Home > ブログ
リスト表示 | (edit)
( 香水工場の )

香る生活


天然ワックス、ハゼの実
「ワックス」というコトバで何をイメージしますか?

床板を磨くワックス?自動車をピカピカにするワックス?スキー板やスノボーに塗り込むワックス?・・・

どれもケミカルなイメージがあります。実際ワックスの主成分として石油から精製されるパラフィンが使用されることも少なくありませんが、ワックスとはもともと天然物。

練り香水製品に多用されるミツロウ(蜜蝋)の英語名はビーワックス(Beeswax、ビーズワックスとも言います)。

英語名のとおりハチ(蜂)から採れるワックスです。正確には、働きバチのお腹の皮脂腺から分泌されるワックスがハチの巣内に蓄積されたモノで、巣を加熱して絞ったりして採取します。

ハチを殺すわけでないのですが巣を水炊きにするのはちょっと気がとがめますが、実際のところ環境的に循環型の産業になっているのでは?と期待しています。機会を見てミツロウの生産を行っている養蜂業者さんに取材に行きたいと考えています。

ところで、ワックスとオイルはどう違いのでしょうか?法律で決められた定義がありませんので慣用的な使い方として解説しますと、どちらも脂肪酸です。脂肪酸とは炭化水素化合物のことで、炭素(C)と水素(H)が鎖状に連続した物質です。常温での形状が液体の場合「オイル(油)」、半固体・半固形の場合「バター(脂・脂肪)」、固体の場合「ワックス(蝋・ろう)」と呼ばれます。脂肪酸は生命の原点でありエネルギーの塊です。

「ワックス」の日本語訳は蝋(ろう)です。蝋燭(ろうぞく)の蝋です。ロウソクって単に固形脂肪分を燃やしていたんですね。

「バター」は本来、動物性脂肪分、特に牛乳から採れる動物性脂肪分だけを指していましたが、海外で使用される「シアバター」や「ココアバター」などのネーミングが浸透して日本でも植物性脂肪分にも当てることがあります。ラードは、文字通り「脂」(あぶら)のイメージがあると思いますが、この定義から行けばラードも「バター」の仲間です。

練り香水の基材としては、安定性や製造のしやすさ・扱い安さを重視する場合石油系パラフィンワックスの使用がオススメですが、当社ではミツロウをメインに使用しています。

このミツロウをさらに日本古来の天然ワックスに置き換えられないかと試行錯誤を行っています。

天然ワックスって、何よ?現在検討中のワックスは「ハゼの実」から採れる「ハゼの実バター」です。

数人の人に予備知識なしで次のような質問をしてみました。

「『ハゼの実バター』で練り香水の制作を考えているけど、どう?」

ワックスをバターと呼んだ方が印象がいいだろうと予測して、一般的にはワックスに分類されるハゼの実の精製脂肪分をあえて「バター」と呼んで工夫しましたが、その部分は問題にならず、そもそも「ハゼの実」で問題が・・・

「サカナ?」

九州や四国の人なら起きない誤解ですが、東京では致命的です。東京では「ハゼ」は「魚」のこと。九州では、ハゼは紅葉よりも真っ赤に紅葉する「櫨(はぜ)の木」をビジュアルに感じさせるコトバです。

「ハゼ」で「魚」のイメージになってしまえば化粧品としては台無しです。

原料として行けるのか?

来週九州に飛んで実地調査をやってきます。

(2007-10-26)
search
月一メルマガ

TOP