( 香水工場の )
香る生活
神代植物公園#3
石鹸の香りのような香水
ランチ中、石鹸の香りが話題に。
日本では「石鹸の香りのような香水ありますか」と質問する消費者が多いことはフランスのパフューマーの間でも知られているようです。
フランスでは考えられないこと。同席者の中には百貨店の第一線で対面にて販売されている販売のベテランもおられ「石鹸の香り」というお客様の実例もお聞きしました。
この話題を香水のプロたちが「ああでもない、こうでもない」と喧々噪々に話し合う光景はちょっと漫才に近い楽しさです。日本語、フランス語、英語入り乱れてアイデアを出し合う。
末席ながら小職も持論を展開してみました。
「石鹸の香りとは、石鹸の匂いのことではなく、花王さんのニュービーズが作ったイメージです」
なんと、あっという間に否定されました。私のアイデアは「現在のトイレタリーの香りは劇的に変化している」という事実をあげられ、実状とのズレが指摘されました。
最近のニュービーズの匂いはもはや昔とは違うということです。
昔からアメリカのディタージェント(洗剤)は匂いがきついと感じていましたが、はたと気づくと日本の現在の洗剤、柔軟剤、ヘアケアの香り付け(付香)の強さは強烈です。
若いジェネレーションは米国風ギロギロの香り付けに向かっている印象を受けます。
ランチ中のディスカッションでは、「石鹸の香り」というご指名で香水を探される方は、実は30代以上の方々ではないかという方向に流れかけ、そして、今回もうやむやに。
(続く・・・)
神代植物公園#7
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神代植物公園#3
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神代植物公園#1
(2009-05-22)
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香る生活
神代植物公園#2
パフューマーの香りに対する飽くなき好奇心
あちらのパフューマーさんは多くの場合「パフューマーとは世襲制の職業ではないか」と思えるくらいファミリービジネスとして営まれている方が多い。
その例にもれずご一族には大変なパフューマーさんがおられます。お祖父様もお父様も有名なパフューマーで、特にお父様はマダムロシャスやカレーシュ(エルメル)の調香をされており世界的によく知られたパフューマーさんです。
現在は引退されているそうです。
当日、神代植物公園の入り口集合でしたが、そこにそれらしき人々(外国人なので一目瞭然)がいたので、ススッと歩み寄り「Are you ○○?」と挨拶するも、ニッコリされ「私は、その妻」と言われ、ノッケから外してしまいました。
バラ園の見学は、バラの見事さと同時にパフューマーさんの旺盛な好奇心も見学することができました。
とにかく匂いがするものは何にでも興味と関心がおありのようでクンクンを飽きずに様々な花や植物の葉、実、枝なども確かめられていました。
同伴されている方から聞きましたが、その前日は道端に生えていたサンショウ(山椒)に強い関心を示し長い時間匂いを嗅がれていたそうです。
結局お土産屋さんで山椒の香辛料を購入されたそうです。
この日は公園を出た後、ユズ(柚)の香りを嗅ぎたいというご希望があったとのことでユズの生えているそば屋さんまで行きました。ジャパニーズシトラスとしてユズも気になる日本の香りだったようです。
ジョークではなくパフューマーのネットワークはかなり狭くパフューマー同士緊密なコミュニティが形成されているからですが、彼も「たぶん」と同意してくれました。
彼によると世界には500人のプロのパフューマーがいて、300人がフランス人で、そしてお互いほとんど全員が知り合い同士と言っておられました。
(続く・・・)
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(2009-05-22)
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神代植物公園#1
バラの香りを堪能するイベント
東京の公園の一つ神代植物公園でのイベントの記録です。
神代植物公園は、東京都調布市深大寺にある公園兼植物園。当社のある国分寺からは車で20分、最寄りの駅は中央線三鷹駅、吉祥寺駅。京王線なら調布駅、つつじヶ丘駅。
地名の深大寺は、奈良時代に建立された「深大寺」とその周辺の門前町に由来し、現在では「深大寺そば」が有名です。
昨日、神代植物公園の中にある広大なバラ園でバラの香りを鑑賞するイベントに参加しました。
「バラの香りの鑑賞?」・・・優雅ですね。
引退後の暇人の趣味のようにとらえられるかもしれませんが、実はビジネス。お取引先の香水輸入商社さんが企画されたイベント。フランスから来日したパフューマーさんとともに日本のバラの香りを調査しながら関係者とビジネスランチという趣旨のイベントでした。
残念ながら当社は今回来日中のパフューマーさんやその関連香水ブランドさんとは直接のビジネス案件はもっておりませんが、公園に近い香水の会社だからということでお声を掛けて頂いた次第です。
当社からは2名、末席に参列させていただきました。
さて、その神代植物公園のバラ園。ガリカ、ダマスク、チャイナ、ブルボン、ティーなどバラの進化の歴史が再現されているかと思わせるほど古いバラから現在バラまで多彩なバラは植えられています。
5月、ちょうどバラが満開の季節ですが、この暑さです。やや熟れすぎたマダム達の競演を思わせる乱れぶりでした。香りも清楚感を通り越してデカダンスのような濃厚さ、グッドタイミングで妖艶なバラ園を徘徊。
ジリジリとした炎天下をバラ園ゆっくり練り周り濃厚なバラの香りを堪能しました。
バラは、ご存じのように女性ホルモンの分泌に影響を与えると言われています。女性ホルモンは女性をさらに女性らしく美しくふくよかにすると言われています。肌のハリもツヤもよくなることが知られています。
人は誰でも体内に男性ホルモンと女性ホルモンをもっており、男性は男性ホルモンが女性ホルモンより強く、女性は女性ホルモンが男性ホルモンより強いという違いがあります。
ですので男性の私でも、こんなバラの中にいたら女性ホルモンのバランスがアップし生理的に影響はあるだろうか?と脳裏をかすめました。
それきりでしたが、夜自宅に戻る帰り道、ふと指先をあごにやるとヒゲの伸び方が若干少ないように感じました。
(続く・・・)
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(2009-05-22)
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香る生活
サンダルウッド物語#7
サンタロール
アロマテラピーで使用されるサンダルウッド(白壇)精油の効能について。
サンダルウッド(白壇)精油にはサンタロールという成分が含まれています。サンタロールはサンダルウッド(白壇)の主成分です。
このサンタロールには、生理的な鎮静作用があるとされます。
サンダルウッド精油の効能
精油は何でもいろいろと効きますし研究者ごとに様々な効果が報告されていてなかなか覚えにくいのですが、サンダルウッド(白壇)精油は、心が元気(活性化や促進系)な方向に作用するのではなく、神経の興奮を抑制する方向に作用(神経抑制系)することを覚えてください。
その結果、興奮状態の神経が鎮められ穏やかな状態へと体内は生理変化を起こします。睡眠が誘われたり、リラックスしたり、心が穏やかになります。
皮膚からの吸収
これは経皮吸収実験の結果から判明した現象です。アロマテラピーのようにキャリアオイルで薄めてサンダルウッド(白壇)精油を皮膚へ直接マッサージするとこのような現象が観察されると思います。
鼻からの吸収
一方、鼻から芳香吸入されたサンタロールもリラックス効果があるとされます。しかも、覚醒に近いリラックス感です。
一般に樹木系香料は人の心をリラックスさせるだけでなく、心を研ぎ澄ます作用が感じられるものが多いようです。ヒノキやスギの木材の香りに私は心が研ぎ澄まされます。
芳香吸入されたサンタロールには、そういう「リラックス&覚醒」に近い作用があるようです。
世界の宗教とサンダルウッド
実際、日本や中国・インドのお寺はもちろん、西洋・アラブ世界でもサンダルウッド(白壇)は教会内で多用されますし、世界的にお香として焚かれます。
スピリチュアルな働き
礼拝する人々にサンダルウッド(白壇)の香りが心の雑念を鎮め、平穏で敬虔で神聖な気持ちにさせてくるのも事実です。
そういう意味でサンダルウッド(白壇)とは、精神を活性化させるスピリチュアルな香料といえます。
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→ 香水「白檀」(Sandalwood)
(2009-05-17)
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香る生活
サンダルウッド物語#6
旺盛な世界需要
サンダルウッド資源の急激な枯渇は、旺盛な世界需要と関係があります。
切り出されたサンダルウッドの利用方法は木材と精油です。インド産サンダルウッド木材はお線香の香料原料として、また彫刻物や高級家具などの調度品として使用されます。
香水原料としてのサンダルウッド
精油は主に輸出に当てられます。インド産精油の2大輸入国はアメリカとフランス。サンダルウッド精油は主に香水の原料として使用されます。
サンダルウッドはほのかな甘さを帯びた力強い香料です。
定着性が非常に強く香水に深みと持続性を与え(保留性)、しかも他の多くの香料オイルとの相性のよさが抜群です。
それゆえ香水のベース原料として多用されてきました。
当社の場合
当社でもサンダルウッドはよく使用します。当社の仕入れ先はフランスの香料会社です。
インドのサンダルウッド精油を仕入れをフランスの香料会社経由というのは、少しおもしろいと思われるかもしれません。
フランスの実力
全世界の貴重な天然香料のかなりの多くがフランスの香料会社によって押さえられている事情があります。
生産地との長年のパイプと取引を維持し、信頼関係があり、フランス人技術者などによる現地での開墾や技術指導など行ってきた歴史を考えると、アメリカ式大資本で一気に資源確保を行おうとしても一朝一夕ではフランスの香料会社のプレゼンスは揺がないと思います。
自然回帰ブームとサンダルウッド
サンダルウッド精油の急激な需要は90年代に加熱する世界的な自然回帰ブームの盛り上がりに一因があります。
アロマテラピーなどでサンダルウッド(白檀)精油がそのまま使用されるようになり飛躍的に需要が高まりました。
人々の天然志向が、皮肉なことに逆に天然サンダルウッドの枯渇にさらに厳しい拍車を掛ける結果となりました。
(高める天然志向 = 天然資源の枯渇という皮肉)
アラブ社会とサンダルウッド
さらにサウジアラビアなどの中東イスラム社会では、サンダルウッド(白檀)はたいへんな需要があります。
ラマダーンなどの宗教儀式では乳香、没薬、ムスク、アンバーグリス、ジャスミンなどが使用されますがサンダルウッドも必須の香木です。
また近年、アラブの富裕層の間でサンダルウッド木材による家具や室内装飾がブームになっており原油高騰で湧くオイルマネーがサンダルウッド(白檀)を相場を引き上げていると言われています。
(続く・・・)
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→ 香水「白檀」(Sandalwood)
(2009-05-17)
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香る生活
サンダルウッド物語#5
50年から100年を要するサンダルウッド
このように貴重なサンダルウッド(白檀)は、世界的に乱伐や盗伐の対象になりやすく、また植樹から精油が採取できるまでの期間が50年以上かかること。
最高級のサンダルウッド(白檀)にいたっては80年とも100年とも言われます。
いったん枯渇した資源の再生が困難であることが世界的にようやく認識され保護されるようになってきました。
世界最大の生産国・インド
世界のサンダルウッド(白檀)精油の8 - 9割を産出する最大生産国はインドです。
インドでのサンダルウッド(白檀)栽培の歴史は古く、人類の文明の起源とほぼ同じ紀元前5世紀頃と考えられています。
インド政府の対応
現在、インドのサンダルウッドはインド政府の厳重な管理下にあり個人では所有できません。
ほとんどのサンダルウッドは国有地の中で国有林として栽培され、個人所有地に生えているサンダルウッドは政府から委託を受けて育てているものと解釈されます。
また、伐採は必ずサンダルウッドの植林・植樹との抱き合わせで行うことが法律で義務付けられています。
規制強化とサンダルウッドの保護
昔、インドの街中に多かったサンダルウッド業者や仲買人はすっかり鳴りを潜め簡単には入手できないようになりました。
以前、サンダルウッド(白檀)を仕入れに行っていた人に聞くとマイソールの街などにはちょっと怪しげな流しの仲買人から立派なお店を構えた業者まで様々なサンダルウッド関連業者があったそうです。
しかし、現在は警察の取り締まりが厳しくそういった業者の多くは品替えをしてしまったそうです。
(続く・・・)
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