( 香水工場の )
香る生活
(移転)
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(2008-03-10)
(2008-03-10)
( 香水工場の )
香る生活
恐怖の喫煙室
愛煙家には厳しい時代が来ています。多くの人が禁煙に移行中ですが、喫煙家がいったん禁煙家になると、ここが重要ですが「嫌煙家」に変身することです。たんに自分が吸わなくなるだけでなく喫煙している人を憎む傾向にあります。
昨日、取引先との打ち合わせで東京駅へ。先方が新幹線の時間を待っている合間にコーヒーショップで打ち合わせをしました。先方は3名、相当の愛煙家さん達です。おそらくニコチン依存症? 私はタバコを吸いません。さらに今回のプロジェクトの関係者がもう一人。彼はタバコを憎む男。仮にZ氏としましょう。
私の趣味から言えば、完全に禁煙となっているスターバックスなどは理想的なコーヒー空間ですが、相手がタバコ派なら多少は譲る方です。一方、先方は人類はすべてデフォルトで愛煙家だと信じているのか「タバコは大丈夫ですか?」という質問さえないままある喫茶店に連れて行かれました。慣れているところをみるとよく利用している茶店でしょう。
この茶店は分煙方式で、ガラズ張りのかすむお部屋の中にはたくさんの愛煙家達がたむろしていました。昔の映画「カサブランカ」の酒場のようにモクモクです。タバコを吸わない人間にとって中途半端な分煙ほど神経を逆なでするモノはないのですが、今回はある程度しっかりした分煙です。が、皮肉にも「しっかりした煙の部屋」に通されました。密封性が良い分、目に染み入る煙さです。
Z氏の態度が変です。いつもはほがらかで話し好きの人ですが、若干うつむき加減で言葉数が少ない。口を開けば言葉の端々にトゲが感じられます。取引先もわかるのか話は盛り上がることもなく一応事実関係の確認だけ済ませ、早々にお開きとなりました。
Z氏も今まで先方のタバコには我慢してきて顔にも態度にも出しませんでしたが、今回はついに堪忍袋の緒が切れたようです。彼の場合、普段穏和なだけに怒り出すとネチネチと長く口も汚くなるので、次回喫茶店で打ち合わせはワクワク。次回の打ち合わせが楽しみです。
(2008-03-07)
昨日、取引先との打ち合わせで東京駅へ。先方が新幹線の時間を待っている合間にコーヒーショップで打ち合わせをしました。先方は3名、相当の愛煙家さん達です。おそらくニコチン依存症? 私はタバコを吸いません。さらに今回のプロジェクトの関係者がもう一人。彼はタバコを憎む男。仮にZ氏としましょう。
私の趣味から言えば、完全に禁煙となっているスターバックスなどは理想的なコーヒー空間ですが、相手がタバコ派なら多少は譲る方です。一方、先方は人類はすべてデフォルトで愛煙家だと信じているのか「タバコは大丈夫ですか?」という質問さえないままある喫茶店に連れて行かれました。慣れているところをみるとよく利用している茶店でしょう。
この茶店は分煙方式で、ガラズ張りのかすむお部屋の中にはたくさんの愛煙家達がたむろしていました。昔の映画「カサブランカ」の酒場のようにモクモクです。タバコを吸わない人間にとって中途半端な分煙ほど神経を逆なでするモノはないのですが、今回はある程度しっかりした分煙です。が、皮肉にも「しっかりした煙の部屋」に通されました。密封性が良い分、目に染み入る煙さです。
Z氏の態度が変です。いつもはほがらかで話し好きの人ですが、若干うつむき加減で言葉数が少ない。口を開けば言葉の端々にトゲが感じられます。取引先もわかるのか話は盛り上がることもなく一応事実関係の確認だけ済ませ、早々にお開きとなりました。
Z氏も今まで先方のタバコには我慢してきて顔にも態度にも出しませんでしたが、今回はついに堪忍袋の緒が切れたようです。彼の場合、普段穏和なだけに怒り出すとネチネチと長く口も汚くなるので、次回喫茶店で打ち合わせはワクワク。次回の打ち合わせが楽しみです。
(2008-03-07)
( 香水工場の )
香る生活
エキゾチックな奥深さ、梅の花
日曜日に百草園(もぐさえん)に行きました。京王百草園は、京王線で新宿から30分、百草園駅で下車、駅から徒歩10分くらいの丘陵の上に開かれた庭園です。
もともと歴史の古いお寺の庭園だったらしいのですが、現在では梅園として有名でこの季節、東京都心から多くの観光客を集めます。アクセスがよいのもその一因でしょうか。百草園一帯の丘からは多摩川とその向こうに広がる府中・国分寺・日野市などが見渡せます。
この日は、お天気がいい上に満開を迎えた梅がちょうど狂い咲き状態で、梅好きの人には楽しいかったに違いありません。梅の花は、人の心を和ませる心理効果があるようです。おじさん達がほがらかな顔で園内を徘徊していました。デートらしき男女も多いのですが、母娘という感じの方々も多く梅は女性グループにより人気がある花のようです。
私の場合は半分仕事ですので一人で見学です。梅の花には芳香がありますが、それほど強くないため私のように鼻が効かない人間はグッと鼻を花に近づけて匂いを確かめる必要があります。
当然自分の身長以下で花を付けてくれる梅の花がターゲットになりますが、百草園のように様々な種類の梅があるところはありがたいものです。同じ品種でも香りがある花とそうでない花がありますので、まずは匂いを放つ花を捜して香りを確かめます。
武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズには梅の花をテーマにした香りが何点かあります。
・春告げ草(梅)
・ろうばい
・白梅(はくばい)
・枝垂紅梅(しだれこうばい)
フローラル・フォーシーズンズにとって梅の花はとっても重要なテーマ。
このうち「ろうばい」と「白梅」は香りが非常に似ています。しかし、比較的はっきりと強いフルーティーな芳香を放つロウバイに対して、白梅は花の香り自体が弱いものの香りそのものはロウバイの花に比較すると濃厚で甘く大人っぽい印象があります。フローラル・フォーシーズンズの「ろうばい」と「白梅」もそのような対比で制作されています。
梅の花も精油が採れませんので他の成分で処方し調合して梅の花の香りを再現していますが、意外なことにフローラル・フォーシーズンズの「ろうばい」と「白梅」には、バルサミックノートやトルーバルサム、クローブのようなスパイシーな香料も使用されています。
トルーバルサムとは、南米にひろく生育するバルサムの木から採取されるバルサム樹脂の中に含まれる黄色茶色の精油です。原産地は南米ベネズエラ、キューバ、コロンビアなど。スモーキーでべっとりした甘さを感じさせます。バニラのようとも、カラメルのようとも表現される香りです。
香りの微妙な印象は個人的なものが多いので、多くの人に共感いただけるかどうかわかりませんが、私の場合、日本の代表的な花でとっても和風のイメージが強い梅の花に、トルーバルサムのようなエキゾチックでオリエンタルな雰囲気が潜んでいることを今回も実際の花で確認してきました。
この時期、とっても人気の「春告げ草(梅)」「ろうばい」「白梅」、そして今年リリースしたばかりの「枝垂紅梅」、ぜひ嗅ぎくらべていただければ幸いです。
(2008-03-06)
もともと歴史の古いお寺の庭園だったらしいのですが、現在では梅園として有名でこの季節、東京都心から多くの観光客を集めます。アクセスがよいのもその一因でしょうか。百草園一帯の丘からは多摩川とその向こうに広がる府中・国分寺・日野市などが見渡せます。
この日は、お天気がいい上に満開を迎えた梅がちょうど狂い咲き状態で、梅好きの人には楽しいかったに違いありません。梅の花は、人の心を和ませる心理効果があるようです。おじさん達がほがらかな顔で園内を徘徊していました。デートらしき男女も多いのですが、母娘という感じの方々も多く梅は女性グループにより人気がある花のようです。
私の場合は半分仕事ですので一人で見学です。梅の花には芳香がありますが、それほど強くないため私のように鼻が効かない人間はグッと鼻を花に近づけて匂いを確かめる必要があります。
当然自分の身長以下で花を付けてくれる梅の花がターゲットになりますが、百草園のように様々な種類の梅があるところはありがたいものです。同じ品種でも香りがある花とそうでない花がありますので、まずは匂いを放つ花を捜して香りを確かめます。
武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズには梅の花をテーマにした香りが何点かあります。
・春告げ草(梅)
・ろうばい
・白梅(はくばい)
・枝垂紅梅(しだれこうばい)
フローラル・フォーシーズンズにとって梅の花はとっても重要なテーマ。
このうち「ろうばい」と「白梅」は香りが非常に似ています。しかし、比較的はっきりと強いフルーティーな芳香を放つロウバイに対して、白梅は花の香り自体が弱いものの香りそのものはロウバイの花に比較すると濃厚で甘く大人っぽい印象があります。フローラル・フォーシーズンズの「ろうばい」と「白梅」もそのような対比で制作されています。
梅の花も精油が採れませんので他の成分で処方し調合して梅の花の香りを再現していますが、意外なことにフローラル・フォーシーズンズの「ろうばい」と「白梅」には、バルサミックノートやトルーバルサム、クローブのようなスパイシーな香料も使用されています。
トルーバルサムとは、南米にひろく生育するバルサムの木から採取されるバルサム樹脂の中に含まれる黄色茶色の精油です。原産地は南米ベネズエラ、キューバ、コロンビアなど。スモーキーでべっとりした甘さを感じさせます。バニラのようとも、カラメルのようとも表現される香りです。
香りの微妙な印象は個人的なものが多いので、多くの人に共感いただけるかどうかわかりませんが、私の場合、日本の代表的な花でとっても和風のイメージが強い梅の花に、トルーバルサムのようなエキゾチックでオリエンタルな雰囲気が潜んでいることを今回も実際の花で確認してきました。
この時期、とっても人気の「春告げ草(梅)」「ろうばい」「白梅」、そして今年リリースしたばかりの「枝垂紅梅」、ぜひ嗅ぎくらべていただければ幸いです。
(2008-03-06)
( 香水工場の )
香る生活
「百合」リニューアル若干の遅れ
香水類は、数十種類から数百種類の香料を調合して制作します。香料の種類は数千種類とも数万種類とも言わますが、そのバージョンの違いや産地の違い、ロット違いまで加味すると事実上無限の種類の香料が存在します。そして、そのすべてが毎年生産されているわけではありません。
様々な香味植物や鉱物(石油・石炭・地中成分)から採取・生成される香料や香料原料は、天災や天候不順・不作などで生産が止まることがあります。
戦争や紛争も脅威です。原産国・原産地の戦争など人的・政治的な理由で原料供給が中断したり産地が閉鎖されたりします。
あるいは原料メーカーのビジネス上の都合や、とくにEUが世界に率先して熱心ですが、法的な使用規制や使用制限も原料ストップの原因になります。
その中断された香料が香り全体の屋台に影響を与えるようなキーの成分でなければ問題ありませんし、香料がキーであっても簡単に他の香料や他の産地の香料などで代替が可能なら問題ありません。
2年前に休止に追い込まれた「フローラル・フォーシーズンズ 百合」は、まさにキーとなる香料の生産中止でした(「グリーンローズ」も現在この理由で休止中です)。香料会社さんからさまざまな代替品の原料を提案いただきましたが、最終製品がまるで違う香りになりました。
結果的に代替原料でアコードを取り直すことはあきらめ、新規にゼロから処方を組み直すことにしました。その間、様々な香料を試しました。自社開発はあきらめ海外のパフューマーさんの作品でよいものがあったら採用することも計画案としてあがりましたが、多くの海外パフューマーさんは「なんでカサブランカなんてスキなの?」とあまり関心がない調香師さんが多いようです。
もちろん、世界にはそれなりにカサブランカや百合の香水はありますので、制作しているメーカーはそれなりありますが、海外パフューマーの創作意欲を刺激する香りでないのでしょうか?私には知る由もありません。
以上のような事情で、長い間リニューアルできずにいた「百合」は、けっきょく海外パフューマー作品起用案も断念し自社オリジナル製品としてリニューアルすることになりました。
新作の「沈香」「枝垂紅梅」とともに3月1日を目標にしておりましたが、現在モニターによるお客さまの意見をお聞きした上での最終調整中です。今月中にはリリースしますが、リリースが若干遅れております。どうぞ、ご了承下さい。
(2008-03-03)
様々な香味植物や鉱物(石油・石炭・地中成分)から採取・生成される香料や香料原料は、天災や天候不順・不作などで生産が止まることがあります。
戦争や紛争も脅威です。原産国・原産地の戦争など人的・政治的な理由で原料供給が中断したり産地が閉鎖されたりします。
あるいは原料メーカーのビジネス上の都合や、とくにEUが世界に率先して熱心ですが、法的な使用規制や使用制限も原料ストップの原因になります。
その中断された香料が香り全体の屋台に影響を与えるようなキーの成分でなければ問題ありませんし、香料がキーであっても簡単に他の香料や他の産地の香料などで代替が可能なら問題ありません。
2年前に休止に追い込まれた「フローラル・フォーシーズンズ 百合」は、まさにキーとなる香料の生産中止でした(「グリーンローズ」も現在この理由で休止中です)。香料会社さんからさまざまな代替品の原料を提案いただきましたが、最終製品がまるで違う香りになりました。
結果的に代替原料でアコードを取り直すことはあきらめ、新規にゼロから処方を組み直すことにしました。その間、様々な香料を試しました。自社開発はあきらめ海外のパフューマーさんの作品でよいものがあったら採用することも計画案としてあがりましたが、多くの海外パフューマーさんは「なんでカサブランカなんてスキなの?」とあまり関心がない調香師さんが多いようです。
もちろん、世界にはそれなりにカサブランカや百合の香水はありますので、制作しているメーカーはそれなりありますが、海外パフューマーの創作意欲を刺激する香りでないのでしょうか?私には知る由もありません。
以上のような事情で、長い間リニューアルできずにいた「百合」は、けっきょく海外パフューマー作品起用案も断念し自社オリジナル製品としてリニューアルすることになりました。
新作の「沈香」「枝垂紅梅」とともに3月1日を目標にしておりましたが、現在モニターによるお客さまの意見をお聞きした上での最終調整中です。今月中にはリリースしますが、リリースが若干遅れております。どうぞ、ご了承下さい。
(2008-03-03)
( 香水工場の )
香る生活
香料用のローズ栽培、イラン・トルコ・中国
天然香水として揺るぎない地位にあるブルガリアローズとそのライバルたちについてです。3月に入りました。ブルガリアでは寒さが緩み出し、凍る大地で息を潜めていたローズの苗がまさに力を得たように芽を吹かせようと準備しています。ここから5月収穫までの3ヶ月間は、その年のローズの出来映えを左右する大切な時期です。
ブルガリア「バラの谷」では農家の方々が、晴天と雨天・曇天が理想的な状態とタイミングで訪れることを祈るような気持ちで過ごされていると思います。そして、同じように世界のローズオイル関連関係者が固唾を飲んで待っている時期でもあるのです。
その年のクロップの出来映えがローズオイルの品質に影響するし、近年高騰が続くローズオイルの国際価格が今年どうなるかという大きな要因にもなります。当社の場合、昨年のように価格が30%も上がるようでは会社の死活問題ですし、何より品質の低下は製品の死活問題になります。
去年は北アフリカで発生した熱波が地中海を渡り、イタリア、ブルガリア、ハンガリーなどの東欧・ロシアまでをもを直撃する異常気象に見舞われましたが、そのためローズオイルの生産量も減り、品質自体に若干の衰えが感じられました。
メーカーサイドの立場から言うのは微妙ですが、正直に告白すると今現在お出ししている『ローズ・エッセンス コンシンのジェル』は2007年産ローズオイルを使用しており、2006年産『コンシンのジェル』と比較するとわずかですが香りに「華」が心もち欠けています。
仕方ありません。こういうことも含めて「天然物を使用することの本当の姿」ですので、それをお客さまに理解してもらうことも天然物を使用するメーカーの努めだと思います。そんなわけで私も武蔵野の空を見上げて「今年のバラは、どんな案配だろうか〜」と遠いブルガリアの地に思いを馳せることもあります。商売がかかっていますから。
このように天然物はその年の自然条件や天候によって出来映えに影響が出ることはワインの例を引くまでもなくみなさんもよくご存じだと思いますが、出来映えの違いは産地や自然条件だけではありません。同じ年の同じ産地内でも出来映えにムラはあります。
実際にラベンダーやローズ畑に出向き、出来映えを見ると小さな畑ならまでしも広大な土地に拡がる農場では、畑の端と端では色艶や繁り方に違いがある場合があります。日光や土壌に影響されているのかもしれません。
ブルガリア「バラの谷」で見せてもらったあるバラ畑は同じ農家の畑でしたが、小高い丘に登って見渡すと繁り方に違いが見て取れました。質問してみると品種が違うわけではなく、水はけや土壌に違いがあるのかもしれないと言われました。持ち主もわからないということです。
「産地違い」というレベルではなく、同じ産地の同じ地域の同じ農家の同じ品種でも花の出来映えに違いが生じるわけで、さらに蒸留の仕方や技術力によってもオイルの品質や収穫量はまったく違ってきます。そういうバラつきを少なくし毎年安定した品質に保つための努力の一つがブレンドです。
熟達したブレンダーたちによるブルガリアローズらしいブレンドが、ブルガリア国立バラ研究所にて行われています。ブルガリアでは、1990年初頭共産体制が崩壊するまでブルガリアローズは国家統制品の一つとして集中管理されてきました。
その統制機関がブルガリア国立バラ研究所です。育種や品種改良という研究的な機関でありながら、全国のローズ農家の産物を一カ所に集積し品質の認証と品質管理さらに営業や販路開拓・販売までを行うという、日本でいえばJAと認証機関合と農産物商社を合わせたような機能があります。
経済が自由化された現在ブルガリアではバラ農家は自家や自社のローズ産物をブルガリア国立バラ研究所に必ずしも収納する義務はありませんが、今でも多くのローズオイル、ローズウォーターがバラ研究所に集積され「ブルガリアローズ」の認証を得て全世界に出荷されています。
もちろん、かのエニオ・ボンチェフ蒸留所のように単独ブランドで世界に打って出る元気な蒸留所さんもありますが、ブルガリア国立バラ研究所お墨付き「ブルガリアローズ」も世界のブランドとして認知されています。
そういう意味でブルガリアローズの世界的な評価の高さは、ブルガリア「バラの谷」の理想的な自然環境だけではなくブルガリア国立バラ研究所という認証機関の存在が大きな役割を果たしています。
現在、世界のローズ生産はイラン、トルコが急伸しています。イランなど日本人には見渡す限りの砂漠の国のようなイメージをしがちですが、ある地域では雪を抱いた山脈があり(スキーもできる)、その雪解け水が作り出す伏流水と安定した気候や穏やな環境はローズ栽培に理想的と言われています。
実は私は、元来この商売を長くやってきたワケではないので、まったく知りませんでしたが、イランが「バラの国」としてどれだけ歴史があり、またローズ栽培にとってどれだけ理想的な大地があるのか、ある貿易商さんに教えてもらいました。
この方はマスコミにもでてくる有名な方ですが、許可が出れば、受け売りになりますが、「イランのバラ」について後日おもしろ・詳しくご案内したいと思います。
一方、中国のバラですが、国が広いだけにローズ栽培に適した山岳地帯が、特に内陸部に点在しています。発展著しい沿海地域と比較すると貧しい地域が多く同じ中国国内ながら極端な貧富の差が生まれようとしています。
ローズ栽培は、山岳地帯の少数民族にとって有望な現金収入の可能性があり、国家を上げて、そして地域政府を上げての気迫充分な追い上げを見せています。これもまた別の機会にご紹介したいと思います。
一点だけ言えば、イランもトルコも中国も「ブルガリア国立バラ研究所」に相当する機関のプレゼンスとブランディングの弱さがまだ課題です。それへんが育つとローズの世界戦は激しさを増してくると思います。余談を許さない状況です。
(2008-03-02)
ブルガリア「バラの谷」では農家の方々が、晴天と雨天・曇天が理想的な状態とタイミングで訪れることを祈るような気持ちで過ごされていると思います。そして、同じように世界のローズオイル関連関係者が固唾を飲んで待っている時期でもあるのです。
その年のクロップの出来映えがローズオイルの品質に影響するし、近年高騰が続くローズオイルの国際価格が今年どうなるかという大きな要因にもなります。当社の場合、昨年のように価格が30%も上がるようでは会社の死活問題ですし、何より品質の低下は製品の死活問題になります。
去年は北アフリカで発生した熱波が地中海を渡り、イタリア、ブルガリア、ハンガリーなどの東欧・ロシアまでをもを直撃する異常気象に見舞われましたが、そのためローズオイルの生産量も減り、品質自体に若干の衰えが感じられました。
メーカーサイドの立場から言うのは微妙ですが、正直に告白すると今現在お出ししている『ローズ・エッセンス コンシンのジェル』は2007年産ローズオイルを使用しており、2006年産『コンシンのジェル』と比較するとわずかですが香りに「華」が心もち欠けています。
仕方ありません。こういうことも含めて「天然物を使用することの本当の姿」ですので、それをお客さまに理解してもらうことも天然物を使用するメーカーの努めだと思います。そんなわけで私も武蔵野の空を見上げて「今年のバラは、どんな案配だろうか〜」と遠いブルガリアの地に思いを馳せることもあります。商売がかかっていますから。
このように天然物はその年の自然条件や天候によって出来映えに影響が出ることはワインの例を引くまでもなくみなさんもよくご存じだと思いますが、出来映えの違いは産地や自然条件だけではありません。同じ年の同じ産地内でも出来映えにムラはあります。
実際にラベンダーやローズ畑に出向き、出来映えを見ると小さな畑ならまでしも広大な土地に拡がる農場では、畑の端と端では色艶や繁り方に違いがある場合があります。日光や土壌に影響されているのかもしれません。
ブルガリア「バラの谷」で見せてもらったあるバラ畑は同じ農家の畑でしたが、小高い丘に登って見渡すと繁り方に違いが見て取れました。質問してみると品種が違うわけではなく、水はけや土壌に違いがあるのかもしれないと言われました。持ち主もわからないということです。
「産地違い」というレベルではなく、同じ産地の同じ地域の同じ農家の同じ品種でも花の出来映えに違いが生じるわけで、さらに蒸留の仕方や技術力によってもオイルの品質や収穫量はまったく違ってきます。そういうバラつきを少なくし毎年安定した品質に保つための努力の一つがブレンドです。
熟達したブレンダーたちによるブルガリアローズらしいブレンドが、ブルガリア国立バラ研究所にて行われています。ブルガリアでは、1990年初頭共産体制が崩壊するまでブルガリアローズは国家統制品の一つとして集中管理されてきました。
その統制機関がブルガリア国立バラ研究所です。育種や品種改良という研究的な機関でありながら、全国のローズ農家の産物を一カ所に集積し品質の認証と品質管理さらに営業や販路開拓・販売までを行うという、日本でいえばJAと認証機関合と農産物商社を合わせたような機能があります。
経済が自由化された現在ブルガリアではバラ農家は自家や自社のローズ産物をブルガリア国立バラ研究所に必ずしも収納する義務はありませんが、今でも多くのローズオイル、ローズウォーターがバラ研究所に集積され「ブルガリアローズ」の認証を得て全世界に出荷されています。
もちろん、かのエニオ・ボンチェフ蒸留所のように単独ブランドで世界に打って出る元気な蒸留所さんもありますが、ブルガリア国立バラ研究所お墨付き「ブルガリアローズ」も世界のブランドとして認知されています。
そういう意味でブルガリアローズの世界的な評価の高さは、ブルガリア「バラの谷」の理想的な自然環境だけではなくブルガリア国立バラ研究所という認証機関の存在が大きな役割を果たしています。
現在、世界のローズ生産はイラン、トルコが急伸しています。イランなど日本人には見渡す限りの砂漠の国のようなイメージをしがちですが、ある地域では雪を抱いた山脈があり(スキーもできる)、その雪解け水が作り出す伏流水と安定した気候や穏やな環境はローズ栽培に理想的と言われています。
実は私は、元来この商売を長くやってきたワケではないので、まったく知りませんでしたが、イランが「バラの国」としてどれだけ歴史があり、またローズ栽培にとってどれだけ理想的な大地があるのか、ある貿易商さんに教えてもらいました。
この方はマスコミにもでてくる有名な方ですが、許可が出れば、受け売りになりますが、「イランのバラ」について後日おもしろ・詳しくご案内したいと思います。
一方、中国のバラですが、国が広いだけにローズ栽培に適した山岳地帯が、特に内陸部に点在しています。発展著しい沿海地域と比較すると貧しい地域が多く同じ中国国内ながら極端な貧富の差が生まれようとしています。
ローズ栽培は、山岳地帯の少数民族にとって有望な現金収入の可能性があり、国家を上げて、そして地域政府を上げての気迫充分な追い上げを見せています。これもまた別の機会にご紹介したいと思います。
一点だけ言えば、イランもトルコも中国も「ブルガリア国立バラ研究所」に相当する機関のプレゼンスとブランディングの弱さがまだ課題です。それへんが育つとローズの世界戦は激しさを増してくると思います。余談を許さない状況です。
(2008-03-02)
( 香水工場の )
香る生活
詐欺メール・詐欺電話
体験談です。ときどき怪しい電話やメールが公私ともにきます。
会社にかかってくる怪しい電話の特徴の一つは開口一番「社長さんをお願いします」です。いきなり頂上決戦といこと。
自分が騙される分は仕方ありませんが、他人や会社に迷惑をかけないよう詐欺話には注意しなければと心を引き締めています。笑える失敗談もまた別の機会にお話したいと思います。
インターネットメールは、ビジネスや日常生活に欠かせないツールです。しかし、長年同じメールアドレスを使用していると毎日たくさんのスパムメールが来るようになります。
プロバイダ内のメールサーバにてフィルタリングを掛けて95%のスパムが自動的に削除されていますが、ときどきスパムでないメールまで切り裂いてくれるので、ちょっと悩ましいところです。
一方、ケータイの方は、ほぼ一年ごとに電話機も番号もメールアドレスも変更してきたせいか、今のところ静かです。それでもワン切りや詐欺らしき電話は何度か。
明るくハリのあるい声で「こんにちわ!工藤です。お久しぶりです」
と始まったその電話は、???・・・疑問符だらけ。
私の知り合いで「工藤」という人間は、5年くらい前まで、仲良くしていた取引先の一人だった工藤さんくらい。
仕事が変わって、連絡したことはありませんが、その工藤さんかどうか、にわかに判断できませんでした。
「こんな声だったけ?」と不思議に感じると同時に何年も会っていないので自信がないのです。
ようやく下火になりましたが、ここ数年振り込め詐欺が流行していました。
確かに電話の声だけでは本人かどうか案外わからないものです。しかも泣き声などで「おばあちゃん、オレ事故起こした」というような電話では、ご高齢の方が自分の孫と間違えるのはありえることです。
私の場合、素朴に「どちらの工藤さんですか?」と聞き直しました。
「工藤です。お久しぶりです」
これを繰り返すばかりです。ここでちょっと怪しいと感じ始めました。
この詐欺師は次の文言を準備していませんでした。案外ガッツが足りません。電話は一方的に切れ、はじめて「もしや、これが世に言う振り込め詐欺だったのかも?」と。
一方、昨夜もらった【重要なお知らせ】というタイトルのケータイメールはこうです:
「認可ネットワーク認証事業者センターを介入し、(中略)登録料金が発生し現状未払いとなった状態(中略)。本通達から翌日の正午までにご連絡を頂けない場合、身辺調査をさせて頂いた後、利用規約に伴い法廷書類を作成の上、法的手続きに切り替えさせて頂きます。(強制執行対象者となります)」
なんか専門的で権威のありそうなコトバがいっぱい。
「認可ネットワーク認証事業者センター」・・・なぞの機関
「身辺調査」・・・意味不明
「利用規約に伴い法廷書類を作成」・・・意味不明
「強制執行対象者」・・・意味不明
不特定多数を相手にしている詐欺行為の特徴は、とにもかくにも相手を「急がせること」。
時間をかけるとボロがでて、成功率が格段の下がるでしょう。私が軽くやられた詐欺もどき商談もとにかく急がされました。昔の話ですよ。
このメールにもその特徴がよくでていて「本通達から翌日の正午までにご連絡」という督促がそれです。
これでも日本はまだまだ平和で親切な人間が多く国だと思います。
(2008-02-29)
会社にかかってくる怪しい電話の特徴の一つは開口一番「社長さんをお願いします」です。いきなり頂上決戦といこと。
自分が騙される分は仕方ありませんが、他人や会社に迷惑をかけないよう詐欺話には注意しなければと心を引き締めています。笑える失敗談もまた別の機会にお話したいと思います。
インターネットメールは、ビジネスや日常生活に欠かせないツールです。しかし、長年同じメールアドレスを使用していると毎日たくさんのスパムメールが来るようになります。
プロバイダ内のメールサーバにてフィルタリングを掛けて95%のスパムが自動的に削除されていますが、ときどきスパムでないメールまで切り裂いてくれるので、ちょっと悩ましいところです。
一方、ケータイの方は、ほぼ一年ごとに電話機も番号もメールアドレスも変更してきたせいか、今のところ静かです。それでもワン切りや詐欺らしき電話は何度か。
明るくハリのあるい声で「こんにちわ!工藤です。お久しぶりです」
と始まったその電話は、???・・・疑問符だらけ。
私の知り合いで「工藤」という人間は、5年くらい前まで、仲良くしていた取引先の一人だった工藤さんくらい。
仕事が変わって、連絡したことはありませんが、その工藤さんかどうか、にわかに判断できませんでした。
「こんな声だったけ?」と不思議に感じると同時に何年も会っていないので自信がないのです。
ようやく下火になりましたが、ここ数年振り込め詐欺が流行していました。
確かに電話の声だけでは本人かどうか案外わからないものです。しかも泣き声などで「おばあちゃん、オレ事故起こした」というような電話では、ご高齢の方が自分の孫と間違えるのはありえることです。
私の場合、素朴に「どちらの工藤さんですか?」と聞き直しました。
「工藤です。お久しぶりです」
これを繰り返すばかりです。ここでちょっと怪しいと感じ始めました。
この詐欺師は次の文言を準備していませんでした。案外ガッツが足りません。電話は一方的に切れ、はじめて「もしや、これが世に言う振り込め詐欺だったのかも?」と。
一方、昨夜もらった【重要なお知らせ】というタイトルのケータイメールはこうです:
「認可ネットワーク認証事業者センターを介入し、(中略)登録料金が発生し現状未払いとなった状態(中略)。本通達から翌日の正午までにご連絡を頂けない場合、身辺調査をさせて頂いた後、利用規約に伴い法廷書類を作成の上、法的手続きに切り替えさせて頂きます。(強制執行対象者となります)」
なんか専門的で権威のありそうなコトバがいっぱい。
「認可ネットワーク認証事業者センター」・・・なぞの機関
「身辺調査」・・・意味不明
「利用規約に伴い法廷書類を作成」・・・意味不明
「強制執行対象者」・・・意味不明
不特定多数を相手にしている詐欺行為の特徴は、とにもかくにも相手を「急がせること」。
時間をかけるとボロがでて、成功率が格段の下がるでしょう。私が軽くやられた詐欺もどき商談もとにかく急がされました。昔の話ですよ。
このメールにもその特徴がよくでていて「本通達から翌日の正午までにご連絡」という督促がそれです。
これでも日本はまだまだ平和で親切な人間が多く国だと思います。
(2008-02-29)
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