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香る生活


香りのニュービジネス#2(創業)

日本の香水市場


欧米では、香水市場は化粧品全体の中で大きなセグメントを占めていますが日本の香水市場の市場規模は小売りベースで300〜500億円。化粧品全体からみれば、なんと2〜3パーセント程度です。

日本の化粧品市場は圧倒的にスキンケア市場です(1兆円)。

年一回のおせち料理の市場規模は一説に500億円、お菓子の「柿の種」の市場規模は400億円と言われています。


日本企業が香水に本気になれない理由


比較すると香水の市場規模がなんとかく実感されます。

しかもこのわずかな日本の香水市場は欧米の高級ブランドの独壇場。

このように日本では香水の市場自体が小さいだけでなく海外勢の圧倒的プレゼンスの前に香水メーカーも香水ブランドも育ちにくい環境になっています。

日本の化粧品会社が香水に対して本気になれない理由がこのへんですね。


武蔵野ワークスの創業


当社は1996年創業の香水専業メーカーです。90年代後半はインターネット黎明期でありイノベーションに伴うベンチャー企業が多く生まれた時代でした。

武蔵野ワークスは、香水メーカーであると同時に、そのネット企業になりたいと考えていました。

技術革新を直接のビジネス対象としたわけではありませんが、商品販路としてインターネットをほとんど唯一の媒体としたことがその理由です。

百貨店やテレビショッピングへの出店も経験ました。とくに新宿伊勢丹さんでの長年の出店はブランドの確立に大きな影響があったと感謝しております。

しかし、販路の主力はあくまでネットですし今後もネットです。

一般にネットベンチャーは、起業にあたり資本家やキャピタリストからまとまった創業資金を得て一気に立ち上げます。

そして、IPO(*1)でキャピタルゲインを出資者にリターンという形態が多いのですが(スターバックスもそうでしたね)、当社は完全に違っていました。


遊びからはじまったビジネス


当社の場合「創りたいものを創り、それを売る」という自己満足型ビジネスからスタートしています。

「遊び」のようなビジネスモデルです。

反面、圧倒的多数の消費者向けという大きな企業さんに降りかかる構造的縛りがありません。

大企業さんならどうしても「最大公約数的」商品開発&生産にならざるをえません。

自己満足型ビジネスなら個性的な製品作りが行えるというメリットがあります(経営はリスキーですが)。

香水の製品開発は社内パフューマーによる調香、香料会社のコンパウンド(調合香料)の利用、海外パフューマーへの開発依頼、またはそれらの組み合わせで行っていますが、伝統的に自社開発をメインとしています。

(*1)IPO:株式公開。2000年前後のネットバブルでは、IPOで巨万の富を築く事業家や資本家が続出しました。

(続く・・・)


->この記事は、#2

香りのニュービジネス#4(ニッチなマーケット)
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
香りのニュービジネス#2(創業)
香りのニュービジネス#1(背景)
(2011-02-25)
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香る生活


香りのニュービジネス#1(背景)

「香りのニュービジネス」寄稿依頼


ある出版社から寄稿依頼をもらいました。

香り関連雑誌の本文に挟む挿話として「香りのニュービジネス」について1ページ程度の寄稿依頼です。

社名が著名な雑誌(香り業界では)に掲載されるというマーケティング上の理由で、当社にはラッキーなお話でした。


すれ違い


しかし、原稿案を出してみると予想外にも難色。

武蔵野ワークスがテーマとしている「日本発の香水」や「日本製香水」は、どうでもよくて、昔盛んにやっていた企業向けやイベントのオリジナル香水制作にご関心があった模様。

企業向けや芸能人、イベント向けのオリジナル香水制作はたしかにやっていました。

今もやらないことはないのですが、ビジネス的には赤字で、それをメイン業務にしていたら武蔵野ワークスは今は存在しない。

オリジナル香水制作業務の意味は「珍しいサービス」というニュース的な効果、マーケティング的・広告的な価値でした。

残念ながら収益的には「継続不可能」「存続不可能」なビジネススキームでした。


自分ならリアルな事例を読みたい


「香りのニュービジネス」がテーマなら、読者もビジネスとしてリアルな事例、リアルなストーリーを期待しているのでは?と考えると、ビジネスとして成立しないものを書いても・・・

となんとなく腰が引けて辞退することに。本当にありがたいチャンスを失いました。残念。


武蔵野ワークスのストーリー


中小企業レンジの中でもかなり「極小」帯に属する当社ですが、「日本発の香水」は地道に発信し続けています。

ホームラン級ヒットはなくても長年継続しています。その部分は小企業なりにリアルなストーリーではないかと自負しているんですけど。

今回、貴重な機会をいただき結果的に雑誌掲載なりませんでしたが、今回したためた記事を数日に分けてこのブログで掲載させていただきます。

どちらかというと「武蔵野ワークスストーリー」のような雰囲気ですが、特に「香りビジネス」に関心がある方にはお楽しみいただけるかもしれません:

(続く・・・)


->この記事は、#1

香りのニュービジネス#4(ニッチなマーケット)
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
香りのニュービジネス#2(日本の香水市場と創業)
香りのニュービジネス#1(背景)
(2011-02-22)
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香る生活


取引先担当者との別れと出会い
2011-02-13

香料会社さんとのミーティングで都心に出ていくついでに、かねて打ち合わせしたいと考えていた取引先に立ち寄ることにした。

当社の決済関連のシステムを提供している会社さん。

ネット決済はグローバルに見るとPayPalの優勢は圧倒的ながら、日本の決済サービス会社さんは今のところ黒船の上陸をうまい具合に阻んでいる。

さて、担当者に電話を入れると「○○は退職しました」と。

そんな予兆さえ感じなかった。連絡もなかった。

この取引先の担当者交代は、これで3度目。案外速目のテンポ。

前任者も転職のための退職だった。お互いフレンドリーな関係だったが、関係はあっというまに去りゆく。

個人間の付き合いではないので、組織の事情や本人の退職で担当者が代わるのは仕方ない。

しかし、なんか積み上げてきた信頼関係のようなものがフッと消えてなくなる。

自分が一方的に「信頼関係」と思っても先方は、そうでなかったということかな。


(余談):そういえば現在の事務所に入居する際、三井不動産の担当者の方はトコトン親切だった。

あれこそ一度きりのお付き合いなのに、と思ったものだ。新しい事務所に引っ越して数ヶ月後、突然電話があった。「退社のご挨拶」と言われ、これもなんとなく若干の寂しさが。

(2011-02-21)
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香る生活


フルーティな香りが降りる梅の花

雪の連休と梅の花


この連休、東京は久々の雪に見舞われました。寒かったですね。デスクワークをしていても寒さはヒシヒシ。

凍える手足は・・・仕方ないですね、イマイチ暖房が効かない超エコな事務所ですので(寒いので内心出社をいやがるスタッフも)。

シンシンと雪降る外を見ていると野鳥や野生の動物はどうやってこの寒さをしのぐのかとチラッと心をかすめます。春が待ち遠しいですね。

・・・なんて見渡すといつの間にか、いたるところ赤や白の花をつけた梅の花が咲きほころんでいました。この寒い中にまあ元気なものです。


武蔵野を埋める梅の花と芳香


武蔵野では梅の木はご家庭のお庭の定番樹木。普通に梅だらけなので、この季節は武蔵野全体が梅祭りのようなものです。

旧農家だったお宅(まだまだ武蔵野には多いんですよ)などはすばらしい梅がワシャワシャ茂っていて満開の頃は心まで明るくなります。

日本の懐かしい風景ですね。

また、武蔵野が梅の花で埋め尽くされると風の中に、かすかなフルーティーな香りが混じるようになります。

ちょっとしたはずみや瞬間に「あれ?甘い香りした?」なんていう感じです。


香りは沈む煙のように


梅はフルーティな香りを漂わせますが、多くは強くありません。またまったく香りを出さない品種や個体も多いようです。

その微妙さが、また超日本的です。強烈メリハリある香りを愛する外国人が共感できない香りのニュアンスかもしれません。

しかし、香りを発している梅の花の下にたたずむと微かな香りが降りてくる感じがはっきりわかることがあります。

そのときわたしには、梅の花が音を立てて芳香を噴射している幻想にとりつかれます。

そんなときの梅の花の香りは、ドライアイスの煙のように香りの重さで静かに頭上から香りが降りてくる感じです。

幸福な瞬間です。


(2011-02-14)
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香る生活


乾燥の季節、甘い濃厚香水もサラリと

空気の乾燥具合


最近の日課は、出社したら湿度をチェック。20%代が続いています。先日は15%と表示していたことがあり例年より乾燥が厳しく感じられます。


静電気は稲妻のように


近所のレストランで食事して、レジでお金を払おうとした指先が、レジの店員さんの手に接触した瞬間、バリっと静電気放電で「おっ!」と心中、声を上げてしまいました。

心臓が弱っていると「まずいかも」と思える激しさ。

こんな光景、日本の冬の風物詩ですね。


香りのスメリング、濃厚系香水もまかせない


これだけ乾燥すると、不思議とどんな甘い濃厚な香りもOKになります。多くの人が同じような体験をされるかもしれません。

社内では日常的に新しい香水の新作や試作品、社外の香水などスメリングする機会があるのですが、夏場は苦しい甘い濃厚な香りが、すんなりと鼻の中に入っていきます。


香りはOK、乾燥の季節も悪いことばかりでない


香りの仕事で多少、香りの評価をする立場上、好き嫌いを別にして公平にうんちくすることが求められますが、冬場はこれは案外サラリといけるので、いいといえばいいことです。

乾燥しずぎる季節、あまりいいことは多くないのですが、探せば、ちょっとだけいいこともいろいろ。

(2011-02-03)
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香る生活


石鹸の香りは、温もりがある香り?

絶えない質問、「石鹸のような香りの香水」


先日フレグランス協会の会合に出ました。香水関連の同業者が集まる会合です。

フリートーク時、話題になったトピックの一つが「石鹸のような香りの香水」。この質問、多くのフレグランス関連業者にとって、消費者からの質問の上位なんです。

(逆に言えば、「石鹸のような香り」の香水を商品化すればヒットの可能性が高い!というおもしろい図式)


海外では聞かれない


欧米では、まず聞かれることのない質問。私もあちらのパフューマーさんに聞いてみたことがあるのですが「石鹸のような香りって、どういう香り?」と逆質問をされました。


石鹸の本当のニオイ


あえていえば、香水業界の人間にとって「石鹸の香り」とは「脂臭い」イメージが来ます。石鹸の原料は、脂ですから。


石鹸の香りのイメージ


石鹸はトイレタリーなので、香水のように使う人が限定されることなく大多数の人に愛される香りでなければなりません。

大多数の人に愛される香りとして、日本で昔から多く出回った石鹸の香りは「ホワイトフローラル系+ムスク」の香りでした。

スズランは代表的な石鹸の香りではないでしょうか。

(もちろん、これらは香料によって香り付け・マスキングされたもの。石鹸の本来のニオイとは無関係)

これが現在の「石鹸の香り」のイメージを形成しているものではないかと感じています。

私の個人的な意見ですので反論も多いかもしれません。しかし、後付けされた香料の香りは、概ね「優しい香り」。

ホワイトフローラル系の花の香りは、優しいイメージに香りもビジュアルもぴったりです。

そして、はずせないのがムスク。


暖かく優しい温もり


ムスクは、多く使いすぎると頭痛を起こしますが、薄いとお肌の暖かみを感じさせる部分があります。

子供の頃感じたお母さんのお風呂上がりの時のニオイのようなものを無意識に私たちは求めているのかもしれないと感じています。

これが「石鹸のような香り」を託された無意識の動機・モチベーションかも。


(2011-01-24)
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