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( 香水工場の )

香る生活


手作り石鹸、くれぐれも苛性ソーダの取扱はご注意
開発の最終局面に来ている新「香るシャワージェル」。このバージョンは素朴な石鹸系の基材で行きます。ラボでは何回となく試作が繰り返され、私も含めスタッフは試作シャワージェルで毎日顔を洗う、手を洗う、シャワーを浴びる、が日課になりつつあります。

シャンプーやリンスのような合成洗剤系の商品開発には現代の最先端有機化学の研究成果が投入されていますが、石鹸系って、じつは製造方法も成分も基本的に紀元前からそれほど変化していません。石鹸は「油脂とアルカリ」を混ぜて煮るとできます。紀元前の場合、油脂はおそらく羊や狩りの獲物で、アルカリは木材の燃えた後の灰です。

焼き肉にすれば、肉汁が脂とともに灰に滴り落ちると思いますが、ある日、この脂(あぶら)の染みこんだ灰で手や鍋を洗ってみると奇跡のように汚れが落ちることを古代人たちが発見して(おそらくナイル川やチグリス川あたりで)、次第に石鹸の作り方ノウハウを獲得していったと思われます。

木材や藁などの植物が燃えた後の灰には炭酸カリウムが含まれています。これはアルカリ性の性質があり、油脂と反応(石鹸製造用語では「鹸化(けんか)」といいます)して脂肪酸カリウムになりますが、これが汚れを落とす石鹸の作用を持ちます。つまり、石鹸そのものです。

一般にナトリウム化合物やカリウム化合物などのアルカリ性物質が油脂と加水分解して反応すると、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムになりますが、これが石鹸の本体です。



今回、石鹸系のシャワージェルを開発するにあたり、当然他社製品のウオッチングもやりました。そして、巷で人気の「手作り石鹸」もちょっと調査してみました。

「手作り石鹸」のリサーチは、まずは本屋さんからです。いや、予想外にも美容コーナーに数種類の本が置いてありました。ネット書店で検索すれば非常に多くの本が見つかりますが、実際に本屋さんの棚に並んでいるところを見ると需要がありそうです。

「手作り石鹸」や「手作り化粧品」に人気があると言うことは、それだけ市販製品に不信感や不満があるということなんでしょうね・・・

内容の充実していそうな本を数冊買って、パラパラ・・・

石けん素地から作る「手作り石鹸」の本もありましたが、予想外にも水酸化ナトリウムを使うちょっと本格的な本もあって驚きました。

「石けん素地」は、すでに油脂と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから鹸化された石鹸そのものですが、これにグリセリンを足したり、香りや保湿成分、着色料の添加などが記述されています。

これは危険性はそれほど高くなくお手軽で楽しい石鹸作りが体験できますが、あえて手作りする程のこだわりがある人々が満足するモノになるのか、どうだろう?と感じました。

もしテーマが「私のオリジナルの香りを極めた石鹸」とか「オリジナルの形の石鹸」といった石鹸そのものとは別のテーマなら問題ありませんが、石鹸そのものを極めたい人は、やはり本格派「植物油+水酸化ナトリウム」でしょうか。

植物油は何にしようか?オリーブオイルにするのかヤシ油にするのか、シアバターにするのかココナッツバターにするのか、そのブレンドにするのか、配合比率はどうするかなど、オイルごとの特徴を活かしながら、かなり柔軟なオリジナル性が出せると思います。

しかし、いかんせん、個体石鹸の主原料は水酸化ナトリウム。別名「苛性ソーダ」。苛性ソーダは劇物。印鑑があれば薬局で売ってくれるなんて知りませんでした。素手で触ろうものなら火傷したようになります(実体験はありませんが、そのようにいわれています)。

一方、個体でなく液体石鹸の主原料は水酸化カリウム。「水酸化K(ケイ)」とも呼ばれます。別名「苛性カリ」。苛性カリも同じく劇物。苛性ソーダ、苛性カリともにpH(ペイハー)が12以上で強アルカリ性。

一般の方々が自分で出きる手作り石鹸なので、もう少し取り扱いが簡単な原料をみなさん使用されているかと思っていましたが、かなり本格的で驚かされました。

それだけ石鹸にこだわる、そして石鹸を愛するユーザー層が存在することを知りました。しかし、くれぐれも苛性ソーダ、苛性カリにお子さんは近づけないように注意したいですね。

(2008-01-22)
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