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( 香水工場の )

香る生活


2013年、キンモクセイの花と台風
(2013/10/17)

今年のキンモクセイは、開花と同時に台風くんが真夏を運んできて、やや調子はずれな展開に(2013/10/16)

2013年、キンモクセイの花

(10/16)台風の後


秋の風物詩キンモクセイはどこへ?


キンモクセイは、花と香りが素敵ななんですが、当社では自社製品の香水「金木犀」がよく出ますので、この季節は毎年、事務所自体も忙しく活気があります。

今年は忙しいことには変わりありませんが、やはり、暑いとどうも気分がちょっと違う感じです。10月に事務所のクーラーが回っていたというのは、私の記憶でははじめてかもしれません。

2013年、キンモクセイのつぼみ

(9/26)開花を待つキンモクセイ



秋を満喫、キンモクセイの香り


今年の夏の異常な暑さは、9月に入ると素直に収まり、あれ、案外いい案配にキンモクセイの季節に突入かな!なんで期待しておりました。実際、10月初旬までは、昨年よりよい案配の気温でした。

そして、10月6日には東京・武蔵野エリアでもいっせいにキンモクセイが開花しました。ちょうど日曜日で、小金井公園に行ってみると多くの人が、開花したばかりのキンモクセイの花と香りとともに秋の日曜日を満喫していました。

2013年、キンモクセイ開花

(10/6)開花!小金井公園にて



台風24号


まさに開花した翌日から接近中の台風24号のニュースが多くなりました。毎日jp(http://mainichi.jp/)から抜粋します:

●2013年10月07日
台風24号:沖縄、鹿児島・奄美が昼過ぎ暴風域


●2013年10月08日
台風24号:九州北部は猛烈な風 長崎で風速22メートル


●2013年10月09日
台風24号:能登半島沖で温帯低気圧に


●2013年10月10日
真夏日:各地で猛暑の秋、新潟・糸魚川で35度超



いやー、新潟・糸魚川で35度超は強烈ですね。東京も30度ちかく。10月中旬に真夏日とは。

そして、それから数日間、真夏が続きます。満開だったキンモクセイは、あっという間に熟れて散り、時間差で開花してくるキンモクセイが咲く前に最初の方の花は散ってしまうという状況です。散る花の傍らに蕾がチラホラというキンモクセイも多数ありました。

2013年、キンモクセイ蕾と散った花の混在

(10/10)散っていく花と開花直前のつぼみが混在



気温の変化、開花と同時に夏日に戻るニッポン


10月に入ってからの東京の最高気温をリストアップしました

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香る生活


2013年の廃盤香水(涙)
(2013/09/02)

出会いあれば別れあり。今年も廃盤ミーティングが開催されました。そして、いくつかのアイテムが消えることになりました(2013/09/02)
2013崖っぷち香水


「崖っぷち香水」


当社では廃盤リストに入った製品を「崖っぷち香水」と呼んでいます。今年も「崖っぷち」たちがリストアップされました。


2013年の廃盤リスト


本当は、いい香りなんだが・・・と言いたいあの香りもランクインしていたら、お許し下さい。廃盤に追い込まれる最大の要因は、売れ行きです。また、売れ行きはそこそこでもお客様からの評価も大きな影響を与えます。もし哀れな崖っぷちのご注文をお考えの方は → 2013年の廃盤リストのページ

・金木犀2011
・くちなし
・桔梗
・たんぽぽ
・チューリップ
・月桃ウイミン
・れんげそう


多すぎた香水の種類


当社の香水は60種類以上。企業規模の割には多く作りすぎました。製品の種類が多いと、原材料の種類も増え、在庫も増え、リスクも増え・・・健全な運営のためにはもう少し減らさねばという覚悟でいます。

しかし、廃盤を発表すると、一部のお客様から悲鳴メールや嘆願メールを頂くことがあり、恐縮の至りです。


売上と製品完成度は必ずしも一致しない!


売れ行きと香りの完成度は必ずしも一致していないのですが、売れないことにはビジネスが成立しない厳しさ。売れない製品が廃盤になる傾向は、仕方ありません。個人的には「アレとアレは惜しいな」と思いつつの発表です。


廃盤スケジュール


これらの「崖っぷち」製品は、年内、通常生産し2014年1月から次の通りとなります:

・フルボトル マイフレグランスへ移行(受注生産=毎月25日前後の発送)
・ミニボトル 在庫限りで販売終了(完全終了)


「崖っぷち」のせめてもの救済策 = マイフレグランス



マイフレグランスとは、受注生産方式でご注文をお受けする方式です。リピーターの方のご注文を想定していますので、ミニボトルのご提供はありません。新規のお客様のご注文も、もちろん大歓迎ですが、ミニボトルがなくリスクが高いため、当社からは新規お客様へのおすすめはしておりません。


【崖っぷちデータ】
【2013】
くちなし a123
月桃ウイミン a502
れんげそう a903
金木犀2011 a203
たんぽぽ a1201
チューリップ k125
桔梗 k401


【2012】
碧海 a103
OFF a131
紫陽花 a136
ローズクロス a403
a405
Jay Hills a1051
Poro Nupuri a1053
カグー a1101
空からの唄 k101
ミラージュ k106


【2011】
春告げ草(梅) a113
秋桜(コスモス) a127
ういきょう(フェンネル) a406
桂の木 a902
牡丹 k403


【2010以前】
菖蒲 a135
クローバー i101


(2013-09-02)
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香る生活


ベタガード動画「闘う手」
(2013/08/29)

ハンドクリーム・ベタガードのプロモーション動画を制作しました。ベタガード動画はこれが2作目です。前回は、鎌倉の老舗旅館さんの協力で「女将 X ベタガード」を制作しました。今回は「空手 X ベタガード」をテーマに30秒の動画にまとめました。



撮影現場の風景


撮影はいつものように早朝から夕方までノンストップ。今年は異常に暑く、この日もジリジリとした日でした。体力的にやや心配しておりましたが、道場の方々も撮影クルーも集中力が途切れませんでした。

クルーメンバーは10名前後。大量の照明機材やビデオカメラが運び込まれた空手道場は、スタジオへと早変わりです。今回はプロの役者さんの出演はなく、子供さんを含めすべて道場の方々だけで演じてもらいました。

計画段階では、現代的でクールな音楽に乗せて、豪快な空手の映像を演出する予定でしたが、打ち合わせの際、実際に組手や演舞を拝見すると息遣いや動作音・空手着が擦れる音がパワフルで魅力的でした。そこで実際の撮影では、現場の「音撮り」をしっかり行い、音楽でそれらを必要以上に掻き消さないことにしました。
ベタガード空手篇 突き
(撮影中は若干のケガも発生し緊張感をもって撮影しました)

撮影協力


撮影協力は、東京都中野区にある「剛柔流空手道拳剛会 男塾」さん。この場をお借りして御礼申し上げます。
ベタガード空手篇 組手
(役者さんは今回すべて道場関係者)


シナリオ


本作品のオリジナル・シナリオは「ガテン系お父さんと赤ちゃん」でしたが、制作依頼をしたUTB映像アカデミーさんと制作ミーティングを重ねる課程で「空手」へと変化しました。予算やスケジュール、ロケ地の都合があり、オリジナルのシナリオ通りに行くケースは、むしろ希です。

ハンドクリームのCMは、大手ブランドさん・大企業さんを問わず、どうしてもテーマがかぶりがちですが、ハンドクリームとは、およそ無縁そうな格闘技を通してベタガードを描けたことは幸運でした。

ストーリー


前半は、空手の激しショットを繋げました。後半、激しい組手の後にベタガード登場です。そして、子供の稽古へと流れます。稽古をつける師範の手がいっそう優しく感じていただけたら我々制作側の喜びです。
ベタガード空手篇 ハンドクリーム
(ハンドクリームCMには珍しいストーリー設定「空手 X ベタガード」)

フェミニンな作品は作らないの?


最後に一言。ベタガードの主要顧客は女性。空手をやっている女性は稀少ですので、ユーザー層とのマッチングはグッドとは言えません。今回の動画に限らず今まで制作してきた作品は、おおむね、男性の視点寄り。制作チームがほぼ男性ということも原因かもしれません。

「フェミニンな映像は作らないの?」といった感想や投書もいただいています。今後は女性の視点からの作品も模索していきたいと思います。




【DATA】
・撮影協力:剛柔流空手道拳剛会 男塾
・制作:UTB映像アカデミー
・ロケ日:2013/7/11


(2013-08-29)
( 香水工場の )

香る生活


気分が悪くなる成分は?

お客様コメント


お客様コメント:

「スリーピングミストのローズがきりっとしたローズでラストもローズが続く感じで好みだったので、何日かにわたって何回かトライしてみたのですが、なぜか、ちょっと気分が悪くなるのです」

あら。


気分を悪くする原因成分は何だろう?


よくよくお聞きすると、複数の製品で気分が悪くなられるので、どれかそれら複数の製品に共通する成分が合わない可能性を疑っています。共通する成分で真っ先に浮かぶのが「ムスク」です。

推測でしかありませんが、気分を悪くする原因になっている可能性も否定できません。


ムスクは難しい


ムスクは、本来天然の香料でしたが、現在では100%合成香料を使用します。これは体質上、合わない方が、日本人には多い印象を抱いています。そういう私自身、実はムスクがやや苦手。

しかし、ムスクが入らない香水は、香りの深みや暖かさ、香りの保留性という点で厳しいことも確かです。そこで、当社製品はなるべく控えめに配合するというスタンスでムスクとお付き合いしています。



(2013-07-03)
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香る生活


2013年のダマスクローズ出来映え
(2013/07/02)

(114) 当社にとってバラ精油(ローズオイル)は、香水とスキンケア製品(コンシンのジェル)の原料としてとっても重要。使用するローズオイルは主にブルガリア産ダマスクローズ・オイル。毎年この時期になると「今年の生育はどうだったかな?」と気になります(2013/07/01)
ブルガリア・バラの谷のダマスクローズ
(ブルガリア・バラの谷のダマスクローズ畑。「バラの谷」とはいえ、山から山まで距離があり普通に見れば「平原」) Photos by NatureBase AD Bulgaria

香水の歴史は、バラの香りへの憧れの歴史


ブルガリアは東欧の国。西は黒海に面し、南はトルコとギリシアに接しています。穏やかな気候で農業が盛んな国です。料理はヘルシーで日本人の口に合います。日本ではヨーグルトのイメージが強いのですが、香水関係者にとっては世界最大のバラ精油生産国。

香水の歴史は、ある意味、バラの香りを追求してきた歴史でもあり、「ブルガリア = 香水関係者の巡礼地」で、香水業界から多くの人が足を運びます。


ブルガリア中央部「バラの谷」


ブルガリア中央部「バラの谷」と呼ばれるエリアは、バラの生育にとってとくに理想的な気候と土壌条件を備えており、世界的に有名なバラ産地の地位を獲得しています。このへんは私が昔書いたダマスクローズの取材記事に詳しいです。

10年くらい前の統計では、ブルガリアは世界のダマスクローズ精油の70%を供給していると言われていました。現在は少し落ちていると推測されますが、それでも圧倒的な存在のはずです。


ローズオイルのブランド、ブルガリアン・ローズ


近年、イラン・トルコ・モロッコ・アフガニスタン・中国などで精油目的のダマスクローズ栽培が品質・生産量ともに目を見張る勢いで成長していますが、それでも知名度・人気という点で、ブルガリア産のダマスクローズは「ブルガリアン・ダマスクローズ」と呼ばれ「ローズオイルのブランド」的な地位を獲得しています。

ブルガリアで栽培されている精油用のバラ品種は主にダマスクローズ、それに数量は多くありませんが「アルバ品種」です。ダマスクローズは強く豪華な香り、アルバは上品で気品に満ちた香りが特徴です。


村全体で盛り上がるバラの収穫期


ダマスクローズは、4月頃から開花し5月に収穫を行います。花を手でつみ取り近所の蒸留所に運び込んでローズオイルを採取します。これは時間との勝負で、夜明け前から日が昇るまでの数時間に、いかに多く摘み取り、そしてすぐに蒸留所に運び込めるかでローズオイルの収量と品質に差が出ます。

バラ農家は、家族総出で摘み取りに向かいます。この時期は季節労働者も含めて町全体・村全体が戦争のような状況になります。


収穫されたダマスクローズ
(収穫されたダマスクローズ) Photos by NatureBase AD Bulgaria


町を覆い尽くすバラの香り


一帯の多数の蒸留所からモクモクと蒸気が吐き出される光景は、この時期のバラの谷の風物詩です。無数の咲いているバラの花とともに、この蒸気のおかげで、町全体・村全体がバラの香りに包まれますので、外から来た人には感動的です。

私もカザンラク駅を降り立ったとき、町全体に漂うダマスクローズの香りに圧倒されました。そして、はるばるバラの巡礼地にやってきた実感を体験しました。しかし、カザンラクの人にはごく普通の香りと光景のようであまり感動はないようです。御殿場の人が目前に迫る富士山の偉容を見ても驚かないことと同じなんでしょうね。


カザンラクのバラ祭り


このカザンラクは「バラの谷」の中に位置する比較的大きな町です。毎年6月に市主催で「バラ祭り」が開催されます。2013年は6月1日-2日に開催されました。

「バラ祭り」は以前から自然発生的にバラの谷のあちこちにありましたが、近年では世界中から観光客を集める一大イベントに成長しています。「バラ祭り」では、民族衣装を着た女性たちが町を練り歩き、楽しい民族音楽やダンスを披露してくれます。

なお、ブルガリアといえば、民族衣装をまとった女性がバラの花摘みをする写真ですが、あんな格好で花摘みをすることは絶対にありません。正装して野良仕事というわけですから、かなりヘンな写真なんですが、観光パンフレットとしては絵になるんですよね。


2013年の収穫が終わりました


さて、今年のダマスクローズの生育状況ですが、一言で言えば「不作」の年になるかもしれません。

日本は近年、亜熱帯化が進んでいると言われますが、ヨーロッパも地球温暖化が進んでいるようです。4月といえばまだ寒いはずのモスクワで、公園の噴水に飛び込む市民の写真がニュースで流れはじめたのは、2000年代の初期だったと思います。


温暖化の影響か?


気づけば、毎年4月から熱波がロシアから東欧・地中海エリアを襲うことが多くなりました。たとえば、以前のパリでは、毎年バラの最盛期である5月、冷涼な初夏の中でバラの開花を楽しめたのですが、このところ暑くてバラが「早く咲く」「痛みやすい」といった嘆きが多くなったようです。

バラ農園 ( NatureBase AD Bulgaria(*1) ) のオーナーさんからいただいたメールによると「2013年4月後半は、この60年で最高の気温を記録した」とのことです。


猛暑でも天然の産物


5月に入っても非常に熱く、収穫が早まっただけでなく短期間に一気に収穫を行ったそうです。バラの開花時期は、芳香成分が離散しないよう晴天より、むしろ曇天の方がいいのですが、カラカラの晴天が続きコンディションはよくなかったことを知りました。

記録的な猛暑の結果、収穫は例年の20%減。天然物ですので、ワインのように当たり年やそうでない年の変化は、仕方ないことですし、それも自然の一部として受け入れなければいけませんが、バラの収穫に関心がある私たちには、毎年ドキドキしながらこの4月-5月を過ごします。

見事なのダマスクローズ
(見事なダマスクローズ。日本で栽培するとこの大きさ・形・色つやになりにくい) Photos by NatureBase AD Bulgaria



2013年の秋、参上いたします


とはいえ、今年もすばらしいローズオイルができたことは間違いありません。当社にも今月中には、できたてほやほやのローズオイルがブルガリアより入荷予定です。

これらは一部は「コンシンのジェル」に、一部は12月リリースのオードパルファム「ローズの贈り物」になります。ワクワク。ご期待ください。これを書いているだけで豪華な香りがしてきそうで、やや興奮気味です。


(追記:2013/11/18)

2013年 コンシンのジェル完成


2013年 コンシンのジェル完成


(*1) NatureBase AD Bulgaria・・・ブルガリアのバラ栽培及び蒸留所を経営されている会社さん



(2013-07-02)
( 香水工場の )

香る生活


茶摘みの季節、緑茶がうまい
(2013/06/14)

(112) 茶摘みをしてきました。緑茶の魅力を堪能した数時間。(2013/06/14)
狭山・茶摘みフェスタ

この話題は、ぜひアップしたいと写真を撮りためてきたのに、2週間遅れのアップです。茶摘みイベント(茶業研究所「茶摘みフェスタ」)は、1番茶の摘み取りが終わった頃行われます。今頃、狭山では2番茶の収穫の時でしょうか。


東京近郊に拡がる見渡す限りの茶畑


東京北部に隣接する狭山市や入間市は、都心からわずか1時間程度で行ける距離にありますが、そこは、なんと日本有数のお茶の産地。

この地の茶畑は、宅地化に伴い、全体的に縮小傾向にありますが、武蔵野の狭山丘陵から武蔵野の北限・加治丘陵にかけて、現在でも見渡す限りの茶畑を見ることができます。

加治丘陵の丘の上から都心方面を見渡すと眼前には広大な茶畑が拡がります。日本的な光景は、なだらかに続く丘陵を茶畑が埋め尽くし、私たち日本人には、どこか懐かしい光景です。その先には『トトロの森』こと狭山丘陵の森が見えてます。

「見渡す限りの茶畑が東京のすぐ近くに!」と素朴に驚かされます。


日本の戦略的物資だった狭山茶


そしてもう一つの驚きは、狭山茶が100年前まで、絹とともに日本の重要な輸出品だった事実。製茶された茶葉は、貨車で八王子を経由して横浜に運ばれ、横浜港からアメリカに向けて数多く輸出されていました。

当時、米国は西部開拓時代、カウボーイたちが荒野の野宿で緑茶をすすっていた光景も見られたはずです。もしかしたらゴールドラッシュで湧いたカリフォルニアで一攫千金を夢見ていた金採掘者たちも飲んだかもしれません。

一応、映画で見る金採掘者たちの飲み物は、どれもコーヒーに見えますが、もしかしたら狭山茶だったかも・・・


緑茶が世界に拡大しない原因は?


去年に続いて、今年も茶業研究所主催の「茶摘みフェスタ」に参加してきました。このイベントは、自分で茶摘みができるだけでなく、茶業研究所の方と話が出きることがおもしろいです。

茶葉のから実際にお茶を作る実演中の研究員に、なぜ狭山茶の米国輸出は衰退したか、今後、再興する可能性はありますか?なんて聞いてみました。いかんせん、想定外の質問でしょうから、やや困惑されたような表情のあと、このような内容でした。

「外国人には、緑茶は『青臭く感じるようです』」

これが海外への輸出の障害でしょうか?そこでこう聞いてみました。

「しかし、昔は、米国へ相当量輸出されていたと思いますが、昔は大丈夫だったんでしょうか?」

するとその研究員の方の説明は、予想外でした。


昔の緑茶は紅茶に近かった?


「おそらく、現在のお茶・緑茶と昔のお茶は少し違っていた可能性があるかも。製茶技術は明治以降、非常に進歩しましたからね。よくわかりませんが、江戸時代までは、むしろ紅茶のようなお茶を我々は飲んでいた可能性があります」

香りも色つやも、昔の緑茶は、ひょっとしたら紅茶に近かった可能性があることをはじめて知りました。もちろん、これは、茶業研究所さんの見解ではなく、たまたま世間話程度に話した研究員の方の個人的な見解かも知れませんが、私には合点行く話で驚きました。

案外驚かれる事実ですが、緑茶とウーロン茶と紅茶は、同じ茶葉から生産可能です。実際は、インドやスリランカの紅茶は、やや品種が違うチャの木の茶葉が使用されていますが、基本、同じ茶葉でOKです。

茶葉を収穫後、茶葉内の酸化酵素の活性を止めるか(緑茶)、途中まで進める(ウーロン茶)か、最後まで行かせる(紅茶)かの製造工程の違いで生まれる違いです。


酸化発酵が進んだ紅茶の方がわかりやすい?


私が体験した範囲では外国人に緑茶を出して感動してもらったことはありません。どうも、紅茶のように酸化発酵が進んだお茶の方が世界的に理解されやすいし、発展途上国なら、さらにお砂糖とミルクなどでこってり甘く味付けした方が好感を抱かれるという印象を抱いています。

私たちにとってお茶・緑茶の香りは、ほっとするひとときになっていますが、これは小さい頃からの食生活や習慣による学習の結果なのか、それとも生理的に本来、人が好ましいと感じるようDNAに焼き込まれた香りなのか、どちらだろうと考えると、どうも、やはり前者と思えます。

日本人でも、通の緑茶好きの間では、緑茶の中でも玉露などカテキンが少なくマイルドで甘い風味濃厚なお茶が好まれますが、同じように苦みや青臭さが残る緑茶より、深く甘くマイルドになった紅茶の方が海外の人に好まれることは納得できます。

ですので、現状のままで緑茶を外国人に理解してもらうことは厳しい気がします。ポパイのほうれん草のように教育効果がある映画やアニメなら世界の人々へのインパクトが大きいでしょうが、他に手法は思いつきません。


長期的にメリットが大きい緑茶


しかし、酸化発酵が進んだ紅茶よりは、酸化発酵を抑制した緑茶の方が、カテキンなどのポリフェノール類の濃度は高いため、飲茶という習慣におけるお茶は、緑茶を選択する方が、アンチエイジングや発ガン抑制など、長期におけるライフタイムの健康戦略としては、なにかとメリットが大きいと私は考えています。


(*1) 農林総合研究センター茶業研究所(358-0042 埼玉県入間市上谷ヶ貫244-2)


(2013-06-14)
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