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香る生活


新作香水「ブラックベチベル」、ベチバー精油

根に含まれるベチバー精油


ベチバーは、日本人には一般にはなじみの薄い草ですが、香料の世界では非常に有名な香料植物です。

多くの香料植物が花や葉っぱに精油を蓄えていますが、ベチバーはそれらからほとんど精油を採取することはできません。

精油は根に含まれています。ベチバーの収穫は根を掘り起こして、一定期間乾燥され、その後水蒸気蒸留器にかけられて精油(エッセンシャルオイル)が採取されます。

濃褐色のドロドロした印象の精油は、熟成型の精油であるため時間の経過とともに精油の味わいが増すと言われます。


「根」だから「土臭い」?


さて、その香りです。ベチバーオイルはどんな香りでしょうか?

土臭いです。

根に精油が含まれているからか、私にはわかりません。

根由来のエッセンシャルオイルらしく「土臭いニオイ」、カッコよくいえば「大地のニオイ」が特徴です。

「カビ臭い」と評されることも。

「スモーキー」という人もいます。

そんな土臭いニオイが香水の原料になるのか、というとこれがすばらしい!香りになります。


精油名が香水名になる精油


香水産業では、天然香料である精油(エッセンシャルオイル)は香水の原料であって、そのものを製品にしたり、製品名にすることは案外珍しいことです。

当社の「ローズの贈り物」はダマスクローズの精油をメイン原料にして、かなりそのままの香りを維持しています。

これは香水としては例外的な製品ですが、そんな製品でさえ、製品名は「ダマスクローズオイル」や「ローズオイル」や「ローズ」ではありません。「ローズの贈り物」というローズに一味加えたネーミングを採用しました。

しかし、ベチバーは、精油そのものが、原料としてだけでなく香水のテーマであると同時に製品名になってしまう精油の一つです。


「ベチバー香水」


ベチバーは、そのままでかなり行けている!と感じるパフューマーさんは少なからずおられるようです。

たんなる香水原料の一つでしかないはずのベチバーは、それ自体が大きなテーマとして扱われます。

他社様のことはあまり言及できませんが、世間一般に広く認識されている有名ブランドの製品なので、具体名を上げさせてもらいます。

ゲラン「ベチバー」は、ベチバーがそのまま製品名になるという直球型製品の名香です。もっとも有名な「ベチバー香水」かもしれません。

ランバン「ベチバー」もまったく同じ製品名です。

なんと「ブランド名+『ベチバー』」というネーミングの香水は非常に多く、ゲラン「ベチバー」、ランバン「ベチバー」の他にロジェガレ「ベチバー」、カルヴァン「ベチバー」など多数あります。

そのほかにクリード「ベチバー」、メゾンコレクションのジョー・マローン「ブラック・ベチバー・カフェ」というおもしろい製品は日本でも人気が高いようです。

香水の一原料であるベチバーがそのままブランド名とともに製品名になるところに、ベチバーの人気度が推し量れます。



【製品販売サイト】
2011新作香水「ブラックベチベル」Black Vetiver(大人の静寂、ベチバー)

※この記事は#3

新作香水「ブラックベチベル」#6 おすすめの使い方
新作香水「ブラックベチベル」#5 土のニオイ
新作香水「ブラックベチベル」#4 世界が愛するベチバー香水
新作香水「ブラックベチベル」#3 ベチバー精油と香水
新作香水「ブラックベチベル」#2 ベチバーとは
新作香水「ブラックベチベル」#1

(2011-05-03)
( 香水工場の )

香る生活


新作香水「ブラックベチベル」、ベチバーとは

ベチバーとは?


ベチバーは東南アジアやインドなど熱帯地域にて多く生産されているイネ科植物です。

イネ科植物から連想されるイメージは、日本人には「コメ」になると思いますが、パッと見は「ススキ」です。

背丈・格好が川辺に密集するススキにそっくりです。群生密集する様は近寄りがたいパワーがあります。

ベチバーは東南アジアやインドだけでなく、ブラジルやアフリカなど高温多湿な熱帯地方なら世界中に広く繁殖していることからその生命力の強さが伺えます。

多くは精油を生産するための香料植物として栽培されます。

ベチバーの特徴は、その香りです。根に独特な芳香を含む精油が生成されます。wikipediaによればベチバーは、インドではKhus(「クス」)と呼ばれるそうです。

その意味は「香り高い根」。

伝統的にベチバーが「香りの植物」として人々に認識されていることがわかります。


ベチバーの凄い根、池や川を守る守護神


ベチバー精油は根から採取されますが、この根がまたすごい根で、地中で、細く繊維質で強靱な根をちじれ毛状に広く深く茂るように張るため干ばつに対する耐性も強いと言われます。

ベチバーの根の特徴から、護岸の植生植物としては特に優れています。傾斜地でもよく育つため堤防や土手の土止め、水辺の土砂崩壊や土砂流入防止として役立ちます。

さらに水質の浄化作用に効果があるとされ、池や川を守る守護神としてベチバーを護岸設計の基本にしようとする動きもあります(Vetiver System ベチバーシステム。ベチバープランテーションによる土壌と水質浄化を推進するNGO、TVNIによる運動らしいです。詳細は不明)。

これからはエコな環境設計が求められる時代ですので、護岸の発想はコンクリートではなくベチバーなどの植生植物を中心とした発想が、護岸の常識になるかもしれません。


ベチバーの凄い根の草、編み物の材料


ベチバーの乾燥根は、その豊かな繊維質のためにインドや東南アジアでは伝統的に編み物の材料として広く利用されてきました。

応用されるものは、マット、帽子、手提げ、カゴ、日よけなど。エコな雑貨として世界的に見直されています。



ベチバーの産地、日本では?


ベチバーの有名な産地は、ジャワ島、ハイチ、インドなど。レユニオン島(ブルボン・ベチバー)は高級ベチバーとして有名です。

インドネシアや中国での栽培も近年盛んになっているそうです。

今回、武蔵野ワークスが製品化した「ブラックベチベル」に採用したベチバーは ジャワ島産。

日本でも生育しますが、精油産業としては聞いたことがありません。ベチバー畑を運営されている方がおられたらお、ぜひ教えてください。取材にいきたーい!ものです。


ベチバーの歴史


ベチバーの原産地と考えられているインドでは、アーユルヴェーダにベチバーオイルの記述があることから、古代から瞑想や医薬品として利用されていることが推測されます。

しかし、ベチバーの詳しい歴史は不明です。

ベチバーは、インドではサンダルウッド同様、古くからお香の原料として使用されてきました。お香としては乾燥させた根を粉末状にして使用されていたらしいです。

先に記述したように、ベチバーの繊維質に富むちじれ毛状の根は、敷物、日よけ、カゴなどの編み物の素材に使用されています。

ベチバー精油も精油の例に漏れず、強力な虫除けになり殺菌効果が発揮されますのでベチバーの根で編まれた敷物やカゴは、衛生的というだけでなく、その深い香りゆえに人を癒しの世界へと誘います。


【製品販売サイト】
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新作香水「ブラックベチベル」#1

(2011-05-03)
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新作香水「ブラックベチベル」

ベチバーは植物精油


武蔵野ワークスの香水は、ジンチョウゲやキンモクセイ、クチナシ、モクレンなど「植物の花」をテーマにした香りを多く制作しています。

「植物の花」以外では「原料」(主に植物由来の天然香料)をテーマにした製品も数多く手がけます。

「白檀」「サンダルウッド」「沈香」「月桃」など。

「ローズの贈り物」もそうです。「ローズの贈り物」は事実上、ダマスクローズの精油をテーマにしたものです。

2011年新作香水「ブラックベチベル」もベチバーという原料をテーマにした香りです。

ベチバーはベチバーという植物から採れる精油(エッセンシャルオイル)です。


「ブラックベチベル」英語&フランス語


テーマになった原料は「ベチバー」(Vetiver)。フランス語で「ベチベル」(Vetiver)。

(製品名ではあえてフランス語の「ベチベル」を当てました。「ブラック」が英語なのに、フランス語の「ベチベル」にするのはやや統一感に欠けますがお許しください)

さて、このベチバー、誰も知らない雑草なのに、凄いんです。これからその凄さをアレコレ書き綴っていきます。


【製品販売サイト】
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(2011-05-03)
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バラの谷、バラの季節
現在ブルガリア・バラの谷はダマスクローズが満開を迎えようとしています。

今月下旬が摘み取りの最盛期になると思われます。

また、バラの谷の主要都市カザンラクをはじめカルロヴォなど各地のバラ産地にて開催される「バラ祭り」は例年通り6月初旬とのことです。

(今年も、ブルガリア・バラの谷には世界中から観光客が押し寄せることでしょう)

ここ数年、春から夏にかけて異常な熱波が発生しがちたった東ヨーロッパも、今年は例年どおりとのこと。

ダマスクローズにできばえもまずまずとの声が聞こえてきます。

2011年ローズオイルの生産は今月〜来月に最盛期となり、ローズオイルの市場出荷は夏ごろとなります。

今年の新オイルは、どんなできばえになるのでしょうか?
(2011-05-02)
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新作香水「カグー」#3、南洋の開放感

豊かな香りが交差するニューカレドニアの風


ニューカレドニアには南北に山脈が走っており、熱帯雨林の様相を帯びた東側に対して西側は、比較的カラリとした気候に恵まれています。

ハワイのオアフ島も山地の東西で気象条件がかなり変化しますが、非常に似た構図になっています。

ニューカレドニアの多くの都市は西側に開け、多くの訪問者が西側に滞在します。気候は、適度な湿度とからりとした風、楽園のフローラルとニアウリや植物に含まれるグリーン感のある香り。

深呼吸したくなるような風です。


おみやげとしてスタートした「カグー」の香水


当社の香水「カグー」は、パフューマーがニューカレドニア滞在中に、現地のスーパーや精油工場で買い求めたニアウリの精油がベースとなりました。

テーマは「ニューカレドニアの想い出」。

「ニューカレドニアの想い出」は友人たちへおみやげとして配られ、それで終わる予定でしたので、帰国後、非常に短期間で制作された香りです。

しかし、南洋の楽園の雰囲気が友人たちに思いもよらず好評で、数種類のニアウリ精油で試作を行い本格的に制作活動に入ったという想定外の新作香水となりました。


南の島の明るく開放的な雰囲気


「カグー」の基本的な香りはマリン。南洋の楽園の島ですから。

私にはフローラルの楽しさがよい案配に感じられます。甘すぎず爽やかな香りです。

同じフローラルでも甘酸っぱいフローラル、粉っぽいフローラル、懐かしいフローラル、クールなフローラル、セクシーなフローラルといろいろありますが、「カグー」のフローラルは、楽しいフローラル。

南の島の明るく開放的な雰囲気が伝わってきます。

サンダルウッドや樹木系、ムスク系の香りは好き嫌いが分かれますが、「カグー」は比較的多くの人に好まれる香りではないかと思います。


新作「カグー」#3、南洋の開放感
新作「カグー」#2、島を守るニアウリ
新作「カグー」#1、カグーとは?

(2011-04-30)
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香る生活


新作香水「カグー」#2、島を守るニアウリ

島を守るニアウリの樹木


ニューカレドニアの大地には、至る所にニアウリと呼ばれる樹木が生い茂り、その樹木から発散する殺菌性が強い精気や大地を覆うニアウリの落葉が含む精油成分が島の衛生を保ち、空気を清涼なものにしています。

この国には大きな伝染病の記録がないとされています。


南太平洋に広がるニアウリとその仲間の香り


ニアウリの精油の香りは、ユーカリに似ています。

ユーカリだけでなく、ティートリー、カユプテとも似ていると思います。

ニアウリ・ユーカリ・ティートリー・カユプテは、すべてフトモモ科に属する樹木。姿も葉っぱも香りも似ています。

これらはニュージーランド、オーストラリアからインドネシアに広く生育しており、どれもヨーロッパ系移民が入植する以前から先住民たちのとって民間療法の重要な万能薬として利用されてきました。


ニアウリの精油工場


ニューカレドニアにはニアウリの畑と精油(エッセンシャル・オイル)を採取する精油工場もあります。

ニアウリ畑と精油工場は多くがファミリービジネスとして運営されており、ニアウリ精油を利用した食品やコスメの周辺産業が成立しています。

ニアウリキャンディはニューカレドニアの定番おみやげでしょう。ニアウリシロップやニアウリ歯磨きも現地のお店にはありました。

ニアウリ精油の万能薬としての伝統は、現在も引き継がれています。それどころか、世界的な自然回帰ブームに乗って見直されると同時にますます需要が高まっています。


余談、ニアウリと沖縄県北大東島の月桃の香り


余談です。ニアウリの香りは、沖縄県北大東島から送られてきた月桃精油の香りと、ある部分非常に似ていて驚かされました。

大東島は沖縄から東方360kmに位置する太平洋の中の絶海の孤島です。

北大東島の月桃は、同じ月桃ながら、沖縄の月桃とは香りがかなり違っています。

ニアウリに通じる香りが不思議です。ニューカレドニアと北大東島に何らかの不思議なつながりを感じましたが、これはまた大東島のテーマで後日書き綴りたいと思います。


新作「カグー」#3、南洋の開放感
新作「カグー」#2、島を守るニアウリ
新作「カグー」#1、カグーとは?
(2011-04-30)
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