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( 香水工場の )

香る生活


お線香の香りを楽しむ
先日、高尾山に登りました。

高尾山は、都心から1時間で行ける東京のハイキングコースです。山中には滝があって修験道の霊場があるようにもともと霊験あらたかな山でした。高尾山は霊山と呼でよいかもしれませんが、現在では、麓まで鉄道が整備され、ケーブルカーやリフトがあり、ハイカーたちが縦横無尽に山中を闊歩していますので、かなりにぎやかです。

山中の薬王院は、休日ともなれば参拝客で大にぎわいです。聞こえてくる話し声は、英語、韓国語、中国語、フランス語、インド系英語、北欧系言語・・・ここも今では人種と民族のルツボ状態となっています。

ところで薬王院では、本堂周辺では参拝客が焚くお線香の匂いが充満しています。

この商売に入る前は、お線香は私にとってたんなる白くてモクモクしたもの。仏事の儀式としか認識がなかったのですが、香水ビジネスにかかわるようになってお線香のありがたさがわかるようになりました。

お寺に行く機会があれば、そこで焚かれている線香の香りをしばらくじっと嗅いでいます。気持ちを集中してじっと嗅いでいる時間は、周囲が無音に感じられ、自分自身の気持ちも落ち着くようです。

いろいろなお寺で線香の匂いを嗅いでいると、お寺ごとに様々な線香があることがわかります。そして、この香りにはまっていく人々がいることも理解できるようになりました。

それまで、貴族にしか許されなかった香道の楽しみが、江戸時代、仏事という行事を通してであれ、お線香という形で一般民衆の習慣として定着したことを考えると日本の香り文化の高さが伺い知れます。

その香りは、サンダルウッド(白檀)、沈香、伽羅といった香木(香りを発する樹木類)を中心としたもので、香水の原料としても使用可能なものばかりです。ヨーロッパ生まれの香水は、香水の原料としての香木類を最上の状態で配合する手法をまだ修得できていないかもしれないと最近感じています。

「インセンス」という呼び名で世界中に広がるお香は、その人気とともに、香水メーカーにとっても一段と大切なテーマになっていくと予想しています。

ピーチやレモンといったわかりやすい香りから、サンダルウッド(白檀)・沈香・伽羅といった深みにはまり込みそうな香りまで多様性があってこそ香り文化もさらに前進できます。

ところで、京都にお香の老舗として有名な「松栄堂」という、お香専門メーカーがあります。ブランドさんにふさわしく、メーカーでありながら直営店を展開されています。

松栄堂12代目、代表の畑社長にお話を伺ったことがあります(その内容は、次回『香る生活』でご紹介予定です)。香りに対する感性や考え方は、パフューマーさんと話している錯覚を覚えます。

畑社長は、イベントやセミナーなどを通して、お香や香りの楽しみ方を発信する活動も熱心な方です。畑社長のセミナー風景をご紹介してきょうのブログを閉めたいと思います。

周囲への「香害」要注意、上手に香りをまとうための3カ条

第1条:感じ方は人それぞれ。聞香に息づく「奥ゆかしさ」を意識せよ
第2条:「香害」に注意! 嗅覚は鈍磨するものと認識せよ
第3条:最高の香りは、特別なときのみと心得えよ
(2008-05-10)
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