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( 香水工場の )

香る生活


マスマーケットに向かうラグジュアリー1
ブランド論といえば堅苦しくなりますが、メーカーである私たちにとって「ブランド」という考え方は次第に避けがたい考え方になっています。

「良いモノを創って売る」という行為がすべてだったはずの製造業は、現代では物理的な実体として存在しないブランドというエンティティが実体以上の価値と存在感を発揮する時代です。

ここでいうブランドとは、ラグジュアリー・グッズを展開する世界の高級ブランドさんの商標を指しているのではなく、世界のトップ企業から町の工場、近所の自営業のお店まで、すべてのビジネスに共通するビジネス・アイデンティティ。

大企業から自営商店まで「ブランドとは?」「ブランド構築方法は?」「ブランドであるためには?」「ブランドの維持方法は?」「ブランドたること」について悩まされないメーカーやショップ、商店、病院、芸人、サービス業のお店まで、すべてのビジネスシーンで今後さらに少なくなっていくかもしれません。

ブランドについて、その一部がかいま見られるおもしろい記事が米国の雑誌「フォーチュン」掲載されました。

テーマは「ラグジュアリー」ですが、ラグジュアリーとブランドの関係は、ブランドの何たるかがにじみ出ています。内容がネットでも公開されいますので、これをもとに「ブランドとは?」を私と一緒に考てみませんか?


Luxury goes mass market (cnnfn.com に掲載された記事、2007/08/30 ※オリジナルの記事は削除されている = robots.cnnfn.com/2007/08/30/magazines/fortune/mass_vs_class.fortune)

(マスマーケットに向かうラグジュアリー、大衆化するラグジュアリーマーケット)

Call it the age of McLuxury. The $220 billion global industry is racing to the top and the bottom at the same time. But can the world's most exclusive brands stretch that much and still keep their cachet? September 6 2007: 8:33 AM EDT

-------------(原文訳)--------------
「マク・ラグジュアリー」(プチ・ラグジュアリー)の時代とでも呼びましょう。25兆円規模のラグジュアリーマーケットは熾烈なトップ争いと同時に底辺を拡大中です。しかし、ブランドたるブランドがそんなに規模を拡大し、なおかつブランドたる威厳を維持できるのでしょうか?(2007/9/6)

ミラノのスカラ座近くにはValextraという皮革製品のショップがあります。そこの高価な旅行カバンは現代生活にはかなり不向きです。最低60万円というそのスーツケースには車輪がなく、ストラップも折り畳み式のハンドルもなく、飛行機にでも乗れば引きずってすぐに痛みそうですが、上質なクリーム色のレザーは見るからに超豪華。Valextraによれば「私どものスーツケースは、プライベートジェットで旅行されるような方々に最適なようにデザインされています」とのこと。

「ラグジュアリー」を定義してみましょう:美しく仕立てられ、不快なほど高価で、恥も外聞もなくエリート主義といったところでしょうか。

そういったものを所有するということはお金の問題だけでなく社会階級の違いも意味しました。

ラグジュアリー商品は、客の品定めをしてからでないと商品説明を始めてくれない近寄りがたい店員、だいたい白い手袋をしていますが、そんな連中によって販売されていたものです。


しかし、このようなラグジュアリーは現在では例外的です。ラグジュアリーはもはや大金持ちの特典ではなくなりつつあります。そういったラグジュアリーなモノを所有することで「自分は特別」と感じる喜びに余分なおカネを払うミドルクラスが増加しており、ラグジュアリービジネスはよりミドルクラスの領域に移行しつつあります。

ラグジュアリーの大御所、ディオール、カルティエ、シャネルはミドルクラスの熱望を満たすために商品ラインを拡大し莫大な収益を上げてきました。

しかも、拡張された商品ラインは伝統的なアクセサリーだけではありません。アルマーニがチョコレートを出したり、プラダはケータイを取り扱っています。

「私どもがお売りするものはハンドバッグではなく夢なのです」

とグッチのCEOは言います。(その夢はトランプと同じ1万円程度から買うことができる夢ですが)
-------------(原文訳ここまで)--------------

McLuxury(マク・ラグジュアリー)とは、造語と思われます。たとえば、McDonald(マクドナルド=ドナルドのせがれ)のように、Mcはアイルランド系の言語で息子の意味ですから、McLuxuryとは、日本語として「プチ・ラグジュアリー」くらいの意味でしょうか。

ラグジュアリー・グッズがどういうものか、自家用ジェットで旅行するような人のスーツケースを一例に説明されています。ターミネイターこと現カリフォルニア州知事のシュワルツェネッガーさんは来日の時、だいたいマイジェットでやってきますが、このような方々のお品物がラグジュアリーに違いありません。ちなみに小型ジェットは世界で1万機程度運行されているそうです。白手袋した店員の話は笑えます。原文では「glance at your shoes」(靴を見て客の品定め)とあります。ヨーロッパで高級ブランドショップに入る際は、靴はピカピカに磨いておく必要がありそうです。でないと体よく追い返されかねませんね。

ラグジュアリー・ビジネスがミドルクラスに向かう理由は明快です。深刻な階級差が見られない日本のような国は典型的なミドルクラス市場。真のラグジュアリーをターゲットにしていたら日本ではビジネスは成立しません。著者はラグジュアリー市場の拡大よりも、その拡大方法にやや疑問を感じているようです。

「売っているものは、夢」という考え方は大手ブランドさんに広く共通する考え方ですが、しかし、そこから「商品は夢なのだから、実際に売るモノは何でよい」という考え方にまで飛躍すると意見は分かれるでしょう、というニュアンスを感じさせます。

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Luxury goes mass market (cnnfn.com に掲載された記事、2007/08/30 ※オリジナルの記事は削除されている = robots.cnnfn.com/2007/08/30/magazines/fortune/mass_vs_class.fortune)

(Fortune Magazine) -- The next time you're waiting for your bags to arrive at O'Hare, ponder this: In Milan there's a leather goods store called Valextra, just down the road from the famed La Scala opera house, whose signature product is a line of exquisite luggage quite unsuited to modern life.

The suitcases, which start at about $5,000 apiece, have no wheels, no pull straps, no retractable handles. Most striking of all, they come in gorgeous white leather with a subtle creamy hue that would scuff instantly if checked onto a commercial airline. As Valextra sales assistant Martina Terazzi discreetly points out, they are best suited for people who travel by private jet.

This is what "luxury" used to mean: beautifully crafted, hideously expensive, and unashamedly elitist. Owning such items was not just a question of wealth; it was also a question of class. Luxury goods were sold in stuffy stores with intimidating personnel in white gloves who glanced at your shoes before deigning to show you their merchandise.

Today that's the exception. For the most part, luxury is no longer reserved for the spoiled rich. Increasingly it is the domain of the global middle class on an ego trip - people from Indiana to India prepared to pay a premium for the thrill of owning something that makes them feel special.

Luxury houses like Dior, Cartier, and Chanel have made fortunes by extending their product lines to cater to such aspirations. And we're not just talking about the traditional accessories. Armani sells chocolates. Prada has a cellphone. "We are not in the business of selling handbags. We are in the business of selling dreams," says Robert Polet, chief executive of the Gucci Group. (And at Gucci those dreams can come true for as little as $80 - the price of a box of playing cards.)
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(2007-09-18)
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