【香りの思い出】

小さい頃、私の田舎では稲刈りが終わると、脱穀されたワラが田圃のなかに山のように積み上げられていました。

学校帰りの子供たちがそのワラの山に登って遊ぶ光景は晩秋の風物詩のように繰り返されていました。腕白だった私も擦り傷を作りながらワラの山に登って遊んだものです。ワラ山に寝そべり高く突き抜けたように青い秋空を仰ぎ見ていたことは楽しい思い出のひとコマとなっています。

ワラの香りはいまでも脳の後ろの方にくすぶっていて記憶とともに思い出すことができます。これがヨーロッパの人なら干し草の香りになるのでしょうか。人それぞれが自分の生まれ育った環境とともに懐かしい香りを記憶しています。それは庭先に生えていた金木犀だったり、お母さんの定番メニューだったり、お母さんそのものの香りだったり、それはもういろいろな香りです。自分の一番ホッとする安心できる香りかも知れません。

人は大きくなっても無意識に心の安らぐ香りを探しているようです。ふと、街角で沈丁花の香りに出会うと、それは「よい香り」というより「うまく言えないけど、この香り!」と、なにか生まれるずっと前から自分のDNAにプログラムされていたかのような「ああ、これは探していた香り」という気持ちでいっぱいになります。

香水やフレグランスにもトレンドや流行があります。刺激的でスタイリッシュ、官能的で甘美なもの、自然界にない未体験で新鮮な香りなど次々に新しい香りが作られ私たちの生活にバラエティを与えてくれます。

それはそれで高い感性と技術力のたまものです。でも、私たちの目指す香りはどちらかというと人工的な香りではなく「なにか、どこか、うまく言えないけど、懐かしさや穏やかさを人にもたらしてくれる香り」。

それは生活に密着し生活と共に香る香りかもしれません。お料理の香り、室内の木の香り、庭先の土の香り、ベランダの花、家族の元気のある香り(人にも香りがあるんですね・・・)そんな生活の香りにしっとりマッチして、生活に彩を差してくれる香り、私たちはそんな香水&フレグランスを創りお届けすることを目指しています。


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