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( 香水工場の )

香る生活


飲み残しのワインをおいしく窒素ガス?#2
グリーンなイメージだった酸素も最近では危険分子のレッテルが貼られやや肩身が狭い
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ワインの敵は紫外線と気温変化と酸素。紫外線は放射線ですので分子を傷つける可能性があります。人の肌なら紫外線で焼かれてもだいたいは再生しますが、モノや物質は破壊されたままです。気温変化は、分子の運動と組織の膨張・収縮を交互に繰り返えさせることになりますので化学変化を促進します。たいていは劣化の方向へ。

さて、酸素。「酸素」は人が生きる上で必要な物質。長い間、私にはよいイメージしかありませんでしたが、老化の原因にもなっています。今でこそ「活性酸素」は普通名詞として子供からお年寄りまで危険と認識されていますが、当時、酸素はまだまだよいイメージが強い時代でした。

昔読んだ本に老化が促進される原因の一つに「運動のしすぎ」が上げられていて腰を抜かしました。なぜなぜ?と次を読むとこういう趣旨でした。激しい運動は大量の酸素を消費する。消費される酸素はすべて安全な二酸化炭素と水に分解されるわけでなく、1〜3パーセント程度の酸素が活性酸素に変質しているらしい。

活性酸素は、恋人に逃げられて自暴自棄となっている無差別殺人鬼・通り魔男と似ていてます。手当たり次第に近くの物質から電子を奪い取り相手を酸化します。酸化された食品は通常劣化しますし、体内の組織や細胞が酸化されるとガンの発生要因となったり、老化の原因となると考えられています。

酸素って恐ろしいですね。生命体は、話によると太古の昔、無酸素で生きていましたが、酸素による極めて効率的でパワーのあるエネルギー交換システムを獲得することで今日の動物の進化が達成されたそうです。逆に言えば危険な酸素と引き替えに恐ろしいリスクを体内に背負い込んだとも言えます。

それって『ファウスト』?・・・魂を売り渡し、欲望を手に入れた、かのファウスト博士と似ています。

余談です。近年の酸素イメージの変化は驚きモノですが、紫外線も昔はウエルカムでした。紫外線というより太陽光線でしたが。80年代は「日焼け=健康的」というイメージがあった時代です。今では考えにくいのですが、当時は子供から大人まで盛んに肌を焼いてコンガリ色を競っていたものです。

私が小学生の頃は、夏休み明けに誰が一番焼けてきたかを競う余興もほほえましい始業式の日のイベントでした。

「あれは何だったんだ。私の青春を返して欲しいわよね」なんてボヤいているおばさんが以前の取引先の事務所におられました。笑って聞き流すしかないのですが、そのときこしらえた「シミとシワ」、もはや消すことはできまいと思うと80年代コンガリ色を煽っていたテレビCMは、今となってはやや複雑です。

さて、ワインに話を戻します。飲み残すとボトル内の液面は下がり、その分、空気が入ります。空気の組成は窒素80%、酸素20%、アルゴン1%、二酸化炭素0.03%、その他。液面が下がれば下がるほどワインは酸素とのランデブーが増え、酸化されるリスクが増加します。

熱いワインファンはそういうゆゆしき事態に対してどんな対策を取っているのでしょうか?調べてみるとありました。ハンディタイプの簡易型真空装置。これは良いアイデアです。完全に真空にすることはできないとしても空気が少なくなればなるほど酸素接触リスクも減ります。

しかし、シャンパンでは気圧の変化で炭酸ガスが揮発する要因となり困りものです。これはワインにも言えることでワイン内には炭酸ガスが溶解していて気圧が薄いと溶解していた二酸化炭素が気化して引き出されてくる可能性があります。

私は知りませんが、二酸化炭素が抜けたワインは味が落ちるそうです(食品関係者の話では二酸化炭素は、食品に微かな酸味とうま味を与える隠れた演出者とのこと。確かに泡のとんだシャンパンやビールはパワーがないたけでなく味も落ちる気がします)。ということで簡易型真空装置には異論を唱える人もいるようです。

次が不活性ガスによる代替充填。

続く・・・


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(2009-04-16)
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