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香る生活


20代男性の香水#3 日本も激動中
前回は、欧米男児のとっても高い香水&デオドラント志向についてご紹介しました。

驚きましたね。ところが、記事では、日本の20代にも香り志向が急速に拡大していることが書かれています。

「2007年から約2年の間に日本の男性フレグランス市場が約2倍となり急成長」

市場調査もやり方でいろいろ変化するのですが、男性香水市場が成長していることは概ね体感していること。

しかし、「2年間で2倍」と、そこまでは感じられません。これはAXAの売れ行きの成せる技と判断します。凄いですね。

コンビニでは数百円で買える香水商品のラインアップが増えてきました。当社のお客様とは異なるお客様層ながら、コンビニ香水で香水を体験し香水が好きになるという男性が増加していると考えられます。

様々な香水、最初はデザイナーズブランドになると思いますが、百貨店香水コーナーや香水ショップ、香水通販にて市販香水を試すようになったことが要因ですかね。

逆に40代以降の男性の場合、新規の香水ファン(香水の新規参入顧客層)は、案外、加齢臭対策や体臭対策から入って来られる方が多いとは日本の香水業界の共通認識です。

しかし、結果として香りに対して意識を高め香りや香水を愛用いただく現象なので、動機はどうであれ歓迎したい部分です。

(2010-03-23)
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香る生活


20代男性の香水#2 香水&デオドラントに高い意識

存在感が今ひとつ薄いニッポン男児


20代日本人男性の「女性から思われたい私」のトップは「親しみやすい」でしたが、他国との対比がおもしろいのが「セクシー」。

「セクシー」はボトム、つまり最下位でした。

女性から「セクシー」と思われたいと強い願望がある他国の20代男性と比較すると歴然、日本では最下位。我ら日本人だって、セクシーに思われたいような気もするのですが・・・

コスメや香水には、異性に対する意識が密接に関わりますし、意識的・無意識的に関係なくその目標は性的アピール・性的魅力のはず。それとも「黙りスケベ」を演じているのか?

思うにこの結果は「セクシー」という言葉に対する日本と海外のニュアンスの違いも影響があるかもしれません。あちらではセクシーは誉め言葉で「クール」や「カッコいい」に近い気がします。

ギロギロの肉欲でなく、なんというか「健康的な官能美」に近いのでは。

ところが日本では、セクシーという言葉には本能丸出しのような露骨なイメージがあって数値が落ちたのではなかろうかと解釈しています。

それにしても他国ではまったく見向きもされない「爽やか」が日本では高得点をマークするのは、草食系男子トレンドの延長線上にあるような。

「親しみやすい」や「爽やか」では存在感が薄れ行くひたすた無害ニッポン男児の行く末を象徴するような結果です。


身だしなみと香水


「身だしなみとして日常的に香水をつける?」(オーデコロンを含む香水類)という質問では、78%のフランスをはじめ他国のオトコたちは軒並み70%前後。香水がお好きなんですね。

対するわがニッポン男児の日常的香水使用率は20%程度です(え、でもそんなにいる?5人に1人!と逆に驚くアナタは40代以上ですね)。

デオドラントに至っては欧米男児は80%前後、日本人男性は香水同様20%程度。

他に「スキンケア」や「眉の手入れ」「ヘアスタイリング」という質問項目もありますが、日本と他国では目を見張る大きな違いはありません。やはり、香水とデオドラントは大きな差が出ています。

香水とデオドラントに高い習慣があることは、欧米の男性が匂い・香り・体臭に対して意識と関心があることが伺えます。

デオドラントに至っては、20代日本人男性の4倍の人々がデオドラントを日常的に使用していると答えています。習慣としてかなりがっちり根付いている印象を受けます(*1)。

(*1)パリも200年前は糞尿の街でしたから、まあ逆にそれだけ壮絶な悪臭の環境が彼らの匂い文化・香り文化を育んだとも言えます。


香水とデオドラントの欧米男性の高い使用率に圧倒されて


「やはり、彼らは臭いのか?」

という体臭疑惑が沸いてくる人もいることでしょう。それはまったくの見当違いです。

(2010-03-19)
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20代男性の香水#1 人気のトレンド
今日から数回、20代男性の香水と恋愛意識について。ネタは人様のデータです:

AXE RESEARCH LAB

20代男性の香水と恋愛の間の深〜い関係をレポートした調査結果です。

他社様のデータなので、取り上げてよいものかやや悩みましたが、おそらくWelcomeでしょうからリンクさせていただきました。


近未来のメンズ香水を占う20代男性


調査対象は「20代男性」。

調査会社さんにとっては製品のメインターゲットという意味合いが大きいと思われますが、近未来のメンズ香水の動向やトレンドを占う世代という意味も。

香水に関する男性に意識変化はここ数年、けっこう激しく動いており、「10代・20代」と「30代」と「40代・50代〜」には大きな断層ができつつあるように感じています。


スカートをはく男達の時代は来るか?


お小遣いの大半をメンズコスメに消費する10代の男の子の特集が大手の雑誌でも取り上げられる昨今、ボーイズメイクはフツー、プチ整形も前向きという風潮が。

近年の激烈メヂカラガールズたちには、なんとも目のやり場がないお父さんたちの困惑度を高めていますが、次は少年達のメヂカラボーイズがスカートをはいて街を闊歩する時代も覚悟していた方がよさそうです。


女性にアピールしたい男像


さて、香水ですが、この調査は日本と欧米4カ国(アメリカ・イギリス・フランス・イタリア)の対比で行われています。おもしろく特徴的な数値を叩き出しくれたのが、日本・フランス・イタリアです。


・質問「あたなは女性にどんな男性と思われたいですか?」
(パワフル・洗練・セクシー・親しみやすい・知的・爽やか・男らしい・可愛い・センスが良い・個性的・清潔感がある)

言語によってニュアンスがあるので単純比較は厳しいのですが、案外「パワフル」や「男らしい」といったマッチョ系・バンカラ系は万国共通で人気がありません。

これ、今時の世界的なトレンドでしょうか?

昔の日本なら米俵を何俵担げるかが男の価値観のすべてだったし、アメリカなら荒くれの牛や馬に乗りこなし素手で押さえ込むことが男の美学でしたが、馬鹿力は現代では見せ場がない。

世界の20代が「女性にこう思われたい」のトップは日本とフランスを除いて「知的」です。

その日本とフランスもトップの座こそ射止めませんでしたが、高い数値をマークしています。

今時の世界トレンドは、「知的でクール、セクシー」ってのが男の価値観のようです。

そういえば、欧米のドラマも日本のドラマも「天才数学者の犯罪捜査なんたら」や「天才頭脳のなんたら」「科学捜査なんたら」など、インテリジェント系が流行しています。

(2010-03-18)
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刑事ドラマの定番「アーモンド臭」は危険な香り
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香水瓶の歴史#10 中世ヨーロッパのガラス

香水瓶の話はまたいつか


本当は香水瓶について書いていたのですが、いつの間にか、ガラスの歴史の記事になり、専門外の領域にはまりこんで苦しんでおります。

「ガラスの歴史」といった感じの本を買ってきて読んでみましたが、ガラスはやはり芸術家の感性をくすぐる何かがある素材なんですね。歴史書ながら装飾性や芸術性の視点がまぶしかったです。

本題の「香水瓶」ですが、今回はガラスのことだけ話が長くなり疲れ果てましたので、またいつか書きます。本日はガラスの歴史、最終章。


ガラス文明の衰退


前回はローマ時代にガラス技法のビッグバンが起き、ガラス文明が一気に開花した話でした。

しかし、ローマ時代が東西分裂(395年)、ゲルマン人の侵入による西ローマ帝国滅亡(476)後、ガラス文明は急速に萎みます。

東ローマ帝国に移住したガラス職人も多く東ローマ帝国やイスラム諸国で生き延びますが、めぼしいガラス製品の大量生産は途絶えてしまいます。

一つには原罪思想で禁欲的なキリスト教がローマ時代以降、ヨーロッパの支配的宗教になり生活規範のバックボーンになったことで贅沢・華やかで豪華なガラス製品が敬遠されたことが大きいと思われます。


ステンドグラス


もっともすべてのガラス文化が衰退したわけではなく、色彩豊かなステンドグラス(板ガラス)が12世紀、東ローマ帝国で発明されヨーロッパ中でブームとなります。

その神秘的な輝きと厳かさの効果から教会建造物の重要な装飾美術・装飾技法としてキリスト教に取り入れられました。

中世ヨーロッパは、なにはさておき、キリスト教の時代。教会の権力機構に取り入れられた文化や文物は大きな発展の要因になりますし、そうでないものは憂き目をみます。


ヴェネツィアン・グラス


一方、小国ながら世界を相手にビッグビジネスを展開し巨万の富を築いた「アドリア海の女王」ヴェネツィア共和国では、かの有名なヴェネツィア・グラスが作り出されます。ヴェネツィアン・グラスと呼んだ方がいいのでしょうか。

ヴェネツィア共和国の勃興は塩野七海さんの著作で日本でも広く知られるようになりましたが、世界史に残る特筆すべき国家でした。

私も『海の都の物語』を読みふけりました。ヴェネツィアは現在では凄い豪華な観光地になっています。

ヴェネツィア・グラスもお土産屋さんの棚に並んでいますが、当時はヴェネツィアの国際貿易と支えた物資でした。

ヴェネツィアン・グラスの特徴は添加物(コバルトやマンガン)の工夫による豊かな色彩と極限の薄さ、強さ、そして派手な装飾性です。


国家の戦略物資


ヴェネツィアン・グラスは、当時ヴェネツィア主要輸出産物の一つ。

現代風に言えば、国家の戦略物資だったわけでガラス製法の技術拡散や漏洩を恐れたヴェネツィア政府はガラス職人達をヴェネツィアに隣接するムラーノ島に強制移住(1291年)し、事実上の軟禁政策を実施したことは有名なエピソードです。

ムラーノ島全体が、当時の世界最高峰のガラス工房であり最高級ガラス生産工場となっていました。ムラーノガラスは現代においてもガラスのブランドです。

職人や芸術家同士の集合(コンセントレーション。電気街の秋葉原や芸術家のNYソーホーのような状況・・・どちらも変貌してしまいましたが)が、切磋琢磨によってさらに技術を高め合う効果があったことは事実です。

しかしながら、強制的・物理的に技術者や職人を囲い込んでも結果的に技術の拡散を防止することができなかったことは歴史が示す一つの教訓と感じられます。


北方に移るガラス中心地


ヴェネツィアン・グラスの技法とノウハウは北ヨーロッパへと伝わり、フランス・ドイツ・ボヘミアなどの土地でさらなら発展を遂げます。

優れた原材料が豊富に産出する地域(フランス・ドイツ・ボヘミア)やイギリスなどの大消費地においてガラス工房が多く開かれました。

もともと原料や製造資材に恵まれないヴェネツィアに強大なガラス産業を独占的につなぎ止めるだけの力はなかったのです。

「富を生み出すモノは必ず世界との競争に巻き込まれる」という事実も歴史が示す教訓ですね。


この記事は#10



香水瓶の歴史#10 中世ヨーロッパのガラス
香水瓶の歴史#9 ローマ時代のガラス3
香水瓶の歴史#8 ローマ時代のガラス2
香水瓶の歴史#7 ローマ時代のガラス1
香水瓶の歴史#6 ギリシア時代のガラス
香水瓶の歴史#5 透明ガラス瓶の出現
香水瓶の歴史#4 ガラス瓶の起源
香水瓶の歴史#3 香水瓶がガラスである理由
香水瓶の歴史#2 聖書の記録された香料
香水瓶の歴史#1 香水瓶は豪奢の象徴

(2010-03-13)
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香る生活


香水瓶の歴史#9 ローマ時代のガラス3

香料人気とガラス瓶


ローマで香料がこれだけ人気の対象になると当然その容器として最適なガラス瓶の発展にも大きな変化が見られます。

ガラスの製造に熱心でなかったギリシア時代に比較してローマ時代には多数のガラス製品が製造されました。

これらガラス製品は「ローマンガラス」(ローマングラス、ローマガラス)と呼ばれます。


ローマングラス


ローマ帝国時代の定義は諸説ありますが、紀元前27年、カエサル暗殺後のローマの混乱に終止符を打ったアウグストゥスがローマ帝国初代皇帝に就き、共和政ローマ(古代ローマ)から帝政(ローマ帝国)に移行した時点からローマ帝国が東西に分裂する395年までとする人が多いようです。

ローマンガラスの隆盛は、紀元前1世紀くらいから始まりローマ帝国の勃興とともに発展します。ローマンガラスの発展を支えた事件が「吹きガラス」製造方法の発明です。


ガラス工芸史のビッグバン「吹きガラス」


吹きガラスとは、文字通り吹いて成形するガラス成形方法でありガラスの成形技術です。

中が空洞になっている鉄パイプなどに熔解炉で溶解しているガラス原料からボール大の「ガラス種」(ガラス玉)を巻き取って、一方の口から風船のように強い息を送り込む(吹き込む)ことでガラス種の中を空洞化し容器として成形します。

溶解したガラスには水飴のように粘度があり、その性質をうまく利用した賢いやり方です。

コアガラス製法と比較して高度な成形が可能なこと、量産に適していること(それゆえ安価な製造が可能なこと)、などメリットは大きくガラス工芸史の中では、ビッグバン的な事件です。


技術のシンプルさが普及に拍車をかける


吹きガラス技術がどこで発明されたか定かでありません。

しかし、高度な機材や設備が必要ないため職人の習熟だけで、それまで王侯貴族の宝物だったガラス製品の製造が可能になったことで爆発的な技術拡散と発展を遂げます。

2世紀頃にはヨーロッパ全体でガラスが製造されるようになったと考えられています。

今でこそヨーロッパは世界の先進国ですが、当時ローマより北方は「原住民」の住む秘境程度に考えられていました。

実際文明らしい痕跡も少ないので、ガラスの製法がヨーロッパ全土に伝播した事実は、この技術がいかにすぐれ、また価値があるかを物語ります。

現在で言えば、密林の中にまで浸透するインターネットの普及と似ているかもしれません。

こうしてガラス製品は、それまでの「王様の宝物」から、あとっという間に庶民にも所有可能な容器(とはいっても現代とは比べものにならないくらい高価ですが)へと変貌していきました。


現在でも主流の吹きガラス技法


吹きガラス技法は現在でもガラス成形の主流です。

当時発明されたばかりの吹きガラス技法は「宙吹き」と呼ばれ、成形にばらつきがありました。

しかし、すぐに「型吹き」という金属や石膏の型に流し込んだガラス種に対して吹き込む技法も生み出されました。

現在のガラス工場でも「型吹き」が行われています。巻き取りや吹き込みが機械化された点は違いますが成形原理は同じという点が驚異的です。

(2010-02-19)
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