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( 香水工場の )

香る生活


化粧品の「期限」#3
【パート3】
しかし、消費者が、自分の目と鼻と感触だけで、その製品が「まだ使えるかどうか」を判断するには限界がありますので、食品の「賞味期限」のように「使い頃の時期はこの辺までです」のようなある程度のガイドライン表示は今後出てくる可能性はあります。しかし、何を持って「賞味」可能な期間、「使い頃」の期間と判断するかという点は、考えれば考えるほど微妙です。むしろ政治的な話になりそうです。

結局、科学的根拠をベースとする使用期限の設定よりは、最終的に政治的判断や社会的圧力による判断に推移していくかもしれません。この辺は今後議論が高まるかもしれませんが、行方は不明です。

一方で、何でもかんでも法律で規制するのではなく、ある程度は消費者の良識のある判断力に委ねたいし、委ねるべきと考え方が存在することもまた事実です。

世界中どこの国も同じジレンマを抱えているはずです。しかし、海外の方は、化粧品は古くとも使ってみて使えれば使うし、おかしと思ったら使わないという態度の方が多く、あまり気にされない方が多い印象をもっています。特に欧米では、むしろ、化粧品の他人との共有はしない、汚れた手で使用しない、など期限よりも使用の仕方の方に敏感です。


最後に「品質保持期限」「有効期限」「使用推奨期限」「耐久年数」「Use-by-Date」「Best-Before-Date」という表現について。

「品質保持期限」とは、かつて食品衛生法で使用されていたもので、実質的にJAS法の「賞味期限」と同じだったため、現在は「賞味期限」で統一されたとのことです。

「有効期限」は「その製品が機能性を有する期限」くらいの意味です。化粧品の期限に関して一部のメーカーさんでは使用期限ではなく「有効期限」という表現を使用されることがあります。もちろん「有効期限」も「使用期限」も法律による定義もなければ、規制もないし、言及さえありませんから、それぞれのメーカーが一般論をベースとする独自の定義になります。

そこで、薬事法上「効果効能がないはずの化粧品」に対して効果効能を連想させる「有効期限」という表現は不適切であると主張される方もおられます。しかし、現実に市場で機能性を有しない化粧品を捜すことは事実上不可能です。むしろ実状を反映しているコトバではないか、と私は判断しています。

「使用推奨期限」は、「使用期限」の派生バージョンですが、「使用期限」ではその期限以降、その商品は使用できないもの=廃棄するものというイメージが強いことに対して「使用推奨期限」なら意味が少し柔らかくなります。

使えるのにムダに捨てる消費者も若干減らせることができて環境のためにも消費者の利益のためにもよいのではないかと考えますが、ネーミングとしてはちょっと長すぎでしょうか。

また、家屋や自動車などの耐久材に使用される「耐久年数」は、消耗品である化粧品の期限表現としたあまり妥当でないかもしれません。

「Use-by-Date」は、「消費期限」「使用期限」の英語に相当するコトバです。直訳すれば「その日までに使用せよ、の日」。

「Best-Before-Date」は、「賞味期限」「品質保持期限」「有効期限」「使用推奨期限」に相当する英語ではないかと推測されます。直訳すれば「その日までベストな状態で使用できる、の日」。Bestでなくともよい場合は、Good-Before-Date(「その日まで行けている、の日」)も使えそうですね。英語圏Googleで引くとあまり使用されていませんが、多少使用している人もいました。



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(2008-02-25)
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