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( 香水工場の )

香る生活


九州の櫨5 ハゼ蝋産業の半世紀
●ハゼ蝋(産業の半世紀

荒木社長にこの半世紀に起きたことをお聞きしました。筑後地方の地場産業として栄えたハゼ蝋(櫨蝋)生産は、昭和30年代から安価な石油製品に押され、さらに時を同じく進められた日本の貿易自由化政策によりミツロウなど海外産天然ワックスの流入もハゼ蝋(櫨蝋)産業を圧迫する要因となりました。

それまで筑後地方にいたるところに存在した蝋屋・蝋問屋は閉店・廃業、農家では櫨の木の伐採が続き現在では限られた所にでしか見られなくなりました。

安価な海外産のワックスに対抗するためにハゼ蝋(櫨蝋)の価格を抑える努力が進められましたが、結果としてハゼ蝋(櫨蝋)の品質は落ち、またハゼの実の買い取り価格が抑えられたため農家のモチベーションが下がりハゼの実生産自体が激減という負のスパイラルを描く事態を招きました。いったん伐採されたハゼの木を実を採取できるまでに復活させるには10年以上を要すると言います。

「これ以上のハゼの木の伐採は何とか食い止めたいと考えとります」

と話す社長さんの秘策はいろいろありますが、ますは日本にはハゼ蝋(櫨蝋)という世界に誇れる天然植物性ワックスが存在するという事実のPR。当日いただいたCDは、ハゼ蝋(櫨蝋)の生産過程をビデオ化したものですが、それもハゼ蝋(櫨蝋)PRの一環です。

農家から買い取るハゼの実は適正価格で買い取ること。

ハゼ蝋(櫨蝋)の品質は絶対に落とさないこと。

そして注力すべきところがハゼ蝋(櫨蝋)を用いた様々な商品の商品化です。

つまり、ハゼの木の生産から出口の商品化・販売まで一貫したサイクルを再構築することでハゼ蝋(櫨蝋)産業が再生すると考えています。荒木製蝋の本来の業務はハゼ蝋(櫨蝋)の生産です。ハゼ蝋(櫨蝋)という基材・素材・原料を生産することですが、荒木製蝋では工場の片隅をラボ(ラボラトリー、実験室)としてキャンドルや他の製品の消費者が手に取る最終製品の開発を行っておられました。

現在、世界では米国主導で「天然資源争奪戦」とも言える現象が勃発しています。米国や中国のファンドマネーが世界の天然資源を買い漁り、オイル市場だけでなく天然資源マーケットは大荒れ、各国政府との攻防が続いています。もしファンドの触手が伸びてきたらどうしますか?と荒木社長に質問してみると「そもそも供給体制から考えて物理的に対応不可能です」という笑いの裏にはマネーゲームとは一線を画しハゼ蝋(櫨蝋)産業を地道に復興させたいという気持ちが伝わってきます。


(2007-11-19)
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