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香る生活


新年への抱負#3 手仕事工場

オール手仕事からちょっとだけアップグレードしたい


一方、当社の香水工場。製品の製造は超多種品・超少量生産、全行程が手仕事です。

まして、神経系にあたるデジタルネットワークは、電話&メールの実質的にアナログ系、急を要する場合は工場長に泣きを入れて割り込みで生産ライン確保。

これも職人芸の一つといえば言えないことも。

あくまで「人間系」「人情系」。リアルタイムな在庫管理や情報伝達、リアルタイムな需要予測など夢の夢です。

システムにサポートされない運用は、仮に職人芸的在庫管理の番頭さんがいたとしても、在庫切れの発生は免れないものです。

が、一方では、なんとブランド全体が「限定」を醸し出すイメージにもなったりして、この希少価値が逆にブランドの価値を上げている部分が否定できないところが、悩ましくも痛し痒しの部分です。

試験的に参加したQVCを撤退しから1年以上経過しますが、未だかかってくる電話では、お客様に「なぜ止めたんですか?」「もうオンエアないんですか?」という質問を何度となく受けています。

しかし、QVCのテレビショッピングに当社が出演するということには、それが好きかどうかは別として、構造的に無理がありました。

・売れない日のオンエアは巨大な商品在庫となり社業をシビアに圧迫します。
・売れた日のオンエアは30分で1000本程度行ってしまいますから、それも社業を圧迫しました。

つまり、どうしたってテレビ通販向きではなかった。

当社のロジスティックスといえば、工場で完成した製品は「よっこらしょ」と手で持ち上げて台車に乗せて人の手で倉庫に運ばれます。多めの在庫は東村山の倉庫へ。

それも夏場になれば自社工場の薄暗いエリアへ移動。すべて手仕事。まずは足腰の鍛錬が必要というのも香水ビジネスには不似合いですが、まあ実状なんです。

この手仕事風景は、のどかで味わいもあるのですが、少量すぎる生産にはいろいろ問題があります。品質の安定性という部分の悩みだけでなく、ビジネスの規模に由来する問題です。

仕入れやロジスティックスの効率性からスケールの拡大にひた走る世界のメジャーコスメやメジャートイレタリー会社流がすべて良いこととは思えません。

しかし、ある程度の規模とプレゼンスがないことにはよい商品を作り続けられない現実を噛みしめています。

巨大ビール工場を眺めてながらそんなことを考えていました。

来年は生産規模を少しだけビッグにアップグレードする抱負を描いています。

来年とはいえ、あれ、もう明日に迫りましたね。・・・



今年一年、お客様、そしてこのブログを読んでくださった読者の方々に心よりお礼申し上げます。

素敵な年末年始をお過ごしください。


この記事は#3

#3 手仕事工場
#2 回り続ける輪転機
#1 巨大ビール工場

(2009-12-31)
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香る生活


新年への抱負#2 回り続ける輪転機

止めれない巨大システム


逆に、出荷が一瞬でも途絶えると工場は赤字なんでしょう。入荷も途絶えますので、サプライチェーンに組み込まれたグループ企業、関連企業、取引先、原料を納める農協や契約農家、すべての循環が滞ります。

サプライチェーンのことは知らないので、あまり書けませんが、コトバのイメージは在庫なしのリアルタイムな物量システム。

血液のように流れ続けないと危ないはずです。脳溢血は血管のトラブルですが、サプライチェーンと脳溢血がオーバーラップします。

そんな空想をしながら、巨大ハイテクシステムを見学していました。感動でテンションが上がった部分が製品の出荷システム。

工場の端に直づけされる大型トレーラーは側面パネルがごっそりと開き、フォークリフトのようなメカが山積み段ボール箱を山ごとトレーラー側面に入れていきます。

この部分は実際に見ることができず、ビール会社制作のビデオでしたが、感動しました。

米国式ロジスティックスに負けない大量処理。無人24時間稼働。ロジスティックスとはこうあるべきと悦に浸りました。

途絶えることのない商品の無限出荷の中から薄利を掻き集めてようやく企業は存亡している、と思うと資本主義経済システムの一面に触れたような工場見学でした。

消費者に届く缶ビール1本200円前後。この価格を「メーカー」と「卸」と「流通」と「広告代理店」と「税金」と「政治資金」と・・・多くの関係者と分け合うことで社会に利益を還元しこの産業に関連する人々の生計を支えます。

ここには職人さんが一本一本手作業で作り上げるという発想は微塵もありません。また衛生的にも人の手が極力介されず全自動でメカニカルに製造されることが理想です。

「大量生産と大量消費の連鎖」が支える現在資本主義社会の構造はもはや、作り続け、みんなで消費し続けなければ社会のモノ・カネ・ヒトの循環が途絶え、私たちはあっという間に生活の糧さえ失います。

イメージ的には、自分は巨大な新聞印刷の輪転機の中に放り込まれ、走り続けなければコケでしまう哀れな子羊みたいな思えてきました。

この記事は#2

#3 手仕事工場
#2 回り続ける輪転機
#1 巨大ビール工場
(2009-12-29)
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香る生活


新年への抱負#1 巨大ビール工場

極度にオートメーション化された工場を見学


あっという間に年の瀬ですね。暮れに暮れて世間は年末の買い出しでなんとなくあわただしい毎日です。活気があって好きな季節です。

まだお仕事でしょうか?それとももう楽しい年末年始休暇をお過ごしでしょうか?

香水の仕事に関連して今年もいろいろ楽しい体験をさせてもらいました。今日はその一つ。ビール工場見学で受けたショックから来年への抱負を書いています。

ビール工場から香水工場の抱負とは、飛躍なんですが、どこかのマニフェストのように希望的構想を描きながら過ごしています。

先月、アサヒビール茨城工場を見学しました。

裏手を見たいお父さん達には物足りなさは言うまでもありませんが、工場に入れてもらえるだけでも感謝。

最近スーパーマーケットでビールを買うときは自然とアサヒに手が伸びがちなところを見ると、無意識にブランドロイヤルティが高まったようです。

工場を見る、そこで働いている人を知る、とはそういうことなんですね。欲を言えば現在のエンジニアや品質管理者の方と直に話せると、さらにひいきになるのですが。


さて工場見学ですが、ベルトコンベアを流れるビール瓶のスピードは「1分あたり○○本」と誇らしげな解説が印象的でした。

「飛ぶように流れていた」と表現しても誇張ではありません。一日に何万本生産できるのか検討もつきません(*1)。

工場内のその巨大エリアで動き回るスタッフは、見学ルートの窓から肉眼で観察する限りわずか2-3人。ほぼ全自動の充填システム(その工場全体で数百人働いておられるとのこと、他の人はどこに?)。

最後のラベリング・ラベル貼りも、もちろん手作業ではありません。ラベラーによる機械貼り。これも文字通り「飛ぶように」。

できあがった商品はほとんど在庫時間なし(*2)に出荷されます。

「在庫時間なしの出荷」という部分は、多くのビジネスマンがシビれる部分です。見学者が会社経営者や経営に近い人ほど垂涎の眼差しで聞いていたでしょう。

凄すぎる、の一言です。

なぜこんなことができるのか、正確で綿密な需要予測がなければ在庫として赤字の穴を掘ることは素人の私にも一目瞭然。

もしや、これがサプライチェーンなるものの技なんでしょうか。


(*1)あとで調べると生産能力は大瓶換算で年間6-7億本だそうです。毎日2百万本、1時間あたり8万本。卒倒しそうです。

(*2)正確には出荷までに数十時間の熟成時間が設けられているらしいです。ビールにも熟成時間があるんですね。香水の熟成時間は通常1週間程度です。香料が馴染むまでの時間です。



この記事は#1

#3 手仕事工場
#2 回り続ける輪転機
#1 巨大ビール工場

(2009-12-28)
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香る生活


10年前の「2000年問題」大晦日
もうすぐ2010年ですね。ちょうど10年前「2000年問題」という大騒ぎがありました。

コンピュータに組み込まれたプログラムが2ケタしか対応しておらず2000年で4ケタになった瞬間に多くのコンピュータで誤動作が生じ社会機能(鉄道や電気などのインフラ、銀行証券のオンラインシステム)が麻痺するのではないかというパニック予測でした。

中には誤作動で核ミサイルが発射されるかもといいながら「2000年問題対応家電製品」を訪問販売している業者もいました。

近所のおばあさんは2000年1月1日から電話が使えなくなるといわれ、「2000年対応電話機」を購入していました。

しかし、フタを開けてみれば年は平穏に明け2000年を迎えました。


当時ベンチャー企業で働いていた私は、自分たちが2年間築き上げてきた会社が崩壊するのではないかと大晦日の夜まで会社に残っていました。

しかし、別にすることもなくもどかしい時間を過ごしました。

会社で迎える2000年のカウントダウン。西新宿周辺は深夜でも人通りは絶えず穏やかな夜でした。

最近の記憶と感じていましたがあれからちょうど10年。早いもんです。


(2009-12-28)
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香る生活


男性と香水#7 幕末、男達の香水

フランスの王たちに愛された香水


香水の本場、フランスでの話。ヴェルサイユ宮殿を建造したルイ14世は、いろいろと有名なお方ですが、香水好きで香水史に名前が刻まれました。

この国の権力者は、だいたい筋金入りの香り好きです。

香水史に残る有名どころは、ルイ14世、ルイ15世、ポンパドゥール夫人、マリー・アントワネット、そしてナポレオンときます。


ナポレオンのコロン


オーデコロンといえばナポレオンですよね。シトラス系のコロンを浴びるように愛用していたと伝えられています。

皇帝ナポレオンに愛されたケルンの街のフレグランスは、こうして"オーデコロン"(フランス語で「ケルンの水」の意味)というネーミングで香水の一ジャンルまでのし上がる結果となりました。

ここでも男&香水の深い関係がわかります。


幕末のおしゃれ有名人・坂本竜馬


そして、香水に関して日本でも歴史に残る有名人がいました。

司馬遼太郎氏の『竜馬がゆく』には、坂本竜馬が香水を買い求め姉や妻のおもやげにしただけでなく、自分で使っていたことが描かれています。

司馬さんが、どこからネタを仕入れたかわかりません。

だから、信憑性は確認できませんが、新し物好きでブーツを履いて、着物にピストルを忍ばせていたという伝説のヒーローだけに「香水を付けていた」と言われてもありうる話に聞こえます。

映画やテレビドラマではバンカラに描かれがちな竜馬ですが、実際はおしゃれで洗練された人物だったようです。


土方歳三の香水伝説


さらに私の取引先の社長は、竜馬だけでなく、俗に「鬼の副長」と呼ばれた新撰組、土方歳三も香水を付けていたと主張しておりました。

なんでも函館五稜郭へと転戦する際、土方たちはフランス軍の支援を受けており、軍人として洗練されていた土方を気に入ったフランスの司令官が土方に香水をプレゼントしたというのが彼の意見でした。

ネタの出所を聞きましたが、江戸時代から続く彼の家系で言い伝えられている話らしく、要領を得ませんでした。竜馬の話以上の空想も混じっていそうです。

しかし、土方歳三のダンディな写真写りを見るにつけ、香水を付けていても何ら違和感がないところがまた「あり得る話」と酒のサカナになったりします。



この記事は#7

#7 幕末、男達の香水
#6 権力者たちが愛した香り
#5 性別がなくなる香水
#3 検索総数が示す「香水&男」
#2 顧客の男女比
#1 男と女の感性の違い
(2009-12-19)
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香る生活


男性と香水#6 権力者たちが愛した香り

ヤマト・ドライバーさんの残り香


こうやって見てくると男性の香水への関心と嗜好の変化が読みとれます。

当社には毎日、ヤマト運輸のドライバーさんが荷物の集荷に来てくれています。

ヤマト運輸では地区ごとに担当のドライバーさんがいますが、毎日同じドライバーさんが来るわけでなく4、5人のチームでその日ごとに違うドライバーさんです。

ドライバーさんの中には若いドライバーさんもいますが、彼が集荷に来た日は香水の残り香が感じられます。センスがあるなかなかスマートな付け方です。

彼は香水に慣れていそうな?(その話題に触れたことはないので本当のところは不明ですが)。

若い男性世代には、もはや香水は、特別なものではないようです。

「時代は変わった」

と感慨深いでしょうか?


男はもともと香りに関心あり


でも、案外そうではないのです。歴史を見れば、男達は香りに昔から関心がありました。

香木系の白檀や沈香、伽羅などは男達が愛してやまない香りです。平安時代も鎌倉室町の時代も、貴族も武士も香り物には高いカネをだしていました。


蘭奢待を切り取る日本の権力者達


正倉院に収められている「蘭奢待」(らんじゃたい)は、中国より伝えられた沈香という香木です。

この香木を求めて足利義満、足利義政、織田信長、そして最近では明治天皇がその一部を切り取りになられたことが記録されています。

それどころか、切り口の数から、50人くらいの人間がこの国宝級宝物の一部を切り取ったことが判明しています。

その人々は、すべてその時の権力者だったと思われます。そのほぼすべてが男性だったでしょう。

蘭奢待を切り取る行為は、必ずしも「香りが好きで好きでたまらなかった」ことが理由ではないのですが、香木、つまり高貴な"香り物"を愛する心が潜在的にあることを象徴していると思います。



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(2009-12-19)
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