Home > ブログ
リスト表示 | (edit)
( 香水工場の )

香る生活


紫外線の功罪

日焼け大会


小学生の時、夏休みが終わると恒例の「日焼け大会」なるものがありました。

夏休みの間一番日焼けした生徒がクラスメイトの投票で選出されるという余興ですが、腕白盛りだった私は上位を狙える方で得意の絶頂にありました。

今は昔。

このようなほほえましい光景も一部の父兄からは、今時はクレームとなりかねません。

「焼けた肌は健康の証」なんていう常識は消滅しました。


常識は変化する


毎年海岸で肌を焼いていた知り合いの中年女性は「私の青春を返してほしい」と冗談を飛ばしていましたが、そのとき焼いたシミはもはや消えないかもしれません。

太陽光は紫外線を含み今やシワ・シミ・たるみなどの老化や皮膚ガンの原因とされる時代です。

神経質になるのはどうかと思いますが、紫外線によるDNAや細胞内のタンパク質破壊作用が簡単な実験で確認できる以上、それだけパワーのある光であることは認識したほうがよいかもしれません。


電磁波とは?


ところで、光とは電磁波の一部です。電磁波とは、私の理解ではエネルギーが移動する際の形態を指し、それが波動状であるため「波」と呼ばれると考えています。

電磁波は短い波長から長い波長まで連続的な波長(=スペクトル)で存在しますので、ある程度の幅で人為的にブツ切りにしてそれぞれにネーミングが付けられています。

携帯電話、テレビ、ラジオの「電波」、太陽光の可視光線(「光」)、紫外線、X線、ガンマ線など。

この中で人は可視光線を目で見ることができ、赤外線を肌で暖かさとして感じることが出来ますが、その他すべての電磁波は感じることも見ることも聞くこともできません。


紫外線と放射線


さて、今日のテーマの紫外線。紫外線の波長は10−400nm(ナノメートル)。400ナノメートルを少し超えると人が感じることができる光になります。

しかし、10ナノメートル以下になるとX線になります。X線以下はX線も含め「放射線」です。

「放射線」と聞いただけでパワーが感じられますが、実際放射線は危険です。可視光線を浴びることは「日光浴」ですが、放射線を浴びることは「被曝(ひばく)」です。


医療被曝


日本では、ガンの原因の30%はX線など健康診断や医療による「医療被曝」による、というニュースが数年前新聞紙上をにぎわしていました。

その真偽は不明ながら政府が児童の健康診断からX線を除いたことはやや遅すぎという印象を多くの専門家に与えました。

大人の健康診断からもX線撮影は除くべきですが、いかんせん巨大な利権が絡む健康診断マーケット、事態は複雑です。


紫外線はさらに3種類に分類


紫外線は「放射線」と「光」の間にある幅のある電磁波ですので光に近い方は比較的安全ながら、放射線に近い方はそれなりに要注意です。

そこで危険度の違いから紫外線は「紫外線A」「紫外線B」「紫外線C」と3種類に分けられます。

放射線に最も近く破壊力がある「紫外線C」は、地球のオゾン層によってブロックされ地表に到達しないということになっていますが近年ではオゾンホールが拡大しており将来は不明です。

「紫外線A」は肌を黒くする作用(サンタン)がありますが、可視光線に近く破壊力は紫外線の中では弱い方です。

日焼け(サンバーン)を起こさせる紫外線が「紫外線B」です。

紫外線を浴びると人のカラダは生体防衛反応としてメラニンを生成するためシミなどの原因にもなりかねません(シミとは、生成されたメラニンが分解せず色素沈着を起こす現象)。

しかし、本来メラニンの生成は紫外線から身を守るための自然な防衛反応ということができます。


健康に欠かせない紫外線


「B」に比較すると「A」の方が安全ですが、「A」は皮膚浸透力が「B」より高いため皮膚内部で作用する恐れがあります。結果的に「A」「B」「C」全部危険と考えた方がよいと思います。

市販されている紫外線計測器は一般に「紫外線B」〜「紫外線A」の範囲を測定範囲としています。「紫外線C」以下は検知できませんので、心配な方は放射線を検知するガイガーカウンターで検知や測定しましょう。

ところで、日光に含まれる紫外線を浴びることで、体内にビタミンDが生成されます。これはカラダの免疫力を上げる働きがあるそうです。統計的にも紫外線を浴びやすい地域に暮らしている人とそうでない地域間では、ガンの発症率が反比例するデータがあります。

高地の紫外線は強い


最近、ある打ち合わせで中国奥地のバラ畑の写真を見ました。高山の丘陵を利用してバラ栽培が行われているのですが、そこで働く山岳民族の人々の肌のハリのなさに驚きました。

おじさん達の顔や手足の筋肉は、黒く痩せている印象を受けます。

高山では紫外線強度が低地より強力ですので、おそらく高山に降り注ぐ紫外線の影響もあるのではないかと内心感じました。白内障の方は多くないですか?と聞いてみましたが、それは不明とのことでした。

高山ではUVカットサングラスが有効だそうです。ただし、単に暗いだけのサングラスは、瞳孔を開かせるので、紫外線をいっぱい取込み、むしろ危険かもしれません。

(2007-06-29)
search
月一メルマガ

TOP