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( 香水工場の )

香る生活


2013年 新作香水「ジャスミン」の顔、ラベルデザインはどれ?
(2013/02/28)

4月、新作香水「Jasmin(ジャスミン)」をリリース予定です。ラベルのデザイン案を一般のみなさまにお聞きするというミニ企画(2013/02/28)
2013年 新作香水「ジャスミン」

ジャスミンは香水3大フローラルの一つ


ジャスミンは、素敵な香りが人を虜にする花です。東洋ではお茶や髪飾りとして、西洋では香料として香水やローションの香りとして長い歴史を通して東西の人々に愛されてきました。

甘美な甘い香りが特徴のジャスミンは「香水3大フローラル」の一つ。とにかくポピュラーな香りです。3大フローラルの残る2つの花は清楚で可憐なスズランと優雅で豪華なバラ。

どれもすばらしい香りで、これらの花の人気は香水の出現以来、香水原料としてその人気は衰え知らずです。


なぜいまジャスミンの香水?


武蔵野ワークスは花の香りの香水をいろいろ制作しておりますが、この人気のジャスミンちゃんに関しては今まで出してきませんでした(もっともジャスミンの香りをメインとした香りとしてオードパルファム「上海」という製品があります)。

ジャスミンの花をテーマにした香りを出さない理由は、世の中にジャスミン製品はすでにいろいろですし、完成度もすばらしいものがたくさん。それほど求められていない気がしておりました。

ところが、ジャスミンの香りはトイレタリー製品には多いし、ジャスミンを配合した香水も多いのですが、ジャスミンの花そのままの香りの香水は?・・・「ジャスミンのお花の香りの香水、ありませんか?」というお問い合せを多くいただいております。

そこで、ついにそういうコンセプトの香水の製品化となった次第です(香りの開発自体はすでに終わっております)。この製品が2013年新作香水「Jasmine」です。



ジャスミン香水のラベル


そこで、今日のテーマは、香水ボトルの正面ラベル。香水の顔とも言うべきパーツですね。

いつもならデザイナーのドラフトをもとに、デザイナーさんとともに社内で「ああでもない・こうでもない」とディスカッションで決定するですが、今回はドラフトの時点で一般公開によりお客様のご意見も聞いてみるという企画にしました。

Facebookと本ブログにてドラフト公開中です。

みなさんは、どのデザインがお好きですか?

・人気投票の結果 → 新作香水「ジャスミン」のラベル、どたんばで別案に(ユーザー投票)(2012/03/16)

(2013-02-28)
( 香水工場の )

香る生活


月桃とハンドクリーム、香りいいね
(2013/02/16)

一つ前の記事香りのローズマリーとハンドクリーム、抜群の相性で、ローズマリーうんちくを思わず力を込めて書きまくってしまいました。今回は月桃ウンチクで盛り上がります(2013/02/16)
月桃・ゲットウ&ハンドクリーム


月桃はベタガードの香りの第2成分


前回が「ローズマリーとハンドクリーム」なら今回のテーマは「月桃とハンドクリーム」。香りのワセリン・ハンドクリーム「ベタガード」の香りのもう一成分が、月桃精油だからです。


無味・無臭のワセリンはどんな香りとも合いやすい


ワセリン(とくに断らなければ白色ワセリンのこと。医薬品や化粧品で使用されるワセリンは、デフォルト白色ワセリン)は、見事なまでに無味・無臭です。

私自身が、自分の鼻と舌で確かめたことです。精製度があがるほど無味無臭レベルも上がります。

無味無臭のワセリンを口に含むとぼやっとしてモゴモゴした感じで、決しておいしいモノではありません。食べ物ではありませんので食べませんが、食べても毒性はなくムダに排泄されるだけです。

ワセリンはこのように無味無臭なので、匂いのマスキングが不要です。

化粧品原料は案外、基剤臭といいますか、原料臭が強いものが多く、シャンプーなどは香料でこってり香り付け(マスキング)してあげないと使えません。昔のシャンプーは「無香」「無香料」「微香」などと宣伝した製品が多かったのですが、本当に無香料ではなくある種のトリックがあったものです。


「隠し香」は月桃精油


その点、ワセリンは本当に無香料で使用できます。マスキングが不要なので、思い通りの香り付けが可能です。単純にレモンの精油を入れればレモンの香りだし、ローズの精油を入れればローズの香りになります。ありがたいです。

そこで今回「香りのワセリン・ハンドクリーム ベタガード」に採用した香りは、ローズマリーだったのですが、ここに隠し味ならぬ「隠し香」を入れてあります。

それが月桃(げっとう)です。


月桃とは、沖縄のハーブ


月桃(げっとう・ゲットウ)はご存じでしょうか?

産地の沖縄では「サンニン」と呼ばれます。沖縄に行けばそこかしこに自生しており、沖縄の人々の生活に溶け込んだハーブです。

沖縄では月桃の葉にムーチー(お餅)を包んで蒸す伝統があるほか、肉や魚の匂い消しに月桃の葉で包んで蒸し焼きするなど行われるそうです。

私自身は、月桃ムーチーは食べたことがありますが、月桃の肉料理は経験がなく、次回はどこかで試したいと思います。


月桃の香りは、和的薬草風ハーブな香り


月桃の香りですが、うーこれが何ともいえない和的に刺激的。

香りの印象は「ローズマリー+南洋系ハーブ」の和的変則バージョン風。

すみません。意味不明のことを言って。ちょっと表現しにくいです。「南洋系ハーブ」とは、ここではユーカリ・ティートリー・ニアウリ・カユプテなどを念頭しています。オーストラリアからインドネシア、ニューカレドニアの太平洋の島々に自生するフトモモ科の樹木で全部似たような香りの精油を産出します。

月桃は、同じ南の島系ながらユーカリやティートリーともちがい、薬草のような香りながらローズマリーとも違います。それらをミックスして「和的な香り」といえば私にはややしっくりする印象です。

月桃の香りは、個性的な香りで他にはあまりない香りです。月桃もいくつか種類がありますが、ベタガードに採用されている月桃は、沖縄西方の絶海の孤島・大東島で生産されている「大東月桃」(ダイトウ・ゲットウ)です。

同じ月桃ですが、その香り立ちは、沖縄本土の月桃よりマイルドで穏やかな印象を与えます。


月桃とローズマリーの相性がいいこと


ベタガードはローズマリーの香りで全部覆ってしまっても魅力的な香りだったと思いますが、さすがにヨーロッパでは伝統的に人気のハーブ。当然ローズマリー・ハンドクリームはヨーロッパにいればそれなりにポピュラーなんですね。

ユニリーバさんやP&Gさんのような多国籍・国際大資本のワールドワイド製品にはあまり採用されませんが、現地の、香水でいうなら「メゾンフレグランス」のような小規模なブランドや企業さんからは、ローズマリー・ハンドクリームはいくつかあるようです。


Made in Japanな雰囲気を支える月桃の香り


そんなわけでローズマリー単体の香りでなく、「日本製」「Made in Japan」にふさわしい香りとして、いろいろな精油をブレンドテストしたところ月桃オイルとローズマリーオイルの相性のよさを発見しました!

ベタガードでは月桃の香りは、ほとんど目立ちませんが、裏でしっくりと香りをサポートしている印象。たとえて言えば、ヨーロッパ系ダンタと日本人の奥さん的な相性。すみません、意味不明のワード連発して。

市販されている製品としては、「月桃+ローズマリー」は世界初の珍しいレアな香りだと思います。

ぜひお楽しみください。香りのワセリン・ハンドクリーム「ベタガード」


(2013-02-16)
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香る生活


香りのローズマリーとハンドクリーム、抜群の相性
(2013/02/14)

脂っ濃い肉料理をさっぱりにしてくれるローズマリーは人気のハーブ。このローズマリーがワセリン・ハンドクリームもさっぱり奥深くしてくれるハーブだったと判明(2013/02/14)
ローズマリー&ハンドクリーム


ネーミングが美しすぎるローズマリー


いや、まずはネーミングができすぎ、ですよね。ローズとマリーでしょう。マリア様のバラなんて空想しがちですが、Wikipediaによれば、ローズマリーの学名「Rosmarinus」はラテン語で「海のしずく」だそうです。

・ros → ロス(滴)
・marinus → マリヌス(海の)

ふーん、そうだったのか。

ローズマリーは、海岸だけ生えているわけではありませんが、原産が地中海沿岸だったそうで、いかにも白い乾いた大地に生えてきそうな葉っぱと枝振りが「地中海」風。納得です。

「海の滴」なんですね。

そういえば、ローズマリーの花はやや淡いブルー、たとえて言えば水彩画の絵の具ででるようなブルー。これが「滴」と言われるようになった原因かな?


薬草のような香りが食欲をそそるローズマリー


ローズマリーを栽培した経験がある方は、共感されるかもしれません。ローズマリーは、とにかく生命力全開のハーブです。

本来、乾燥した土地を好む植物ですが、わが日本の高温多湿・亜熱帯気味の気候条件でも、ばっちり・がっつり育ってくるケースが多いのです。

「放っておいたらあっという間に!」状態のローズマリー屋敷やローズマリーお宅は、東京でもけっこう多いのではないでしょうか。

日当たりは良い方がいいですね。湿気を嫌うので、そこを注意しておけえば、真夏の炎天下でも、カラカラの日照り・乾燥が続いても旺盛に茂みを増やします。

日本の冬もラクラク越しちゃいます。多少の切り込みを入れてもなんのその。料理用にドンドンむしり取っても元気なところが凄いハーブです。ベランダでも植えて、料理中にちょいと葉っぱを・・・なんて方、おられるかも。

生命力が旺盛なハーブは、その精油も葉っぱも旺盛な生命力を人に分けてくれます。ホホバオイルしかり、シアバターしかり、オリーブオイルしかり、・・・同じですね。



ローズマリーのアンチエイジング効果


現代の最先端技術をもってしても、残念ながらアンチエイジングの特効薬は開発されていません。そもそも「老化」のメカニズムや起因物質が特定されていませんので、アンチエイジング特効薬はまだまだ本当に夢のクスリですね。

しかし「老化を遅らせる」物質やクスリは、いろいろ出始めています。ローズマリーは、そんなアンチエイジング効果が期待されるハーブの一つです。


植物から模倣されるアンチエイジングの薬


老化を遅らせるクスリは、どれもプロテオーム解析など高度な分子レベルの分析とシミュレーションから合成タンパク質が多いそうです。

アンチエイジング物質を研究している医薬品メーカーの知人によると、おもしろいことにアンチエイジングのクスリ開発は多くは、植物のタンパク質からヒントを得ようとしているそうで、実際のクスリも植物のタンパク質の模倣が多いそうです。


ローズマリーで奇跡が起きるとは言えませんが、ヒントがあるかも


ローズマリーは、西洋では伝統的に、リューマチなどの関節炎や記憶力改善にしばしば利用されてきたため、そんな夢のクスリになる可能性があります(リューマチなどの関節炎は老化メカニズムの鍵)。

ローズマリーを食べれば、ダイレクトにアンチエイジング効果が出ると言う意味ではありませんが、ポテンシャルがあるということが凄いハーブです。医薬品学会では、アルツハイマー病やパーキンソン病への効果も期待されるそうです。


一石四鳥くらいのローズマリーの香り


ローズマリーの香りの種類は、グリーン系で、薬草風の香りが食欲増進を刺激します。そのためヨーロッパでは伝統的に古い時代から(おそらくローマ時代にはすでに食用にされていた)から、肉料理の香り付けハーブやスパイスとして有名でした。

しかもローズマリーには強力な消臭効果や抗菌作用、抗酸化作用も強く、インド産の胡椒などスパイスがヨーロッパにもたらされるまで肉の保存物質としても利用されていました。まさに一石二鳥どころか一石三鳥、一石四鳥といったメリットがあるハーブです。

香りのローズマリー・ハンドクリーム


ローズマリーの香りがワセリンもさらさらに


今回、リリースした香りのハンドクリーム「ベタガード」(キャッチコピーが「さらさらワセリン」)では、ローズマリーを配合しております。試作段階では様々なハーブを配合しました。

とくに一般の方々にも無料配布した「ベタガードNo.6」ではラベンダーを採用しましたが、悩みに悩み抜いた末、ローズマリーが採用されました。

・清潔感のある香り

・料理との相性のより香り
  → (ハンドクリームを付けた手で料理される方もおられますので、食品混入しても安全かつ料理の香りをスポイルしない香り)

・消臭効果や抗菌作用、抗酸化作用がある香り

・ワセリンのベタベタ感を軽減してくれる香り

ラベンダーよりローズマリーの方が、ちょっとだけ投票数が多かった結果です。


香りのローズマリー・ハンドクリームの出来上がり


ベタガードがついにできあがりました。主成分はワセリン。ワセリンといえば、皮膚科で処方されるクスリの代表的成分、もしくは軟膏薬の基剤として、薬効成分(たとえば、ステロイド)溶かし込むための成分として多用されています。

口内炎や目クスリの基剤として利用されるだけに体内に入っても安全性が認められている物質です。

しかし!とにかくベトベト。

ベタガードの語源自体、「ベトベトのワセリンが主成分だよ」と明示するためのネーミングですので、その粘っこさは言うまでもありません。

安全性と効果が世界的に認められながら、なぜかハンドクリームとしてワセリンを採用するハンドクリームは少ないのが現状です(一般的なハンドクリームは、乳化系といってオイルと水を乳化させたものが多いようです)。

これはワセリンのベタベタ感にその原因があると当社では分析しています。そこで、ベタガードの開発では、ワセリンのベタベタ感をどうやって軽減するか、がテーマでした。

答えは、ローズマリーの香り。



ローズマリーの香りがワセリンを使いやすくする


ローズマリーの香りが、ワセリンのベタベタ感の緩和に役立っています。こしてローズマリー・香りのハンドクリームができあがりました。

現在、メール便無料キャンペーン中です。メール便で発送可能なベタガードをぜひお試しください。



(2013-02-14)
( 香水工場の )

香る生活


ムスク香水とムスクの誤解
(2013/01/19)

香水に関わる仕事をしていると「ムスク」は避けて通れない。しかし、本物のムスクを体験できる機会はあまりありません。その体験希少性が誤解の元?・・・ムスクの誤解と本当について(2013/01/20)
(2011-07-27 加筆版)

香水のあまりにも有名な成分


先日は、「香水にはオシッコが混ぜられている」という香水の「オシッコ伝説」について書きました(絶対にありません)。きょうは「ムスク伝説」。

ムスクは、香水成分でもっとも有名な成分の一つです。あまりにも有名で、香水の一成分なのに「ムスク香水」なる香水ジャンルさえ形成する勢いです。


ムスク香水というジャンル


ムスク香水の場合は、そのまま「ブランド名+Musk」や「ブランド名+White Musk」のように商品名の一部に「Musk」を取り込んだ製品もありますが、Muskを商品名に入れていなくてもムスクをウリにしている製品はたくさんあります。

さて、このムスク、いったい何だと思いますか?香水業界では、代表的な動物性香料とされます。


ムスク伝説、その1


ムスクとは、ネパールやヒマラヤ周辺に生息する小柄なジャコウジカ(麝香鹿、musk deer、シカの一種)から採取される香料です。ジャコウジカは原種に近いシカとされ、小さく弱々しい感じの動物です。

(ネットで検索すると写真が出てきますが、本当に弱々しくみすぼらしい感じのバンビに見えます)

ムスクはジャコウジカの睾丸から採取されるという伝説があります。ウソです。


香嚢から分泌される特殊な皮脂


ムスクは人で言えば皮脂みたいなモノで、その特殊な皮脂を分泌する香嚢(musk gland)という器官がおヘソの下あたりにあります。

そこでムスクが生成されます。

「Musk」は、もともとサンスクリット語で「睾丸」を意味する言葉だったことが、ムスクの睾丸伝説の発生原因と思われます。


ムスク伝説、その2 フェロモン効果?


また、ムスクはオスにしか生成せず、そのニオイがメスを引き寄せるためのものと言われています(他の説もあります)。

ムスクのメス誘因効果は抜群であり、メスのシカどころか人間さえもセクシーな気分にさせる不思議な力があることが古来より知られているスペシャルな香料です。

人間の場合、男性も女性もムスクでセクシーな気分になると言われておりジャコウジカとは様相が異なりますが、「セクシーな気分」(性的興奮度)をどうやって科学的に計量するかとなると信頼できる数字を私は見たことがないので、あくまでも気分の問題に見えます。

しかし、ムスク香水で色っぽく輝いている女性ってたまにおられますので、効果があるのかもしれません(ただし、ムスク香水のムスクは、合成香料のムスクであり本物ではありません)。

「ムスク=フェロモン効果」という伝説も、そういう事情から生まれた伝説と考えられます。個人的には「ムスク=フェロモン」は信じられません。プラシボでは?

なぜなら、現在本物のムスクを使用している人は、ほぼ0%なんですから。


ヒトのフェロモン物質は不明


ヒトフェロモンは発見されておらず(発見されたと主張する人々はおられます)、ヒトへの性的興奮作用や異性誘導効果は依然不明です。


今時のムスクは、100%合成香料


ムスクはジャコウジカから採取すると聞いて、心配になられた方もおられるかもしれません。ご安心ください。現在、ジャコウジカからムスクを採取することは学術用途以外、確実に減少しています。

市販の香水で本物のムスクを使用した香水はまずないでしょう。

本物のムスクは高価というだけでなく、ムスクを輸入することはワシントン条約で禁止されています。

また、香料を採取するためだけに動物を傷つけることは世界的に非常識になりつつあり、本物のムスクを使用したい香水メーカーは今時存在しないことがその理由です。

現在では、合成100%のムスク香料が本物のムスクの代替品として利用されています。


問題も少なくない合成ムスク


合成ムスクは様々なものが開発されていますが、残念ながら現代の最先端技術をもってしても天然のムスクの完成度には遠く及びません。


ニューケミカルの合成ムスク


多くの合成香料は、自然界に存在する香り物質の分子構造を再現したものです。よって、「合成」か「天然」か科学的にも区別できないものが多数あります。

一般消費者からは「合成香料」というだけで嫌われますが、実際は「合成」「天然」の違いがないものがほとんどです。あえていえば「天然」は不純物が含まれやすいという状況があります。

ところが、ムスクの合成香料に関して言えば、合成ムスクは天然ムスクの再現ではなく、自然界に存在しなかった物質を人工的に作り出したもの(ニューケミカル)がほとんどです。


長い年月使用したあとの副作用リスク


ニューケミカルは、それまで自然界に存在しなかった物質ですので、数十年・数百年使用したときにどんな副作用が含まれるかわらない点がリスクです。

実際、1900年代初期に作り出されたムスクは現在では発ガン性が疑われ使用されなくなりましたし、その後の合成ムスクには環境ホルモン的な疑いがもたれております。また、安全性の面でも問題が提起されることがあり、何かと話題の多い香水原料です。

近年、安全性の高い合成ムスクが作られるようになってきており、今後の合成ムスクの進化は香水産業の発展に大きな影響を与えそうです。


一般の人でも本物のムスクを体験できる機会


世界広しと言えども、一般の方が本物のムスクを手にとって体験できる場所はほとんどありませんが、なんと、この日本にはそういう場所とチャンスがあります。

お香専門店です。

沈香や伽羅といった香木は、もはや誰も入手できないほど稀少で高価なものですが、日本のお香専門店には、ムスクを含め、沈香や伽羅などの稀少香料の数百年にわたる備蓄があるのです。世界的に見ても、稀少香料の天然資源保管施設の役割を果たしています。

たとえば、京都の松栄堂さんにはシャネルなどの蒼々たる香水ブランドの重鎮さんたちが通われていますが、彼らでさえ入手できない香料とそれらに対する加工技術・伝統あってこそと思います。

幸いなことに、日本のお香専門店では、一般の方を対象として「お香作り体験セミナー」のようなイベントが比較的頻繁に開催されており、ごく微量ではありますがムスクに触れる機会があります。

本物のムスクを体験したい方は、ぜひ探し見てください。私は、山田松香木店さんで一般観光客の方々に混じって体験したことがあります。感動的でしたよ。



余談ネタ、MuskとMuck


「Money is like muck, not good except it be spread」(Francis Bacon)

英語名言集を読んでいたら「Muck」が「ムスク」に見えて目が留まりました。よく見ると「Musk」ではなく「Muck」。Muckは「肥溜め」「堆肥」という意味でした。

(Muckは、「ムック本」のムック(Mook)ではありません。発音はむしろ「マック」、Muskの発音はむしろ「マスク」)

フランシス・ベーコンはヨーロッパ中世のイギリスの哲学者。中世ヨーロッパでは肥溜めが畑の肥料として利用されていることを知り新鮮でした。有機循環型社会ですね。今はどうなんでしょうね?

「カネは、肥やしのようなもので、まき散らさなければ用をなさない」

ビジネスマンたる者への教えでしょうか。よい名言なのでぜひ覚えましょう。




(2013-01-19)
( 香水工場の )

香る生活


ワセリンパワーを実感してほしい
(2013/01/17)

ワセリン、凄い!と感じています。ワセリン・ハンドクリームの新製品開発で感じたワセリンの薬効とは?(2013/01/17)
ワセリン・ハンドクリーム

ワセリンの一番好きな部分・・・「薬効がない」


ワセリン・ハンドクリーム ベタガードの開発は一昨年からやっていますが、この間にワセリンの勉強やテストもいろいろやって、自分なりの結論は「薬効がない」という点がワセリンの凄さかなと感じるようになりました。

薬効がないということは、刺激がないということですが、そういう物質は案外少ないんですね。だから、口内炎の基剤や目薬の基剤として体内や粘膜に触れても無害で非常に安定しています。

スキンケアの分野では、ワセリンは「保湿成分」のような言われ方がされがちですが、間違っていないにしても正確ではありません。ワセリンは保湿成分ではなく、皮膚から水分を蒸発されないだけの物質です。

わかりやすく言えば、ラッピング効果だけあって自分自身は皮膚や細胞に対して水分補給を行うことはありません。


人が本来持つ自然治癒力を引き出す


ワセリンは水にほとんど溶けず、流されることも少なく、皮膚からの水分蒸発を防ぎ、外界からの刺激をシャットアウトするだけの無口で無骨な兵士のようなイメージを抱いています。

ワセリンは、傷口に塗布する軟膏薬として非常に多く使用されますが、原理的には薬効がありませんので、傷口を保護するだけの役割であって、傷の補修は人が本来持つ自然治癒力で直すしかないという考え方の薬です。

人の自然治癒力を引き出すためワセリン、医薬品としても化粧品としても、かなりおもしろい存在ですね。


ワセリンの副作用、100%無害という物質は存在しない


ワセリンが治療薬やスキンケアの成分として使用されるようになって100年以上の歴史があります。しかも現在でも、スキンケアや皮膚科ではもっとも利用頻度が高い成分、使用量は、おそらく世界の皮膚科御用達ナンバーワンの成分と思われます。

それだけ長い時間かけて、それだけ多くの人々によって実証されてきた成分だけに安全性は高いと思われますが、しかし、「すべての人に100%安全」という成分は存在しません。

ネットで検索するとワセリンを塗ってアレルギー反応が起きたという人もいれば、私自身は、直接は見たことも聞いたこともありませんが、紫外線による油焼けの副作用を指摘する方もおられます。ワセリンは原油精製で作られますので、微量に含まれる硫黄分や有機系成分に対する光線過敏症と思われます。

そもそもワセリンが石油成分の一つということ自体、問題にされる方もおられます。

「石油の成分をお肌に塗るなんて・・・」


なので、すべての人におすすめできるわけではありませんが、ワセリンの実績の高さを超えられるこの種の成分は他にありません。

ワセリンのよさ、見直してみませんか?

もうすぐワセリン・ハンドクリーム ベタガード、リリースです(2013年2月1日)。


(2013-01-17)
( 香水工場の )

香る生活


香水パッケージは目の保養
(2013/01/17)

デザイナーの友人からメールをもらいました。用件の追伸に香水ショップに行ったことが書かれていました。香水のボトルやラベルは、各ブランドさん渾身の作品だけにデザイナーの目にも刺激になるようです(2012/01/17)

追伸、そうそう・・・



「そうそう、
先日有楽町の阪急メンズ館の1階に
フラッと入りました。
メンズフレグランスがたくさんあって
目の保養になりました。

案外紙ラベルをガラスのボトルに貼っている製品も多くありました。
その紙質もナチュラルな紙の素材を生かしているものに
繊細な印刷や箔押しをしたものや、
発色のよい艶のある紙だったり、
いろいろあってステキでした。」

さすがに目の付け所がデザイナー魂丸出し、デザイナーとは、見るものすべてが、勉強の対象なんですね。


香水パッケージの変化のトレンド


以前、世界のブランド香水の場合、香水ボトルたるもの、

・アイテムごとにオリジナルの金型を起こす
・ラベリングは、ボトルへの直接印刷

が常識だったのですが、違う時代になったんですね。

現在は、同じボトルをそのままか、装飾を多少変えただけの同じボトルを使い回し、ラベリングは紙ラベルで代用することが多くなりました。世界的な傾向です。



変化の原因は?


記憶にある範囲では、10年くらい前からこの傾向は顕著になってきました。

主な原因は2つ。

・香水ブランドに大手資本が流入したこと
・香水新製品の種類が爆発的に増加傾向のあること


ブランドも資本主義経営の時代


ブランドさんに世界の大資本が流入するようになると、ブランド経営の第一ポリシーは、それまでの家族経営から現代的な資本主義経営へと変貌しますので、当然コストカット圧力が高まります。

香水瓶の場合、オリジナルの型制作は最低でも100万円でしょうか。ブランドさんの場合は著名なボトルデザイナーを起用しますので、その周辺のコストまで含めると、オリジナルの香水瓶を生み出すためのコストは数千万ということも珍しくありません。

香水の中身ではなく、香水ボトルの原型(金型・成形型・mold)だけの話です。コストカットの対象になりやすい部分です。


限りなく爆発する香水の新製品数


また、香水新製品の種類が爆発的に増加中であること、つまり香水の新製品が多品種少量生産方式になってきたことも変化の大きな要因です。

シャネル5番のように1種類の香水を100万本や1千万本単位で生産するような製品は今後、香りの嗜好も香りなく細分化しきた現代では限りなく出現しなくなるでしょう。

ちなみにシャネル5番クラスになると香水業界では「製品」ではなく、「インダストリー」(産業)と呼ばれるくらいのモンスター製品です。

こうして、同じ香水ボトルの使い回しと多品種少量生産が可能な紙ラベル方式への移行が進んでいます。



表現力は、紙ラベルの方が圧倒的に高い


この現象をネガティブに捉える香水業界関係者もいますが、悪いことばかりではなりません。ガラスボトルへの印刷は面積・材質・色彩・精度、どれをとっても紙ラベルの表現力にはかないません。

香水をより、楽しくファンタスティックに装わせる紙ラベル、もしくは紙にかわる材質のラベルが今後の香水に「顔」になっていきますが、さらに夢のあるテイストが生まれてくると思われます。



(2013-01-17)
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