Home > ブログ
リスト表示 | (edit)
( 香水工場の )

香る生活


練り香水製品版(沈丁花&金木犀)
ついに製品版練り香水リリースの発表ができました。

なんだかんだで難産でした。

練り香水の製造自体は技術的に難しくありません。通常の工場の通常の設備で行えます。ノベルティ(プレゼント)版ではホホバ種子油やミツロウを加熱して香料を練り込むだ後、容器に充填したて一定の割合でゆっくりと時間をかけて冷せば出来上がりです。

ホホバ油やミツロウ、香料は一般に腐敗せず防腐剤の添加が必要なければ、乳化の問題もないので界面活性剤も必要ありません。香水に起こりがちな充填後のオリや異物の発生や生成も心配なく、とっても気持ちのいい製品です。

にもかかわらず、今回の練り香水が難産だった理由は、基材をいろいろ試しすぎた点です。骨が折れました。

素直にホホバやミツロウだけなら、すでに安定した処方があるのですが製品版を開発するにあたりノベルティと同じ処方では「ワザがない!」と気負ってしまいました。

なるべく天然素材にこだわりつつ暑い暑い夏から凍る真冬まで使用できる通年の練り香水。ホホバ種子油+ミツロウ版は、真夏に汗をかき、冬場はカチカチになるので使い憎い点が問題でした。

基材候補には、ミツロウ、ライスワックス、カルナウバ、キャンデリラ、ウルシロウ、モクロウなどが上がりました。おもしろいところでは、ココアバターやマンゴバターも考えました。

ココアバターは実際試しましたが、これは愛嬌・遊びです。

とってもお菓子な匂いで「驚き練り香水」的な商品としてはおもしろいのですが、今回はパス。趣旨と若干違いますので。後日、グルマン系練り香水として出すことも???

シアバターも候補として試しました。予想通り柔らかすぎてクリームチーズのようになります。パスです。

この種の化粧品や皮膚用の医薬品・医薬部外品に多用されるパラフィンやワセリンも候補でした。パラフィンやワセリンは軟膏の基材としても有名ですよね。

石油由来成分ですが、大変刺激が少なく安定している点や長年実績がある点が安心です。医薬品的には純度の高さが理想的です。

「石油由来=危険、天然由来(植物由来・動物由来)=安全」という信念をお持ちの方がおられますが、それは短絡的な考え方かもしれません。

蜜蜂の巣を水炊きにして採取されるミツロウは完全に天然由来であですが、ごく一部の人にはアレルギー反応があることが知られています。タマゴや大豆、ソバなどのアレルギーと同じ種類のアレルギー反応らしいのですが、詳しいことは不明です。

しかし、そんな人でも石油由来のパラフィンやワセリンでのアレルギー反応を示す人は経験がありません。

それほど安全な基材ですので候補として考えました。しかし、パラフィンでの試作は、個人的に質感、見た目に若干不満が残りました。パラフィン自体の問題ではなく処方に失敗している可能性があるのですが、それ以上はテストしていません。

本当は、・・・私の目標はモクロウを投入することでした。そのためわざわざ九州まででかけ、モクロウ工場から直接1キロ購入して持ち帰ってきたのですが、クセがある強烈なワックスで、小手先の実験では手に負えずタイムアウト。

モクロウは継続的に研究していきます。なお、モクロウについては、現在配布中の冊子『香る生活』の最後の方のページに、私の熱い取材記事を投稿させていただいています。機会があればぜひぜひお読み下さい。



横道横道に倒れつつ、結果的に下記の成分構成になりました。セレシンとは大地から採れるロウ(ワックス)です。口紅やメイクの基材として実績があります。

ホホバ種子油/オリーブ油/ミツロウ/香料/セレシン/トコフェロール(ビタミンE)


リリースは4月20日。「沈丁花」「金木犀」の2種類。1,470円(税込み)です。

ショッピングのページ(伊勢丹新宿店ではお取り扱いしておりません)

練り香水金木犀&沈丁花(ソリッド・パフューム)
(2008-04-04)
search
月一メルマガ

TOP