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( 香水工場の )

香る生活


蒸留のいろいろ
花の精油は、水蒸気蒸留法という手法で採取するものが多くありますが、蒸留から生まれる産物は、精油だけではありません。

今日はいろいろな蒸留の事例を書いてみました:


原油の蒸留


ドロドロの黒い原油を見たことはありますか?私は実際この手で原油をすくってみたいと願いつつテレビでしか見たことがありません。

あの真っ黒な地球のエッセンスからはガソリンなどが精製されます。その精製方法が蒸留です。

蒸留することで揮発性の高い順に、LPG(液化石油ガス)、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油などが精製されます。

巨大な石油プラントは実は巨大な蒸留機や脱硫機だったりします。

石油には複雑な税金や利権が絡むため不法蒸留や不法配合など、小さいニュースながらときどき聞こえてきます。


工業用アルコールの蒸留


戦後の闇市ではバクダンが流行りました。工業用アルコールは元来人が飲むことを想定していませんし、実際飲めませんが、中にはエタノールにメタノールを混入しただけのものがあります。

エタノールならOKというわけではありませんが比較的飲める可能性が高いものが多いため沸点の違いを利用してメタノールを飛ばして(これは蒸留とはいえませんネ)できた密造酒がバクダンです。

密造酒にもいろいろあるのでしょうが、メタノールを含有したものは危険です。メタノール(メチルアルコール)は「毒物及び劇物取締法」で劇物として指定されています。

精製度合いが悪くて失明や亡くなられた方がたくさんおられました。

米国の禁酒法時代や経済混乱が続いた90年代のロシアでも同様の問題が発生しました。


麻薬の精製


ケシの実や茎を傷つけると白い液体がでてきます。白い液体には幸福感があるものの依存性が強い(麻薬性がある)アルカロイド成分が含まれます。

子供の頃、近所の空き地にケチの花が群生していたのでケシの乳液で遊んだものです。

乳液を集めて乾燥させたものがオピウム(アヘン)です。アヘンからはモルヒネが精製されますが、この精製方法が水蒸気蒸留法による蒸留です。

さらに精製したものがヘロインらしいですが詳しくは不明です。

世界の紛争地では手っ取り早い現金収入としてケシの花が栽培されるケースがあります。たとえばアフガニスタンは現在世界で流通するヘロインの90%を産出するそうです。

医薬品と麻薬には紙一重の違いしかありません。

医薬品としての圧倒的なパワーを考えれば麻薬を否定できるものではありませんが、一般の私たちには近寄りがたい領域です。

アフガニスタンの丘陵では、ケシ畑をバラ畑に変えローズオイルによる現金収入の道を模索する政府やNGOの地道な活動が続いています。
(2007-06-27)
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