提携農場でブルガリアローズを育てる・・・
ソフィア・エコ・プラン


(注)「香る生活」WEB版では、取材対象者の個人名は「○○」にて代用されている場合があります。ご了承ください。

ローズ畑と蒸留所の見学するためにブルガリア現地の蒸留所にツテのあるところを探していたところ、知人を通してソフィア・エコ・プラン社を紹介いただきました。

ソフィア・エコ・プラン社は「飲む香水」という商標でブルガリアローズオイルのサプリメントを世に送り出した会社さんです。「飲む香水」という響きからだとカクテルのように飲める液体を想像しますがローズオイルを含んだ錠剤です。

お部屋に案内されるとブルガリア関連の雑貨とともに数多くの油絵が飾られたり置かれていたりするのが目に入ります。大企業の応接室やワンマン企業の社長室にはよく社長の趣味の絵画が飾られていますが、枚数の多さや種類の雑多さ、飾られ方から趣向の違いが感じられます。

ここに置かれている絵画はどれも宗教画ではありませんが、西洋の宗教画にありがちな静けさや暗さがほんのりとにじむ絵が多いようです。これがブルガリアの絵画でしょうか。

ロシアから東欧一体はギリシア正教の宗派が多く人々の暮らしもキリスト教文化の強い影響下にあります。現代画にもそれは濃厚に感じられるようです。

しばらくするとニコニコした社長さんが現れ名刺交換をさせてもらいました。ソフィア・エコ・プラン社代表の○○博之さんです。さっそくお話を伺います。


●ブルガリアとの関係

○○さんとブルガリアの関わりをお話ください。

---80年代の終わりに自分の趣味もかねてヨーロッパ一帯、とくに東ドイツや東欧の絵を見て回りました。ソ連崩壊後、経済的混乱が続く旧共産圏で掘り出し物の絵画が見つかればと考えていました。

---とにかく経済が疲弊していますので絵を売りたい人はいっぱいるわけです。いろいろ取引や交渉を進める中で、ルーマニアとブルガリアの人は正直というか信頼関係を築きながら取引ができると感じて、それ以来ブルガリアには関心を持つようになりました。


●画家達の窮乏を知る

---そんな中、ソフィア国立美術大学(ソフィアはブルガリアの首都)で授業風景を見学させてくれるというので見に行くと学生達が水彩画を描いているんですね。

---少し驚きました。好きで水彩画を描いているのではなく絵の具やキャンバスを買うお金がなかったんです。それ以来、取引は取引として進める一方、日本から絵の具やキャンバスなどの資材を無償で送ることにしました。それが深い関わりの始まりです。はじめは芸術大学などの教授や先生方の絵画をいろいろ買っていましたが、そのうち学生達も買ってもらいたいと言ってくるようになったのでどんどん絵がたまっていきました。

買い集めた絵は2500枚、資金はまだしも絵を保管する自宅や倉庫、会社はついに絵であふれどうにもならない状態になりました。


●壁画運動へ転換

---ブルガリアの画家は実力はありますが世界的に有名でないため、このままでは一部売れてもたまる方が多いでしょう。今では絵画コレクションは控えめにし、その代わりソフィアなどの街中でアパートや施設の壁に壁画を描く支援をしています。

と言いながら見せてくれた写真は、30メートル四方くらいのアパートの壁一面が宗教画で埋め尽くされていました。質的にもたいへん高いものを感じます。

---どうです?これだけの広さだと、教授以外にアシスタントのスタッフや学生を動員する必要があります。雇用が生まれるのです。そしてこのような壁画で街を埋め尽くせば観光資源にもなります。

高い志に頭の下がる思いです。キーワードは2つです。「雇用の創出」と「価値の創造」。敗戦の中から立ち上がってきた日本人魂がここにあるではないですか。

壁画運動は95年から始めすでに17面以上が完成し今も継続されています。

「雇用の創出」と「価値の創造」とは、つまり「産業」です。○○さんのそれは個人で行っているため量的に産業とは言い難いものがありますが、その精神は産業そのものであり、これが○○さんのビジネスのバックボーンと理解すると○○さんの会社のスタンスが見えてきます。


●ローズビジネス

世界的に著名なブルガリアローズ、しかしローズ産業はブルガリア国民総生産(GNP)のわずか2%、それでもブルガリアにとっては外貨を稼げる貴重な産業資源。ブルガリア政府にはローズ産業をGNP4%に引き上げる目標があります。ブルガリア政府高官から○○さんのもとにはローズ産業振興の打診がきたり、彼自身支援活動継続のためビジネスの開拓が必要という理由から現在の会社を設立されました。現在ではブルガリア一色の生活を送られています。

---日本ではブルガリアといえば「ヨーグルト」ですが、そのうち「ローズ」と言われるようになりますよ

と夢を語る○○さんのビジネスプランは、フレグランスではなく食品としてローズを使用すること。ローズはフレグランスの原料としてあまりにも有名ですが消費量が伸びません。しかし、食品ならすぐになくなります。

現地にはローズジャムやローズ水の飲み物は昔からあり女性のストレス解消に効果があるとされてきました。昔から食されているローズなら安全性に問題ない。その結果生まれたのがローズオイルのサプリメントです。


●原料へのこだわり

ローズオイルはブルガリアにとって戦略物資に近く、国中から集められたオイルはいったんソフィアの国立バラ研究所に集まられブレンドされて保管されます。ブレンドは、年ごとや地域によってバラつきある品質の均一化に貢献します。

一般にローズオイルを仕入れる場合、上記のような事情により国立バラ研究所経由になりますが、逆にブレンドされることを嫌いトレーサビリティを明確にしたオイルにこだわる○○さんは特定の農家・特定の蒸留所と契約を結んでいます。

農家には無農薬・有機栽培を奨励し、今年からはスイスの第三機関による有機栽培の証明書も取得予定です。これが実現すればブルガリア初の有機栽培証明書付きローズオイルとなる予定です。

かって「らでぃっしゅぼーや」(有機野菜・低農薬野菜の会員制宅配サービス会社)の代表だった○○さんは、やはり「エコ」と食品の安全性にこだわりがあるようです。

もともと銀行マンとして社会人生活をスタートさせた○○さんが縁あってブルガリアと深く関わり、ビジネスと画家支援とエコ活動という、いくつかの柱を中心とした活動されています。しかし、ボランティア的な活動は、一時の感情で行う子供のママゴトではありません。支援する方には長期に渡り体力的経済的負担が要求され、支援を受ける方には甘えも生じかねません。そんな難しいバランス取りの上に、さらにビジネスとの両立も実現するとしたら大変なことです。そのへんに質問を向けました。

---なーに、やれることしかやりませんよ。やれなかったら投げ捨てるまでです。ボクはいい加減ですからね。

とニッコリ。案外カラリと割り切って話されたのが印象的でした。当然その言葉の実は過去の活動が物語っていると思います。



●所狭しと置かれた絵、絵、絵...●ソフィア・エコ・プランの○○博之代表●「もう置く場所がないくらいです。「それで今ではソフィアの街中で壁画を描いてもらっています」

●ソフィア市街のアパートや施設の壁などに描かれた壁画の一例●○○氏はその貢献によりソフィア国立美術大学名誉教授の称号を授与されています

【企業データ】
株式会社ソフィア・エコ・プラン
141-0031 東京都品川区西五反田7-9-2 五反田TGビル6F
Tel.03-5719-1690
Fax.03-5719-1691

●商品化されたブルガリアローズ・オイルサプリメント「ローズドリナ」●「飲む香水」という商標で販売されています



Peter Mikhailov
ピ ー タ ー ・ ミ ハ イ ロ フ



盟友ピーター・ミハイロフ氏

○○さんのもう一つの夢は、盟友ピーター・ミハイロフ氏の美術館を日本で設立すること。ピーター・ミハイロフは、ブルガリアが生んだ偉大な画家ですが、世界からその偉大さを評価されることなく逝った芸術家です。「始めてお会いしたとき先生は、電気代さえ払えず困窮されていましたが、反面、絵を理解しようとしない人間には自分の作品を決して見せない頑固者でした。実際自宅にある作品はどれも裏面にして立てかけられていました」。ピーター・ミハイロフは○○さんと何度か話し、○○さんに絵心があることを知るとはじめて絵を見せてくれました。比較的重々しい作風が多いブルガリア絵画においてフランス印象派を彷彿させる明るく開放的な色彩感に感動を覚えたといいます。これだけの作品が世界の目に触れずに放置されていることが大変残念です。人々にピーター・ミハイロフという人間を知らせたい、と○○さんは語ります。


チャリティ・パーティー『ばらの祭り』

The Rose Festival
at the Embassy of Bulgaria in Japan
ブルガリア大使館 恒例イベント『バラ祭り』

○○さんは、またブルガリア大使館にて毎年『バラ祭り』というイベントを主催されています。ブルガリア民族ダンスや音楽、ブルガリア料理が堪能できるパーティ兼チャリティイベントです。参加費用(2006年は一人一万円)はすべてブルガリアの恵まれない子どもたちの施設に寄付されます。在日ブルガリア大使も同席されます。ブルガリア関係者も多数参加されますのでブルガリア情報を集めいた人にとっても貴重なイベントになっています。ご興味のある方はソフィア・エコ・プラン社まで。

・2007年開催予定:5月12日(土)12:00-15:00


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