突然ですが「SAINT-GOBAIN」は何と読むでしょう?「セント・ゴベイン」と英語風に読んでしまいそうですが、フランス語なので「サン・ゴバン」です。日本では一般には馴染みが薄い社名ですが、多角的かつ巨大な大企業です。
1665年、ルイ14世の時代にグループが形成されベルサイユ宮殿「鏡の間」を制作担当するなどガラスなどの素材関連産業の企業体として長い歴史があります。現在では、千社の関連企業、50カ国以上21万人の社員を擁する典型的な多国籍企業です。
パリの水道管の90%、ヨーロッパの自動車の窓ガラスの50%、ヨーロッパの住宅断熱材の3分の1がサンゴバン社製といわれ、日本では東京ドームの天井、近年建設された汐留・電通本社ビルやルイヴィトン、プラダの社屋にはサンゴバン社製の樹脂製品や板ガラスが使用され、日本でも建材メーカーとしての存在感を高めています。
ルーブル美術館のガラスのピラミッドをご覧になった方は多いと思いますが、あのオーダーメイドガラスもサンゴバンです。ルーブル美術館にふさわしいデザインかどうか賛否がありますが、世界中から年間1千万人を呼び込むルーブル美術館のエントランスモニュメントに採用されたことでサンゴバン社にとっては無言の広告塔としての役割を果たしています。
サンゴバンは化粧品・医療品・食品の容器メーカーとしても大きな存在感があります。よい容器会社はワイン生産が盛んな国に生まれると言われますが、ワイン貯蔵に関する長い伝統と試行錯誤があるため単純なボトルでも素材やデザインに完成度の高さがあると思います。
サンゴバングループの一つに「SAINT-GOBAIN DESJONQUERES」(サンゴバン デジョンケール)社があります。デジョンケールは容器の中でもとくにガラス製化粧品容器(Specialty Glass)を製造しています。
当社がメインに使用している香水ボトルは、自社でデザインし日本で制作している日本製です。日本の製造業の実力は言うまでもありません。しかし、過去半世紀、容器業界全体がガラスからプラスティック素材へ大きくシフトする中で、ガラス工場の閉鎖や職人不足などガラス瓶製造産業の技術革新やデザイン力は伸び悩んでいるのが実状です。
デジョンケール社の顧客にはシャネル、ランコム、エルメス、資生堂、グッチ、ケンゾーなどがあります。すべて並べるとおそらく有名な香水ブランドはほぼすべてといっても過言ではないでしょう。欧米有力ブランドの香水・化粧品容器に採用されているだけあり、材質と形状、装飾には目を見張るものがあります。
当社のフローラル・フォーシーズンズは和の香りをテーマにした香りだけにすべて日本製で行きたいという思惑がありつつも、サンゴバンの香水ボトルを手にしたときは、溜息が出るくらい美しいと思いました。人相学では口元に人の品格が出ると言われますが、ボトルは肩にその品格が出るというのが私の持論です。肩は曲線を描くにしても直角に曲がるにしても緊張感がないと美しくありません。
また、ガラス瓶は形状も素材も単純なだけに逆に細部に至る使いやすさやデザイン、機能性の完成度が問われます。
それは刃物と似ているかもしれません。刃物は、切るという単純な機能しかないのに、お医者さんなら1本百万のメスを求めたり、何か月も貯金を貯めて買い求める板前の包丁や床屋のハサミのように細部の完成度や徹底した使いやすさ、手への馴染みやすさが問われ製品です。
香水瓶にそこまでの完成度は求められないにしても微妙な違いは伝わります。違いが生まれる技(わざ)は企業秘密です。ガラスは原料が命、主成分である二酸化珪素の品質に差があるのでしょうか。ヨーロッパではよい原料が産出されると聞きます。
またガラスは主成分以外に様々な成分を添加します。透明度を上げたり成形をしやすくしたり、アワの発生を押さえるなどの目的があります。計10種類から20種類くらいの成分のハーモニーが一つのガラス瓶を形成します。添加物の種類や配合量、配合方法、そして焼き方にはメーカーごとのノウハウがあります。そのすべてが製品の違いとなります。
当社では、2007年から製品の一部にサンゴバン社製の汎用ボトルを採用することにしました。サンゴバン製ボトルはすでに何種類か日本市場で出回っていますが、幸い当社が採用した型番は当社がはじめて日本市場に投入するもので、大変幸運と感じています。
今回はサンゴバンKKの○○さんにいろいろお話を聞いてみました。
香水ブランドさんの動向はどうでしょうか?
----有名ブランドさんは、プロダクトごとにオリジナルボトルを金型から起こされるケースがほとんどです。デザインの起草からマーケットインまで長い時間かけて生産されます。近年の多品種少量生産というトレンドに対応して、新しい型は起こさず昔の金型に手直しを入れたり装飾を施したり、あるいは汎用のボトルに装飾を入れることでオリジナル性を演出されるケースも増えています。
日本市場の動向は?
---日本では香水自体の需要が弱く市場規模としてはかなり小さいのですが、引き合いも取引量も確実に増加しています。日本の化粧品会社さんは、長年取引関係を続けてきた日本のガラスメーカーさんとの強力な関係を維持していますので簡単に参入することはできませんが手応えは感じます。当社では化粧品容器以外に医療関連ガラス容器も制作していますが、医療関連容器は日本独自の仕様があるため参入は簡単ではありませんがチャレンジです。
サンゴバンボトルの競争力は?
----日本のメーカーさんと比較するとロットやデリバリーに関して柔軟性に欠ける点はありますが、製品の完成度の高さと、ロットがあれば価格競争力の高さは魅力的と思います。また近年では中国工場の品質が上がってきています。日本の基準値に到達した製品が出てくるようになればデリバリーや価格競争力はさらに増すと期待しています。
ロットサイズはどの程度でしょうか?
----製品はフランスよりパレット単位で輸入します。パレットごとの本数は型番によって違いますが、数千から一万本を超えます。しかし、今後、代理店を通しての在庫販売など小ロット販売に対応していく策も見出して行きたいと思います。
【企業データ】
●サンゴバン株式会社
東京都千代田区麹町3-7
TEL: 03-5275-2477
FAX: 03-3221-9976
http://www.saint-gobain.co.jp
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