例でしょうか。

植物性香料なら、なんといってもサンダルウッド。そして、数日前にご紹介したベチバー、そして現在書き綴っているパチュリなどです。



パチュリの成分


エッセンシャルオイルに含まれる香り成分は、だいたいどれも数百種類含まれています。微量成分をどこまで計測するか、またはそれを計測可能な分析器があれば1000種類は超えることもあるでしょう。

しかし、特徴となる成分といえば1種類〜数種類。そのキーアイテムがそのエッセンシャルオイルの香りの特徴を決定していることがほとんどです。

パチュリと仲間の主成分は下記の通りです。

・パチュリの主要成分はパチュロール、パチュリアルコール(Patchoulol)
・ベチバーの主要成分はベチベロール(Vetivelol)
・サンダルウッドの主要成分はサンタロール(Santalol)

すべてテルペンと呼ばれるアルコール系の有機化合物で分子構造も特定されています。分子構造が特定されていますが、現在の技術では化学合成できるもので、そでないものがあります。

とくに需要が高いのに、確実に枯渇が見込まれるサンタロールの化学合成は香料会社の夢しれませんね。パチュロールは合成できる模様で商品化されております。

パチュリのエッセンシャルオイルには、パチュロール以外、ほかにもたくさんの成分が含まれていますが、自分で測定したわけでないので、詳しいことは省きます。

一点だけ、「パチュレン」という成分も含まれている模様です。ネーミングからしてパチュロールと同じ分子構造で、OH基がない炭化水素系の芳香物質と思われます。

よって、パチュリとパチュリの香りたらしめる特徴的成分は、パチュロールとパチュレンではないかと思われます。また、パチュリのエッセンシャルオイルの品質はこれらパチュロールとパチュレンの含有比率によって上下すると思われます。

天然物なので平均的含有率なんてまったくあてになりませんが、パチュリにおけるパチュロール&パチュレンの含有率は10%〜60%程度ではないかと推測しています。


パチュリの精油の話


私自身、パチュリの蒸留に立ち会ったことがありません。実際の工場や現地での作業経験もありません。

インターネットではウソの情報が多いので本当は生産者に直接聞かないと危ないのですが、英語wikiサイトに「最上のパチュリ精油精製法」について書れています。文献からの情報でとりあえず信頼できるソースと感じます。が、真っ二つな意見です。

精油の採取方法はいくつかありますが、もっとも有名な方法は「水蒸気蒸留法」という手法です。これはごく簡単に言えば香料植物を水とともに釜ゆでにして、その水蒸気を冷却することで精油を得る手法です。

水蒸気には気化した精油が含まれますので冷却水は精油が上に浮き、水は底に沈みます(この水はフローラルウォーターと呼ばれます)。

このように水蒸気蒸留法は仕組みとしては非常に単純明快ですが、高いクオリティの精油を最大効率で採取するためには職人芸的なノウハウがいっぱいあります。

香料植物は収穫した後すぐに蒸留するのか、それとも乾燥させて行うのか、水と香料植物の配合比率は?最適な蒸留時間は?・・・

・パチュリ精油は水蒸気蒸留法によって採取されます。

・水蒸気蒸留は、そのままか、軽度の発酵の後、もしくは乾燥した後に行われます。

・パチュリは年数回収穫されます。

・輸出先で水蒸気蒸留される場合、多くは刈り取り後乾燥されます。

・しかし、畑近くの工場で刈り取りした葉をすぐに水蒸気蒸留にかけたパチュリ精油が最上のパチュリ精油と主張する意見があります。

・一方、乾燥し発酵がすすんだ状態で水蒸気蒸留にかけたパチュリ精油が最上という意見もあります。

Patchouli(Wikipedia)
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Extraction of essential oilExtraction of patchouli's essential oil is by steam distillation, requiring rupture of its cell walls by steam scalding, light fermentation, or drying.

Leaves may be harvested several times a year, and when dried may be exported for distillation. Some sources claim a highest quality oil is usually produced from fresh leaves distilled close to where they are harvested;[2] others that baling the dried leaves and fermenting them for a period of time is best.[3]

2.^ Grieve, Maude(1995) A Modern Herbal [1]. 2007
3.^ Leung A, Foster S Encyclopedia of common natural ingredients used in food, drugs and cosmetics John Wiley and Sons 1996
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パチュリの産地


インド原産と言われ、現在でも東西インドで栽培されています。亜熱帯地域に広範囲に生育可能でインド以外では、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、西アフリカ、モーリシャス、パラグアイなどが主産地となっています。

パチュリの北限を調べましたが不明です。家庭用ハーブガーデンなどで「これがパチュリか」と見かけたことがありますので、日本でも栽培可能と思われます。

少なくともパチュリの精油産業としては成立不可能と思われます。もし精油目的でパチュリ畑を運用されている個人や企業さんをご存じでしたらお知らせください。取材を申し込みたいと思います。



パチュリの歴史


パチュリはインド原産とwikiに書かれていますが、アーユルヴェーダに記載があるなどの情報がなく、どれくらい以前から人々の生活に使用されてきたのか、どんな風に利用されてきたのか不明です。

しかし、インドでは伝統的に虫除けに利用されていたと言われいます。ベチバーも虫除けエッセンシャルオイルとして有名ですが、要はエッセンシャルオイルはだいたい虫除けになります。

もともとそういう目的で植物が作り出すオイルですので、エッセンシャルオイルで虫除けにならない方が珍しいかもしれません。

インドではカシミヤやシルクといった高価な織物の保管に乾燥させたパチュリの葉が防虫剤として利用されたそうです。

18世紀〜19世紀、中国から輸入されるシルクには、蛾の卵よけに乾燥パチュリが包み込まれていたそうです。

それは実用上の理由だったと思われますが、結果的に高貴なシルクにはパチュリの香りが漂うことから、ヨーロッパでは、パチュリはオリエンタルなイメージだけでなく「高価でラグジュアリーなイメージ」の定着に役立ったそうです。

シルクだけでなく、希少な高級毛織物であるカシミアも同じく乾燥パチュリが防虫剤としていっしょに包み込まれ輸入されたっため「パチュリの香り=ラグジュアリー」はいっそうイメージ形成を強固なものにしたと思われます。

現代風に言えば、「パチュリの香り=ラグジュアリーブランド」のイメージですね。

当時世界的な覇権国家であったイギリス・ヴィクトリア朝では、タンス(イギリスの場合は、チェストと呼んだ方がいいんですかね)の防虫剤に乾燥パチュリが利用されたという記録があるそうです。パチュリは、王家御用達の防虫剤ということですね。

また、これもwikiさん受け売りですが、60年代〜70年代には、ピッピーたちに大麻のニオイ消しに、パチュリが大流行とのこと。どういうふうにニオイ消しに使用されるのか知りたかったのでが、その方法は記載ありませんでした。

なお英語wikiさんには、日本では毒蛇に噛まれたときの解毒剤(antidote for venomous snakebites)として利用されてきたという記述がありました。

毒蛇の解毒剤?聞いたことはないですが、パチュリは、現代ではあまり聞きませんが、実は日本でもポピュラーハーブだったかもしれません。




【製品販売サイト】
2011新作香水「摩天楼」Skyscraper(都会のクールなローズ&パリュリ)

※この記事は「パチュリとは?」
香水「摩天楼」・・ローズ&パチュリの力
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(2011-05-07)
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