和香水ワークス
まだアイデア・レベルで書くべきか迷いましたが、新製品リリースのピッチを上げたいという試行錯誤の話。お読みいただく方は飛ばし飛ばしで (2017/10/04 国分)

和香水ワークス
(和香水ワークス:まだアイデアレベルなので、ボヤーッとしたイメージ写真にしました)


100年以上続く商品は凄い


世の中には100年以上、存続している商品があります。

たとえば、メンソレータム。私が勝手に "先輩"(ベタガードの先輩)と呼ぶモンスタラスなハンドクリームです。ワセリンにメンソールを配合したシンプルな製品です(1894年発売)。

他に、たとえばアスピリンも100年越え。1899年発売のドイツ・バイエル社の医薬品。現在の医薬品基準なら強い副作用ゆえ認可されないかもというこの痛み止めは、二度の世界大戦を超えてきました。

これらの驚くべきは、売れている本数より「100年以上売れ続ける」という長寿ぶり。


企業が本当に欲しいものは長寿商品


企業の商品開発者やマーケターにとって究極の商品とは、大ヒット商品より長寿商品と私は信じます。

大ヒット商品もありがたい話ではありますが、ネガティブな面も多大です。それで「ヒット商品は不要、長寿商品こそ重要」と言い切る経営者もおられます。

「ロングセラーになるための条件は?」は、企業にとって大きなテーマですが、実践となると、これがなかなか。

とくに商品のライフサイクルが短くなっている現在では、長寿商品を人為的に生み出すことは至難の業です。


香水の長寿性


香水はどうでしょうか?

「名香」と呼ばれて100年続く製品もあります。具体的な商品名はここではひかえますが、実は香水の場合、長命の製品は、中身が原型をとどめないほど変化しているケースが多いでしょう。

どんな長寿商品でも成分やパッケージは、その時代の嗜好や規制に合わせて変化しますが、中身が、あまりにも変化すれば、それが存続しているかどうか、意見は分かれるところです。

「名前さえ残っていれば存続している」という意見もあれば、中身があまりに変化すれば名前が残っていても「存続しているとは言えない」という意見もあるでしょう。

香水は、法的規制・政策上規制(自主規制など)と原料の安定供給の点で、中身が変化しやすい製品で、物理的な長寿性はやや弱いのですが、ブランド名の長寿性は強い点が特徴です。


短命化が進む商品のライフサイクル


現代は、すべての商品において短命化が進んでいます。どんどんアップデートを繰り返すソフトウエアなどはその典型ですよね。

たとえば、スナック菓子の場合、日経ビジネスさんの統計によると、日本におけるスナック菓子の年間・新製品投入総数は1,000品目。

すべての商品がコンビニや大手スーパーの菓子棚を狙っているわけではありませんが、激戦を制し、狭き門であるコンビニやスーパーの棚の勝ち取ったとしても、そのほぼすべてが、一週間から一ヶ月程度で敗退し、棚から撤去されます。

コンビニの棚に居座れる菓子は、もはや半世紀も前から市場を制覇した定番しかないとも言えます。

こうなるとハナから定番化は断念し、消費者を飽きさせないためだけのワンショット・ワンロット商品でかまわない、むしろそれを前提に新製品をリリースすることも珍しくありません。


いろいろ出して「その中から」という発想


様々な商品を矢継ぎ早に出して、マーケットの反応を確かめつつ、反応が良い商品だけを選別し、本格的な商品化ラインに乗せるという手法。

これが今風の商品開発のトレンドかもしれません。そして、その選抜された商品だけを息の長い製品へと成長させたいという方式です。

これは良いこと? 悪いこと?・・・様々な意見があると思います。

目まぐるしく「出ては消え、出ては消え」を繰り返しますので、節操がない、ポリシーがないとも言われそうです。

一方、いろいろな製品を消費者は試せるし、企業側はいろいろな選択肢を実際のマーケットで試せるというメリットもあります。

企業側だけの思い込みで製品を「ああでもない・こうでもない」と考えるより、とりあえず出してみる、そして、市場の判断を仰ぐ、というスタイルもありかなと思います。


正式な製品化はごくわずか


前置きが長くなりました。実は、当社も同じ悩みを抱いています。

こんな小さな当社でさえ、いろいろな香水の試作を行っています。その中で製品化できるものはごくごく一部です。

製品化となると製品だけでなく、パッケージのデザインと制作、法的な手続き、安全性の検証、アナウンスと場合によって広告、説明書などの制作など、カネ・体力・時間を要します。

なので製品化となるとスピーディにドンドンとは行けず、新製品リリースは遅れ、種類はごくわずかとなります。


香水の大ブランドの場合


香水の世界的なブランドさんの場合は、どうでしょうか?

さまざまなブランド・ポリシーを持ったブランドさんが存在しますので、一言では言えませんが、資本主義型の大ブランドさんの場合は、次のような感じです。

一つの製品をリリースするにあたり、コンセプト作成から数十種類の試作、フォーカス・グループ・テスティング(モニターテスト)まで数年。

開発費用は10億から20億円とも。彼らが目指す製品は「ブロックバスター」、全世界を制覇する単一のモンスター商品です。

重要な点は、多品種ではないこと。理想は"単品"、多くて数種類でブロックバスターになることが条件です。

ブロックバスターのもともとも意味は、第二次世界大戦中に英軍によって開発された大型爆弾、街をエリア(ブロック)ごと吹き飛ばすためそう呼ばれました。

現在では、マーケティング用語として圧倒的破壊力がある製品に対して呼ばれます。

当社にはブロックバスターを生み出せる体力は、あるはずもないし、その気もサラサラありません。当社に似合う製品プランは、少量多品種。その多品種のリリースが厳しい点が私の悩みです。


スピーディに様々な製品をリリース


当社は、吹けば飛ぶような企業ですが、反面、フットワークの軽さはメリットです。大企業さんより有利な小回りを生かして、スピーディな新商品展開をできないかなと模索中です。

プランがある製品に関しては、ある程度スピーディに製品化し、早めにお客さまにご意見を仰ぐというスタイルもありではないかと感じています。


「和香水ワークス」プロジェクト


正式な製品化の各ステップとその負荷を徹底的に見直し、新製品リリースのための統一したプロセスで、より短い時間でリリースしていきたい。

このスピーディな新商品リリースのプロジェクトを「和香水ワークス」と命名しました。

和テイストな香水を作っているイメージを出すために「和香水」という言葉を選びました。「ワークス」は工場やそこで働くチームという意味です。


和香水ワークスの前例「SUMMER」


実は、この夏限定リリースした『SUMMER』は、スピーディな商品リリースの一つの実験的な製品でした。

比較的好評で、「和香水ワークス」プロジェクトの一つの契機となりました。

  • (2017-10-05)
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