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( 香水工場の )

香る生活


米eBay、フェイク訴訟の行方
インターネット時代のブランド攻防戦を象徴する争い
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日本のオークションサイトでは有名ブランドの製品が破格な価格で販売れていることがあります。訳あり本物もありますし、贋物・フェイクの場合もあります。フェイクの場合、あえてフェイクであることを前提の場合もありますし、落札者を欺くためのフェイクもあります。

世界最大のオンラインオークション会社、eBayでも事情は同じで、ここ数年、ティファニーやロレアル、LVMHなど世界の大ブランドさん次々と対eBay訴訟に踏み切り法廷での闘いが続いています。

訴えの内容は、多くの場合、そういうフェイクを取り締まる努力がeBay社に不足しており、eBayのマーケットプレイスは不正取引会場化し不正取引を増長しているというものです。一方、eBay社の主張は個人の自由な取引に制限を設けることは経済全体の発展を損なうと反論しています。

あなたはどちらが正しいと思いますか?

世界の大ブランドさんたちは、ブランド商品が本物・フェイクに関係なくそもそもオークションサイトにて取り扱われないことをの究極の目標に設定していると推測されます。この話題は昨年も取り上げさせて頂きました。

闘い続くeBay対ブランド各社とのフェイク訴訟

eBay社はさまざまなブランドさんと法廷訴訟中ですが、ことロレアル社が2007年に起こした5カ国での対eBay社5件の訴訟に関しては3対1で勝利、1件は審議中です。

今日のニュースはこの4件目、英国高等法院が下した判決です。eBay社は「A victory for consumers」(消費者にとっての勝利!)と判決を歓迎するコメントを発表。

eBayが英国でL'Orealに勝利
UK Court Clears eBay in L'Oreal Fakes Case

--------------(引用)--------------
米メディアの報道(Internetnews.com)によると,L'Orealは,同社ブランドの香水やフェイス・クリームの偽造品がeBayのネット・オークション・サイトで販売されていることについて,eBayに責任があるとして提訴した。偽ブランド品の売買を防止するため,eBayサイトにおけるL'Oreal製品の販売を禁止するよう求めていた。しかし英高等法院は,eBayに責任はないとの判断を下した。
--------------(引用)--------------

---------------QUOTE--------------
A high court in the United Kingdom has ruled that eBay cannot be held accountable for the sale of counterfeit L'Oreal perfumes and face creams.

The cosmetics maker had argued that knockoffs were rampant across eBay's (NASDAQ: EBAY) marketplace, and sought to bar the sale of its products on the site to cut off the counterfeit trade.
---------------QUOTE--------------

ブランドの育成と保護は国策であり国家戦略という考え方があるフランスは、ややブランド有利の政治的判決が多い印象を私は持っていたのですが、そのフランスでも本件はeBay勝訴で幕が引けました。

eBay社勝訴:
・ベルギー
・フランス
・イギリス

ロレアル社勝訴:
・ドイツ

審議中
・アメリカ

商業裁判に上告制度があるのか、彼の国々の司法の仕組みがどうなのか不明ですが、法がどうであれこの闘いはまだまだ続きます。きょうのニュースはeBay社対ロレアル社の闘いでしたが、数多あるブランドさんが続々とeBay社提訴の構えを見せており、eBay社としても包括的な活路を見出す手法を模索されているに違いありません。


(2009-05-28)
( 香水工場の )

香る生活


ご連絡:サンダルウッド(白檀)のオリ
「フローラル・フォーシーズンズ サンダルウッド(白檀)」のオリに関するお知らせ
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「フローラル・フォーシーズンズ 白檀(サンダルウッド)」には、天然のサンダルウッド精油が配合されております。

サンダルウッドは非常に強力なオイルで、いったん香水として溶かしても後日再結合化し、黒茶色い塊として液中に浮遊したり沈殿したりします。この再結合化した物体を「オリ」と呼びます。

オリは、香料本来の成分であり不純物ではありませんが、見た目の悪さからなるべく事前にオリ生成を抑える処理をしております。しかし、当社ではオリを化学的に溶かす界面活性剤の使用をしない、または極力低減するポリシーを掲げております。

また、フィルタリングも本来の香り成分までが失われないよう過剰に行なわないようにしています。そのため、ある程度のオリの生成リスクを許容して製品製造を行っております。

「フローラル・フォーシーズンズ 白檀(サンダルウッド)」にはオリが発生している場合がありますが、これらは天然のサンダルウッド成分の再結合化したもので不純物や有害物ではございません。

ワインの醸造などで発生するオリはポリフェノールを高濃度に含んでいる栄養エッセンスの塊です。白檀のオリも同様に香りの高濃度エッセンスです。

ご使用に問題がある場合は、お取り替えなど対応させていただきますが、小さなオリは天然成分の一部としてぜひご使用いただければ幸いです。



(2009-05-23)
( 香水工場の )

香る生活


神代植物公園#7

説明を聞いて香りを確かめる日本人、説明を聞かないフランス人



「暑さとバラの香りでむせ返るバラ園・・・神代植物公園」の7回目。長く引っ張ってしまいました。ご安心下さい。今日が最終回。

最終回は、日本人とフランス人の香り文化の違いの一例を取り上げます。来日中のパフューマーさんが感じた日本人の香水に接する際の特徴です。

ニオイがするモノや香り物は、まずはニオイを嗅いでみる。すると、頭脳に保管されている香りデータベースを検索し、成分名や同じ種類の香りや製品や情景や過去の実体験など、様々な情報が上がってきます。

パフューマーにように千種類近い香料名を記憶しているトレーニングされた人には成分名もかなり高い確率で当たります。しかも何種類でも言い当てます。

私たちのような一般人には成分名はわかりませんが、体験のあるさまざまな事物のニオイとの類似性を無意識にチェックし「○○に似たニオイ」といった計算をします。

場合によっては昔そのニオイを体験していた頃の情景や感情まで持ってくることがあります。パッと情景が浮かぶような瞬間ってありますよね。

ニオイは多くの情報を含んでおり、多くの感情を伴う要因です。感情のスイッチを押す力があります。それゆえニオイとは立派な情報源です。

香水の場合、極論すればニオイが全てです。周辺は削ぎ落としてもいいのです。

つまり、香りの本質的な楽しみは、香りそのものであり、そこにはブランド名も背後のストーリーも歴史もパッケージの見た目の美しさも、芸能人の誰々さんが使っているウンヌンも不要。

香り以外すべて取り去って、それで素敵な香りかどうかがポイントですし、すべてです。

しかし、人は、まずは外見で入るのが本能。それはやむを得ませんが、理想を言えば、香水は最初に香りで判断されるべきものだと思います。

フランス人は、香水の品定めをする際、あまり説明をきかずに香りを確かめる人が多い。

香りに興味がわくと成分や開発者や背景やブランドのことを質問してきます。一方、日本人は香りを確かめる前に、あれこれ説明を聞いてからという人が多い、とは彼の体験談です。

私は、香水文化の先輩としてのフランスには学ぶべきことが多いことも実感しています。

もともと人間の汚物で街中が充満していたパリ。汚泥の中から這い上がるスイレンの花ように美しい香水文化の華を咲かせた歴史があります。昔から比較的清潔だったった日本人の感覚からは汚物まみれのパリなどリアルすぎます。

ニオイに対するそういう壮絶な現実と伝統が今日のフランスの香水文化を基盤であることを考えると、やはりフランスの香水文化は一歩先輩です。

クリエイターの層の厚さだけでなく、消費者の目の肥え具合もフランスの香水文化の大きな力になっている・・・などなどいろいろ考えさせるイベントとなりました。

このイベントを企画した会社は、フォルテ。東京吉祥寺にある化粧品&香水商社さんです。


終わり

バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#7
バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#6
バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#5
バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#4
バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#3
バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#2
バラのニオイを堪能・・・神代植物公園#1
(2009-05-22)
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香る生活


神代植物公園#6

見た目美しさ vs 中身重視



化粧品やトイレタリーのグローバル企業は、商品開発センターをあえて日本に配置し完成品に近いベータバージョンのテストマーケティングを日本で行うところは少なくありません。

世界戦略商品にとって、日本でのテストマーケティングで受け入れられ、その後世界市場にロールアウトという図式は成功図式の一つです。

それもこれも日本の消費者のよい意味での「うるささ」、別の言葉にすれば要求基準の高さを利用したマーケティングです。

しかし、この日本人の「うるささ」が、必ずしも商品の目利きの実力だけを意味していないことはマイナスの側面です。

日本では、本当は美味しい野菜も、不揃いで曲がっていたり虫食いの跡といった表面的な見た目で判断され不当な評価を受けるケースは、ほんの一例です。

本当の「お買い得」を私たちは見逃しているかもしれません。

パフューマーさんとのランチでは香水内に漂ったり沈殿したりするオリの話題もでました。オリはほとんどの場合、香水の香り成分のエッセンスですが、知らない人にとっては「不純物」や「異物」と取られ不良品扱いになることもあります。

オリを徹底的に排除する手法はありますが、香りと本来無関係な薬品や薬剤を添加したり、過剰なフィルタリングを行うことは香りエッセンスそのものまで奪い取る結果となります。

それは多くのパフューマーが感じることで、彼らも過剰なフィルタリングは好みでありません。

フランスでは、香水の伝統と歴史が長いだけに香水にオリがあっても「香水とはそういうもの」というある程度のコンセンサスがあり、本質重視の結果としての商品の多少の見た目の悪さは許す環境や許容力があると言っておられました。

しかし、日本市場に製品を持ちこむ際は、見た目美しさの日本基準の高さがネックであり注意を要します。


(続く・・・)

神代植物公園#7
神代植物公園#6
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神代植物公園#3
神代植物公園#2
神代植物公園#1
(2009-05-22)
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香る生活


神代植物公園#5

興味・探求心がある人はいつまでも若い



パフューマーさんを囲んだランチは静かに進んでいきました。

今まで触れませんでしたが、今回の会合にはバラ研究者の方も招待されていました。バラ園のバラツアーで、バラに関する濃厚な話を聞くことができました。

私は香水の世界に入って、まずは香水の原料(というか「香水の究極かつ永遠の目標」)として避けがたいバラを勉強するにあたり、その方の本でバラを勉強したので直接バラを前にお話を聞くのは贅沢な気分でした。

しかし、お話の中でもっとも感銘を受けたことはお話の内容より、バラに対する飽くなき執念・執着心のような凄さです。

バラ園に入る前シャクヤク園がありました。すばらしい花です。中国では牡丹(ボタン)とともに芍薬(シャクヤク)は国を象徴する花として人々に愛でられています。

シャクヤクは、一般に香りはほとんどないと考えられていますが、私たちが嗅ぎ回ったところ穏やかなフルーティな香りを放つ花を発見しやや感激しました。

彼はシャクヤクについても分類や香りについてひどく詳しいのですが、あまり関心がなさそうでした。

一通りバラ園内を見終わった後、多少の自由時間を設けられましたが、多くの人は炎天下の下の徘徊だったため疲れて、まずは木陰で一服ですが、彼は違っていました。

他に見たい花があるからと休憩なしにどこかへ消えます。

ランチ終了後、イベントはお開きになりましたが、彼は見たい花があるからと一人公園に戻っていきました。内心、「あの体力、あの執念はどこからくるのか!」と。

天才とは才能の前に「人並みはずれた執着心を示す」と言われますが、そんなことわざを彷彿させるパワーです。

話は飛びますが、尽きることのない興味・関心・探求心のある人は、俳優さんも、芸術家も、研究者も、一般にご高齢になってもいつまでも若々しい人が多いものです。

「心の状態とアンチエイジングの濃厚な関係」を感じていますが、このイベントでたまたまご一緒させていただいたバラ研究者の方のパワーを見て、今後のご活躍をますます確信しました。

(続く・・・)

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(2009-05-22)
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香る生活


神代植物公園#4

「ランキング」に弱い日本人、でもフランス人も





テレビの料理番組でレシピーが紹介されると材料を同じにするだけでなく、大さじ1杯など各材料の配合比率も忠実に守る日本人に対して、中国では「そんなヤツはいない」と知人がいっておりました。

結果的にご家庭ごとに「オフクロの味」ができあがるそうです。

このように日本人は集団内で各自が集団の価値観に同一化・同調する文化をもっていいますが、世界的に例を見ない「ランキング大好きニッポン」もこの文化の延長線上の心理現象でないかと思います。

集団から最も支持される商品のナンバーワンからナンバーツ−、ナンバースリーと並べていき、自分が選択すべきものの判断基準にされがちなのは自分自身否定できないDNAです。

企業の経営を左右しかねない「ランキング」という価値観。

商品はなんでもかんでもランキングされ「売れ筋NO.1」「人気NO.1」「注目度NO.1」「今週の一番」「今月の一番」「当店の一番」「お客様支持率NO.1」と果てしもなくランキング競争が熱い火花を散らしています。

あろうことか、香水ショップに陳列された、あのか弱い香水たちまでもがランキングの身分制度にさらされる時代となりました。

香水ショップや香水ネット通販のお店でもランキングを掲載するショップの多さはお気づきのことと思います。

私も日本人、個人的にランキング表示は嫌いでないのですが、香水は個人の嗜好が強い製品ですので、ランキングで香水をチョイスすると失敗も多々あるでしょう。

パフューマーさんを囲んだランチでは、日本の香水ショップにありがちなランキング陳列も話題になりました。彼はおもしろい話をしてくれました。

シャンゼリゼ通りに面するセフォラ本店は、とても有名ですのでみなさんも行かれたかもしれません。

このセフォラでは売れ筋香水のランキングを発表していますが、彼の友人のパフューマーは自分の商品に対して電撃作戦を敢行。

社員・知人・身内などを総動員し強制的にランキング上位食い込みに成功。ランキングが上がることで、やはり売上は伸びたとのことです。

どうも化粧品会社や香水メーカーの委託を受けたPR会社や売り出し中のパフューマーさんが使うマーケティングの常套手段ともとられかねない話です。

世界中の観光客でごった返すセフォラ本店だとしても、メインはやはりフランス人。私は素朴に「フランス人でさえ、ランキングには弱いのか」と新しい発見をしました。

(続く・・・)

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(2009-05-22)
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