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( 香水工場の )

香る生活


飲み残しのワインをおいしく窒素ガス?#3
窒素ガスは使える?
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不活性ガスとは、化学的に活性でなく安定しているガス、つまり活性化せず化学的に変成しにくいガスのことです。不活性ガスにはヘリウム、ネオン、アルゴンなどがあります。ヘリウムは軽く安全性が高いため風船や気球の充填用に利用され馴染みも多いかもしれません。

厳密な意味で、窒素は不活性ガスに入らないと言われますが、酸素などと比較すると安定していて自分自身も周囲の物質に対しても変質したり反応したりしにくいため慣習的に窒素や二酸化炭素は不活性ガスと呼ばれているようです。

窒素のよいことろは無色・無臭・無害・無毒なので人体に影響が少なく、空気中に無尽蔵にあるため安価に生産可能(窒素ガス発生機:膜にて空気から分離)なこと。たとえば代表的な不活性ガスのヘリウムは希少な上に軽くて密閉した容器がないとすぐに霧散してしまう点が扱いにくく窒素の優位性は高いものがあります。窒素ボンベは安全で安価です。

窒素ボンベを置いているガソリンスタンドが増加中です。なんでもタイヤは窒素充填の方が通常の空気を入れるより空気が抜けない、騒音が少なく、乗り心地がよい、タイヤの寿命が上がり、燃費が良くなり、バースト時爆発のリスクが少ない・・・その真偽は私には不明ですが、なにやらよいことずくめです。F1マシンにも使用されているそうです。

窒素の方が酸素よりタイヤのゴムを透過しにくいためタイヤの空気圧が減らないとか?窒素(N2)の分子量は28。酸素(O2)の分子量は32。理論的には、窒素の方が小さいです。分子の形状も単純で似ていますので、酸素と窒素、どちらが抜けやすいかと空想すると窒素の方が抜けやすい気もしますが、ゴム繊維との通り抜け相性なんかもあるのかもしれません。

また、通常の空気は水蒸気を含有していますので、それが液化・気化を繰り返してタイヤ内の圧力変化が生じているとしたら純度の高い窒素の方が安定しているのかもしれなせん。窒素の不燃性と非腐食性は魅力です。その結果「乗り心地と静音性と燃費が改善される」ということでタイヤへの窒素充填がポピュラーになってきたのかも?

この窒素、タイヤの他に食品加工の工場ではなくてはならないガスです。食品を加工・生産したら袋詰め・パッケージングですが、プラスティックの袋に入れる際、真空にするか空気の代わりに窒素を代替充填(ガス充填包装、ガス置換包装)する会社さんが多いです。酸化対策のためだけでなくカビ・細菌類対策にも効果的です。食品の種類と目的によって二酸化炭素を入れることもあります。

そして、若干取り残し残留した酸素に対してはその対策として脱酸素剤や酸素吸収剤(ケーキやお菓子の袋に入っている「食べられません」と書かれた切手大のアレです)を入れてシール(密閉)すれば、防腐剤なしでかなり長期間保管の効く加工食品ができます。

こんな便利な窒素ですが、これを飲み残しのワインボトルに充填するとワインの酸化を遅らせることができると考えられています。「不活性ガス充填法」と言います。私が勝手に命名したので一般に通用するかわかりませんが、この方法は産業界の様々なシーンで大活躍しています。安全な不活性ガスなら窒素でなくても二酸化炭素やヘリウムやアルゴンでもOKです。

ヘリウムはすぐに舞い上がり霧散しますので扱い難いのですが、二酸化炭素は沈みますのでいいかもしれません。ちなみに窒素は酸素よりごく微量に軽く空気を見てもわかるようにほぼ均等に混じり合います。

このように熱いワインファンのためには窒素ボンベも普通に販売されていると思っていましたが、インターネットで検索するとワインボトル専用の窒素ボンベが1点見つかっただけで、ちょっと調子抜けです。

窒素まで使って酸化防止にこだわるのはワインバーなど、やはり専門の業者やレストランさんなんでしょうか?ちなみに私は実験用に下記の窒素ボンベを持っています。純度は95%と99.5%です。





窒素(N2)小型ボンベ・純度95&99.5%
(右)窒素(N2)小型ボンベ○純度95%○NARIKA製○封入量5.0リットル○容量580ml
(左)窒素(N2)小型ボンベ○純度99.5%○NARIKA製○容量18リットル

窒素ボンベ
酸化して変色しやすいお茶で抗酸化効果を確認中。




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(2009-04-18)
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