映画『パフューム』配給の裏舞台
       ギャガ・コミュニケーションズ


(注)「香る生活」WEB版では、取材対象者の個人名は「○○」にて代用されている場合があります。ご了承ください。

今年は気になる映画がやってきました。『パフューム〜ある人殺しの物語〜』です。『パフューム』は、パトリック・ジュースキントの世界的ベストセラー小説『香水―ある人殺しの物語』(1985年、ドイツ)の映画版です。この小説は、タイトルに「香水」とついているため香水関係者にはなにかと話題に上る小説ですが、香水そのものがテーマではなく奇怪な天才調香師が起こすサスペンスです。

この小説が20年の時を経て映画化されるというニュースが数年前に海外のメディアに流れていました。監督やキャスティングで盛り上がっている話もネットニュースからちらほら聞こえていましたが、気づけば昨年9月「"Perfume" has sweet smell of success(映画『パフューム』、大成功の予感)」(ロイター)というドイツでの盛況な封切り模様が届いて驚かされました。

フランス、イギリス、米国などでも大成功を収め、日本では2007年3月に封切られることになりました。この記事は封切り直前の2月末、慌ただしさが増してきた配給元のギャガ・コミュニケーションズ宣伝部にお伺いしてまとめたレポートです。映画そのものはすでに多くの媒体が語ってくれているので『香る生活』では映画配給の裏事情をお伝えできればと思います。

まずは『パフューム』を買い付けられたいきさつお願いします。

---数年前ですが、カンヌ国際映画祭で買い付けました。買い付けを担当する国際部のスタッフにこの脚本を非常に高く評価した人間がおり、社内を説得した結果です。

ショービジネスに疎い私にはいきなり驚きです。カンヌ国際映画祭は、ベネチア国際映画祭やベルリン映画祭とともに非常に有名な映画祭ですが、実は世界中の映画関係者が集まるフィルムマーケットであることを知りました。カンヌといえば「香水のメッカ、グラース」から車で30分。半世紀前たんなる風光明媚な漁村だったこの海岸が今では世界の映画バイヤーのメッカとなっていたんですね。なるほど。俄然興味が湧いてきました。しかも脚本の段階で買い付けるなんてなんとリスクの高いビジネスでしょうか。

---シリーズものや超エンターテイメントは別ですが、映画の配給には多かれ少なかれリスクがあります。だから作品に対する目利きとセンスが要求されるのです。確かな目利きがないと会社としてもリスクは取れません。

買い付け価格は残念ながらお聞きできませんでしたが(当然ですね)、映画の興行収入は10億単位で報道されますので、買い付けやその後の宣伝・広告にも莫大なコストが発生することは容易に推測することができます。興味が湧いたので、日本の興行ランキングトップを調べてみたら『千と千尋の神隠し』(300億)でした。すごい規模のビジネスですね。買い付けから実際の配給、封切りまでどのようなスケジュールとチームで動かれるんでしょうか?

---買い付けと同時に営業部が動きます。上映劇場の確保が大切です。『パフューム』は全国260館で上映予定です。私たちの宣伝部は消費者に映画を認知してもらうためにパブリシティや広告を打ちます。その他、ポスターや販促物などを制作するクリエイティブチームが加わります。『パフューム』の場合、2006年9月ベルリンに世界の配給会社のスタッフが集められ、はじめてプリントをもらい宣伝活動が本格的に始まりました。

『パフューム』のパブリシティは、今回どのような展開をされましたか?

---匂いに関することは、何でも
手当たり次第という感じです。東京メトロ銀座駅コンコース内に「匂いの出る電飾看板」を出したり、香りのするTシャツやパンフレットの制作、それに上映映画館の一つである「サロンパスルーブル丸の内」では映画の場面場面に合わせて香りを発する香りのキオスク端末を設置予定です。また、イベントとして香りのコンテストや「女性の美」というテーマで協賛企業さんとビューティキャンペーンのようなものもやっています。

取材の数日前は、NHKホールで香りを焚きながら東京フィルによる『パフューム』記念コンサートも実施、取材の翌日からは「桜塚やっくん」を起用したテレビCMも始まるとのことでした。やっくんとは日本テレビ『エンタの神様』に出演中の「スケバン恐子」ネタで人気上昇中のお笑いタレントさんです。やっくんと『パフューム』の関係は?

---ヒロイン・ローラは豊かな赤毛が印象的です。日本で赤毛といえば「やっくん」ですから。ツッコミでコミカルに映画を盛り上げてもらいたいという思いでお願いしました。

かなり広範囲なイベントと、テレビなど高価なプロモーションも動員されていますが、この規模の映画として突出したプロモーションではないでそうです。映画のプロモーションってホント、お金がかかるんですね。

さて、先に書いたとおり私が映画『パフューム』の完成を知ったのはロイターのニュースでした。そして、映画のポスターはドイツのオフィシャルサイトではじめて見ました。たいへん美しいポスターでそれは「とってもヨーロッパ的」な色使いとレイアウトです。ヨーロッパ的な印象は原作に対する印象に通じます。世界でヒットしている映画ですが、日本人から見て『パフューム』はどんな映画でしょうか?

---『パフューム』というロマンチックなタイトルだけからこの映画をご覧になられるとやや違う印象を受けるかもしれません。とにかく臭い匂いをイメージさせる場面もたくさんでてきます。甘美な香りもあります。ヨーロッパ人にとってそれはある意味リアリティだと思います。日本人は体臭が少なく、また文化としても微香を好みますので、ヨーロッパ人が観る『パフューム』と日本人が観る『パフューム』ではかなり受け取られ方が違います。

みなさまには、ぜひエンターテイメントとして観ていただければと感じています。映画の場面場面が嗅覚を刺激する圧倒的な映像と音楽で構成されています。香りに関心のある方には、ご覧いただき、臭い匂いも甘美な香りも感じて、そして、楽しんでいただければ、と願っています。

●取材に応じていただいたギャガ・コミュニケーションズ宣伝部の○○さん●「映画の宣伝は常にライブのつもりで企画を考えています」●「活動の過程で映画に対する考え方や感じ方が違ってきますが、お客様の感じ方から乖離しないように、と自分に言い聞かせています」●手前は映画のために製作された香水。

【映画公式サイト】
・パフューム-ある人殺しの物語-
・perfume.gyao.jp
【会社データ】
・株式会社ギャガ・コミュニケーションズ
http://www.gaga.co.jp


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