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香る生活


神代植物公園#6

見た目美しさ vs 中身重視



化粧品やトイレタリーのグローバル企業は、商品開発センターをあえて日本に配置し完成品に近いベータバージョンのテストマーケティングを日本で行うところは少なくありません。

世界戦略商品にとって、日本でのテストマーケティングで受け入れられ、その後世界市場にロールアウトという図式は成功図式の一つです。

それもこれも日本の消費者のよい意味での「うるささ」、別の言葉にすれば要求基準の高さを利用したマーケティングです。

しかし、この日本人の「うるささ」が、必ずしも商品の目利きの実力だけを意味していないことはマイナスの側面です。

日本では、本当は美味しい野菜も、不揃いで曲がっていたり虫食いの跡といった表面的な見た目で判断され不当な評価を受けるケースは、ほんの一例です。

本当の「お買い得」を私たちは見逃しているかもしれません。

パフューマーさんとのランチでは香水内に漂ったり沈殿したりするオリの話題もでました。オリはほとんどの場合、香水の香り成分のエッセンスですが、知らない人にとっては「不純物」や「異物」と取られ不良品扱いになることもあります。

オリを徹底的に排除する手法はありますが、香りと本来無関係な薬品や薬剤を添加したり、過剰なフィルタリングを行うことは香りエッセンスそのものまで奪い取る結果となります。

それは多くのパフューマーが感じることで、彼らも過剰なフィルタリングは好みでありません。

フランスでは、香水の伝統と歴史が長いだけに香水にオリがあっても「香水とはそういうもの」というある程度のコンセンサスがあり、本質重視の結果としての商品の多少の見た目の悪さは許す環境や許容力があると言っておられました。

しかし、日本市場に製品を持ちこむ際は、見た目美しさの日本基準の高さがネックであり注意を要します。


(続く・・・)

神代植物公園#7
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神代植物公園#1
(2009-05-22)
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香る生活


神代植物公園#5

興味・探求心がある人はいつまでも若い



パフューマーさんを囲んだランチは静かに進んでいきました。

今まで触れませんでしたが、今回の会合にはバラ研究者の方も招待されていました。バラ園のバラツアーで、バラに関する濃厚な話を聞くことができました。

私は香水の世界に入って、まずは香水の原料(というか「香水の究極かつ永遠の目標」)として避けがたいバラを勉強するにあたり、その方の本でバラを勉強したので直接バラを前にお話を聞くのは贅沢な気分でした。

しかし、お話の中でもっとも感銘を受けたことはお話の内容より、バラに対する飽くなき執念・執着心のような凄さです。

バラ園に入る前シャクヤク園がありました。すばらしい花です。中国では牡丹(ボタン)とともに芍薬(シャクヤク)は国を象徴する花として人々に愛でられています。

シャクヤクは、一般に香りはほとんどないと考えられていますが、私たちが嗅ぎ回ったところ穏やかなフルーティな香りを放つ花を発見しやや感激しました。

彼はシャクヤクについても分類や香りについてひどく詳しいのですが、あまり関心がなさそうでした。

一通りバラ園内を見終わった後、多少の自由時間を設けられましたが、多くの人は炎天下の下の徘徊だったため疲れて、まずは木陰で一服ですが、彼は違っていました。

他に見たい花があるからと休憩なしにどこかへ消えます。

ランチ終了後、イベントはお開きになりましたが、彼は見たい花があるからと一人公園に戻っていきました。内心、「あの体力、あの執念はどこからくるのか!」と。

天才とは才能の前に「人並みはずれた執着心を示す」と言われますが、そんなことわざを彷彿させるパワーです。

話は飛びますが、尽きることのない興味・関心・探求心のある人は、俳優さんも、芸術家も、研究者も、一般にご高齢になってもいつまでも若々しい人が多いものです。

「心の状態とアンチエイジングの濃厚な関係」を感じていますが、このイベントでたまたまご一緒させていただいたバラ研究者の方のパワーを見て、今後のご活躍をますます確信しました。

(続く・・・)

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神代植物公園#4

「ランキング」に弱い日本人、でもフランス人も





テレビの料理番組でレシピーが紹介されると材料を同じにするだけでなく、大さじ1杯など各材料の配合比率も忠実に守る日本人に対して、中国では「そんなヤツはいない」と知人がいっておりました。

結果的にご家庭ごとに「オフクロの味」ができあがるそうです。

このように日本人は集団内で各自が集団の価値観に同一化・同調する文化をもっていいますが、世界的に例を見ない「ランキング大好きニッポン」もこの文化の延長線上の心理現象でないかと思います。

集団から最も支持される商品のナンバーワンからナンバーツ−、ナンバースリーと並べていき、自分が選択すべきものの判断基準にされがちなのは自分自身否定できないDNAです。

企業の経営を左右しかねない「ランキング」という価値観。

商品はなんでもかんでもランキングされ「売れ筋NO.1」「人気NO.1」「注目度NO.1」「今週の一番」「今月の一番」「当店の一番」「お客様支持率NO.1」と果てしもなくランキング競争が熱い火花を散らしています。

あろうことか、香水ショップに陳列された、あのか弱い香水たちまでもがランキングの身分制度にさらされる時代となりました。

香水ショップや香水ネット通販のお店でもランキングを掲載するショップの多さはお気づきのことと思います。

私も日本人、個人的にランキング表示は嫌いでないのですが、香水は個人の嗜好が強い製品ですので、ランキングで香水をチョイスすると失敗も多々あるでしょう。

パフューマーさんを囲んだランチでは、日本の香水ショップにありがちなランキング陳列も話題になりました。彼はおもしろい話をしてくれました。

シャンゼリゼ通りに面するセフォラ本店は、とても有名ですのでみなさんも行かれたかもしれません。

このセフォラでは売れ筋香水のランキングを発表していますが、彼の友人のパフューマーは自分の商品に対して電撃作戦を敢行。

社員・知人・身内などを総動員し強制的にランキング上位食い込みに成功。ランキングが上がることで、やはり売上は伸びたとのことです。

どうも化粧品会社や香水メーカーの委託を受けたPR会社や売り出し中のパフューマーさんが使うマーケティングの常套手段ともとられかねない話です。

世界中の観光客でごった返すセフォラ本店だとしても、メインはやはりフランス人。私は素朴に「フランス人でさえ、ランキングには弱いのか」と新しい発見をしました。

(続く・・・)

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神代植物公園#3

石鹸の香りのような香水



ランチ中、石鹸の香りが話題に。

日本では「石鹸の香りのような香水ありますか」と質問する消費者が多いことはフランスのパフューマーの間でも知られているようです。

フランスでは考えられないこと。同席者の中には百貨店の第一線で対面にて販売されている販売のベテランもおられ「石鹸の香り」というお客様の実例もお聞きしました。

この話題を香水のプロたちが「ああでもない、こうでもない」と喧々噪々に話し合う光景はちょっと漫才に近い楽しさです。日本語、フランス語、英語入り乱れてアイデアを出し合う。

末席ながら小職も持論を展開してみました。

「石鹸の香りとは、石鹸の匂いのことではなく、花王さんのニュービーズが作ったイメージです」

なんと、あっという間に否定されました。私のアイデアは「現在のトイレタリーの香りは劇的に変化している」という事実をあげられ、実状とのズレが指摘されました。

最近のニュービーズの匂いはもはや昔とは違うということです。

昔からアメリカのディタージェント(洗剤)は匂いがきついと感じていましたが、はたと気づくと日本の現在の洗剤、柔軟剤、ヘアケアの香り付け(付香)の強さは強烈です。

若いジェネレーションは米国風ギロギロの香り付けに向かっている印象を受けます。

ランチ中のディスカッションでは、「石鹸の香り」というご指名で香水を探される方は、実は30代以上の方々ではないかという方向に流れかけ、そして、今回もうやむやに。

(続く・・・)

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神代植物公園#2

パフューマーの香りに対する飽くなき好奇心



あちらのパフューマーさんは多くの場合「パフューマーとは世襲制の職業ではないか」と思えるくらいファミリービジネスとして営まれている方が多い。

その例にもれずご一族には大変なパフューマーさんがおられます。お祖父様もお父様も有名なパフューマーで、特にお父様はマダムロシャスやカレーシュ(エルメル)の調香をされており世界的によく知られたパフューマーさんです。

現在は引退されているそうです。

当日、神代植物公園の入り口集合でしたが、そこにそれらしき人々(外国人なので一目瞭然)がいたので、ススッと歩み寄り「Are you ○○?」と挨拶するも、ニッコリされ「私は、その妻」と言われ、ノッケから外してしまいました。

バラ園の見学は、バラの見事さと同時にパフューマーさんの旺盛な好奇心も見学することができました。

とにかく匂いがするものは何にでも興味と関心がおありのようでクンクンを飽きずに様々な花や植物の葉、実、枝なども確かめられていました。

同伴されている方から聞きましたが、その前日は道端に生えていたサンショウ(山椒)に強い関心を示し長い時間匂いを嗅がれていたそうです。

結局お土産屋さんで山椒の香辛料を購入されたそうです。

この日は公園を出た後、ユズ(柚)の香りを嗅ぎたいというご希望があったとのことでユズの生えているそば屋さんまで行きました。ジャパニーズシトラスとしてユズも気になる日本の香りだったようです。

ジョークではなくパフューマーのネットワークはかなり狭くパフューマー同士緊密なコミュニティが形成されているからですが、彼も「たぶん」と同意してくれました。

彼によると世界には500人のプロのパフューマーがいて、300人がフランス人で、そしてお互いほとんど全員が知り合い同士と言っておられました。


(続く・・・)

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神代植物公園#1

バラの香りを堪能するイベント



東京の公園の一つ神代植物公園でのイベントの記録です。

神代植物公園は、東京都調布市深大寺にある公園兼植物園。当社のある国分寺からは車で20分、最寄りの駅は中央線三鷹駅、吉祥寺駅。京王線なら調布駅、つつじヶ丘駅。

地名の深大寺は、奈良時代に建立された「深大寺」とその周辺の門前町に由来し、現在では「深大寺そば」が有名です。

昨日、神代植物公園の中にある広大なバラ園でバラの香りを鑑賞するイベントに参加しました。

「バラの香りの鑑賞?」・・・優雅ですね。

引退後の暇人の趣味のようにとらえられるかもしれませんが、実はビジネス。お取引先の香水輸入商社さんが企画されたイベント。フランスから来日したパフューマーさんとともに日本のバラの香りを調査しながら関係者とビジネスランチという趣旨のイベントでした。

残念ながら当社は今回来日中のパフューマーさんやその関連香水ブランドさんとは直接のビジネス案件はもっておりませんが、公園に近い香水の会社だからということでお声を掛けて頂いた次第です。

当社からは2名、末席に参列させていただきました。

さて、その神代植物公園のバラ園。ガリカ、ダマスク、チャイナ、ブルボン、ティーなどバラの進化の歴史が再現されているかと思わせるほど古いバラから現在バラまで多彩なバラは植えられています。

5月、ちょうどバラが満開の季節ですが、この暑さです。やや熟れすぎたマダム達の競演を思わせる乱れぶりでした。香りも清楚感を通り越してデカダンスのような濃厚さ、グッドタイミングで妖艶なバラ園を徘徊。

ジリジリとした炎天下をバラ園ゆっくり練り周り濃厚なバラの香りを堪能しました。

バラは、ご存じのように女性ホルモンの分泌に影響を与えると言われています。女性ホルモンは女性をさらに女性らしく美しくふくよかにすると言われています。肌のハリもツヤもよくなることが知られています。

人は誰でも体内に男性ホルモンと女性ホルモンをもっており、男性は男性ホルモンが女性ホルモンより強く、女性は女性ホルモンが男性ホルモンより強いという違いがあります。

ですので男性の私でも、こんなバラの中にいたら女性ホルモンのバランスがアップし生理的に影響はあるだろうか?と脳裏をかすめました。

それきりでしたが、夜自宅に戻る帰り道、ふと指先をあごにやるとヒゲの伸び方が若干少ないように感じました。

(続く・・・)

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