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( 香水工場の )

香る生活


香りは、たなびく煙のように
桜の花の香りは、たなびく煙のように


今年の桜は咲きかけに寒気が強まり、じっと耐えて耐えてなかなか咲きませんでしたが、咲き出すと今後は初夏並みの暑さが続き一気に駆け抜けた感じです。

今年は入学式の頃に桜が満開になった地域が多かったようです。

さて、桜の花の香りをご存じでしょうか?

桜の花にはほとんど香りがありません。

(桜の葉の香りはクマリンという成分が知られています。桜餅に混ぜるとバッチリと桜のいい雰囲気が出ますが、クマリンは食品香料として使用することが日本では禁止されています)


桜の花も種類によっては香る品種もあります。えーと、確か○○桜といって、どこかの地に生えているらしい・・・かなり大雑把な情報の披露で恐縮です。

ただ、一般の桜も個体によっては香りを発するものがあります。それも時と場合によって香りを発することがあるようです。

これは私の体験で、事実はどうか検証されていませんが、おそらくそういう事実はあるでしょう。

そんなわけで、穏やかな風の中に微かに香りを感じる瞬間があります。桜の香りは微かな香りゆえかあまりにも上品です。「もっと香りを嗅ぎたい!」と思った瞬間にはなくなります。

花の芳香は、均等に花の周囲に充満するのではなく、芳香成分が一筋の帯状の流れとなって空中を漂うことが原因ではないかと思います。

ちょうどお線香の煙のように、芳香はつれづれで帯状にたなびく傾向があります。


下の写真は、先日インドから届いたサンダルウッド(白檀)のお線香です。ちょうどイメージ図として使えたので使用しています。

桜とは何の関係もありませんが、この煙のように・・・この芳香筋・芳香帯に偶然ぶち当たった瞬間が桜の香りを感じることができる瞬間ですが、問題は花の芳香は煙のようにビジュアルでないのでなかなか香りの潮の目が読めません。

この芳香の煙の流れが読めると花に鼻を近づけなくても強く感じることができますし、香りを発する発生源を辿ることもできます。

こうして調香師は良い香りの発生源も特定できますし悪臭の発生源も予想できるようです。

今年は公園にある桜の一本の桜の木の下で、桜の香りを一瞬だけ感じられる幸福な瞬間がありました。

一回きりの体験で終わりましたが。

たなびく芳香
サンダルウッド(白檀)のお線香の煙。花の芳香もこの煙のように筋状にたなびくものが少なくない。

(2009-04-14)
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