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( 香水工場の )

香る生活


病気の匂い、心の病さえ体臭にでる#2
「病は気から」だけではない。「体臭も気から」と考えるその根拠
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心理学を勉強する人にとっての古典(らしい)

『かくれた次元』(エドワード・ホール、みすず書房、2000)

アマゾンで検索すると出版日は2000年となっていましたが、どこかのサイトには日本での初版は1966年。かなり古い本で文化人類学の古典的名著だそうです。

たとえば、サイズは個人ごとに違いますが、誰でも人はパーソナルなテリトリー空間を維持しているとか。

で、他人との人間関係(赤の他人か、家族、恋人、友人、敵対者など)によってテリトリー空間のサイズが変化するなどが論じられているそうです。

(そういえば、初対面でもグーと接近して話しかけてる人がいて、思わず構える経験があります。初対面でも他人でもグーと接近する人ってパーソナルスペースが極端に狭い)

古いので現代人にはすでに常識になっている内容も多いかもしれません。受け売りはこれくらいにして、問題はこの本の中にある精神分析医と匂いについての記述です。


ホール氏が腕利きの精神分析医と匂いについて話し合う場面。このお医者さんは2メートル先から「患者の匂い」で「患者の怒り」を判断できると断言しています。

「精神分裂症患者を扱っている人は、この病気の患者が特有のにおいをもっていると昔からいっている」

分裂病(今時の言葉にすると「統合失調症」)患者に特有の匂いがあることがサラリと述べられています。

匂いが気になる私としてはこの部分を詳しく聞きたいのですが「そんなのは常識」という感じで「昔から」言われているそうです。

日本でもそうなのだろうか?精神科には現在のところ縁がなく自分自身の体験をお話できないのが残念ですが「怒りの匂い」や「統合失調症患者の独特の匂い」は充分に信じられます。

ホール氏は証拠として下記を述べています。

「セント・ルイスの精神科医であるキャスリーン・スミス博士は、ネズミが容易に分裂症患者と非分裂症患者のにおいをかぎわけることを示した」

「統合失調症患者の独特の匂い」とはどんな匂いなのか、おそらく言葉では表現できない何かもどかしい匂いに違いありません。

統合失調症患者の汗からはある種の有機物成分が検出されるそうですが、それが匂いのモトかもしれません(その有機物成分名があるサイトに掲載されていましたが、裏が取れませんでしたのでここではご紹介しません)。

心の病に物理的な匂いが伴うことの真偽は、一昔前まで多くのお医者さんや研究者に懐疑的に見られてきましたが、現在では概ねありうると考えられています。

なぜなら心の動きも脳内の神経伝達物質やホルモンの分泌や分解・化学反応などの化学的プロセスで説明がつくようになってきたからです。

心の動きが体内の生理的な動きと連動していることが常識になりつつあります。

神経伝達物質やホルモンもタンパク質です。合成できる物質の種類も日々増加中です。

現在では喜びや悲しみを薬物でコントロールできる時代へと入ってきました(技術的に可能と言うだけであって、それが勧められるわけではありません)

プロテオーム解析(ヒトの遺伝子情報をベースに生命体内に存在する全タンパク質の解析。新薬開発の最前線)を研究されているある先生から聞いたことです。

その先生は「もう肉体と精神を分けて考える時代はとっくに終わってるよ」とさりげなく話されているところが強い信念のようにも感じられました。

病気で体臭がつらくなるなら、心の状態でも体臭は変化して当然です。逆に心の状態が、肉体に予想以上の大きな物理的変化、そして化学的変化を起こす可能性があります。

現実はどうであれ、辛いことがあっても、気持ちだけは楽しく明るくすることで、肉体も体臭も恩恵を受けるはずです。もちろん、明るい心から発せられる体臭は、甘く魅力的な香りです・・・たぶん、間違いありません。








(2009-04-25)
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