Home > ブログ
リスト表示 | (edit)
( 香水工場の )

香る生活


腐臭を放つスマトラ・オオコンニャク
先日のニュースです。小石川植物園でショクダイオオコンニャク「世界最大の花」咲くというニュースが流れていました。デカいだけならなんですが、その花の芳香が衝撃的。花が強烈な腐臭や死体臭を発するとか。

燭台大蒟蒻


ショクダイ・オオ・コンニャクの漢字は「燭台大蒟蒻」。なるほどロウソク台という意味なんですね。確かに昔のロウソク台の取っ手の部分なんかとっても似ています。wikiでは「スマトラ・オオコンニャク」と表記されていました。

野生では7年に一度、わずか2日間しか咲かない世界最大の花だそうです。

(小石川植物園では種をまいて16年目の今年はじめての開花)

世界一醜い花、その香り


「世界で最も醜い花」ともwikiには書かれていました。おそらく、花の形も色も優雅どころか、どこか悪魔的で、その腐敗臭が醜さを増幅させているのでしょう。

怖いもの見たさ、世界一見たさ、からか炎天下の中、人々が殺到。小石川植物園の入り口には4時間待ちの行列。

ガスマスク持参も


中には毒ガスマスク持参の強者も。マスコミ向け演出とは言え、いかに強烈なニオイがあるのか視覚化されておりグッドアイデアです。

(余談ですが、小石川植物園には白檀の木が栽培されています。公開日限定ながら、日本における白檀の数少ない栽培地として、植物に関心がある人にはちょっと凄いところ。今回の開花事件でマスコミ注目度が急速アップしたと思いますが、東大付属植物園なので上を下への観光名所になるのも痛し痒しではないかなと複雑です)

花はだいたい、かぐわしい芳香を放つもの、でない場合は、無臭と相場は決まっていますが、こちらはあえて腐臭を放つように進化しました。目的は腐臭に引き寄せられる虫たちを掻き集め受粉作業を手伝ってもらおうという魂胆ですが、その期間、わずか2日。

進化の摂理


ぐっと目がウルウルします。7年もの年月に耐えて2日間の開花しか許されないというのも、どこか進化の設計にミスがあったとしか思えない切なさ。

デカいだけに悲壮感炸裂です。

多くの花が、動物や昆虫に愛される芳香を創り出す進化を遂げた中で、スマトラ・オオコンニャクは、主流に迎合せず、自分は腐臭に集まる虫たちをターゲットに集客しようと決心し、腐臭のイミテーション香料を設計し、そういう香りを生産する進化を果たしました。その摂理にも圧倒されます。

ご家庭に一輪


腐臭とはいえ、それはわれら人間から見た香りであって、それを好む虫たちには「香しく魅惑的な芳香」「セクシーな香り」でしょうから腐臭に集う虫たちを軽蔑するのは、人間の身勝手。

ぜひ各ご家庭に一輪。社会の多様性を容認できる大人の街・東京にふさわしい花です。世界中の観光客を魅惑する東京の新名物になる時代が来るかも?
(2010-07-30)
search
月一メルマガ

TOP