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( 香水工場の )

香る生活


九州の櫨9 スローライフとハゼ蝋
シリーズでお伝えしてきたハゼ蝋の話はこれが最後です。一般の方にはちょっと詳しすぎましたが、ハゼ蝋の調べものをしている方のために多少の専門用語と裏事情なども入れさせていただきました。長い長いシリーズをお読みいただき有り難うございました。なお、この記事の一部は次回の『香る生活』に「国産ハゼ・ワックスのチカラ・・・荒木製蝋合資会社さんに聞くハゼ・ワックスの可能性」として掲載予定です。



●スローライフとハゼ蝋

近年「スローフード」という言葉が浸透し、併せて「スローライフ」という考え方も一般的になってきました。

スローフードはもともと「ゆっくり食べる食物」のことではなく、世界の食文化を席巻する米国系ファーストフード企業に対するイタリアで起きた「アンチファーストフード企業」という文化的・政治的対決姿勢でした。その内容は「その土地の伝統的な食材・食物・料理・調理方法を見直して大切にしよう」というもの。

「スローフード」の考え方は、日本で独自に発展してきた「その土地で産物を作り、その土地で消費しよう」という「地産地消(ちさんちしょう)」という考え方に似ているかもしれません。

地元で収穫可能な産物を、わざわざ防腐処理し石油を焚いて地球の裏側から持ってくる不合理を反省する気運とともによく言われるようになった言葉です。

今では「地産地消」や「スローフード」から一歩発展して「スローライフ」という生活様式が一つの生き方になりつつあります。

キャンドルナイトとは、電灯代わりにロウソクを灯して素朴なライフスタイルをときどき見直してみませんか?という趣旨を草の根的に問いかけるおもしろい活動です。

スローなライフの一環として考えられています。

「呼びかけ人」の小さな呼びかけから始まった「100万人のキャンドルナイト」は何年もかけ大がかりなイベントとして育ってきました。

趣旨が趣旨なためイベントで好まれるキャンドルもパラフィンキャンドルではなく地産地消型の和蝋燭(和ロウソク)、つまりハゼ蝋(櫨蝋)のロウソクです。

しかし、イベントでなくてもたまには蛍光灯を消して、家族でロウソクを囲んで食事をしてみようという家庭が増えていると聞きます。

スローなライフにも日本伝統の植物蝋が見直される時代の到来が見えてきました。




(2007-12-08)
( 香水工場の )

香る生活


九州の櫨8 島原半島のハゼ蝋
●島原半島のハゼ蝋

荒木製蝋がある西鉄「江の浦」駅から西鉄「大牟田」までは電車で20分。かって炭鉱の町(1997年閉山)として世界にその名を馳せた大牟田は、今ではひっそりとした雰囲気を漂わせていました。タクシーの運転手さんによるとかっての20万人都市は現在10万人程度まで減少したとのこと。

三池炭鉱(三井グループ)とその関連重工業で栄えた街並みは道路の規模もレイアウトもそれなりの威容を感じさせながらガランとして人気の少なさはやや寂しくも感じますし、あるいはアメリカやオーストラリアの街並みを彷彿させるようで「落ち着き」とも感じられます。

西鉄「大牟田駅」から15分。向かったのは三池港。フェリーで有明海を横断すればそこは島原半島。江戸幕府の残酷さを日本史に刻んだ「島原の乱」や火砕流の映像が記憶に鮮明な「雲仙普賢岳」など、島原には激動のイメージがあったのですが行ってみれば穏やかな南国の海辺の町でした。大牟田からは島鉄高速船というフェリーで1時間程度でいくことができます。

製蝋を行っている会社さんは荒木製蝋さん以外に島原に数社、その他、熊本や愛媛にわずかに残ると聞いていますので、荒木製蝋さんから一番近い本多木蝋工業所(長崎県島原市有明町)さんに行きました。

実は事前に何度かお電話などで連絡を取りましたがご不在でけっきょくアポなしの訪問となりました。インターネットではおみやげの販売もされているとの記述を見つけたため、アポはなくても手作りのロウソクでも購入できるかもと期待を寄せて出かけていきました。

その実、有明海を渡ってみたい(帰りはビール片手にサンセットクルーズになる予定です(^_^;)、海辺をトコトコ走るという島原鉄道に乗ってみたいという不純な動機があったことも事実です。

地図を片手に本多木蝋さんの工場を訪問。やはりご不在でした。歴史を感じさせる門構え。おそらく住居と工場が一帯となったお屋敷です。ご不在ながら門は開け広げられています。門の後ろに番犬が見えるのですが、とてもフレンドリーな番犬くんで、しっぽを振っていることろが歓迎ムード。この開け広げな風情が九州の大らかさのようにも感じました。

近所の八百屋さんでアイスクリームを買う間、おばさんに話をお聞きすると木蝋生産は現在もされているそうですが、ご主人は公務員をされているため平日、工場はお休みだそうです。ときどき子供たちを招き手作りロウソクのイベントなど開催されているとのこと。お話からは、どちらかといえば、ハゼ蝋産業というより、ハゼ蝋産業を歴史遺産として残すための活動をされているという印象を受けました。

今回はロウソクのおみやげは買えませんでしたが、充分満足です。本多木蝋さんにお話を伺うにはしかるべき紹介を受けてアポを取って上で再度訪問したほうがよいようです。もしそういうチャンスがあれば普賢岳の火砕流で壊滅したハゼの畑なども次回は見てみたいと考えています。

帰りは予定通りビール片手にサンセットクルーズとなりましたが、フェリー降りたら夜道を帰ることになっていたのでちょっと寂しかったです。映画のようには行きませんよね。

九州、櫨(ハゼ)の旅
三池港から望む有明海。遙か向こうに見える山が島原。

九州、櫨(ハゼ)の旅
やや寂しげなサンセットクルーズ。


(2007-12-08)
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香る生活


イチョウの葉 #3
このように身近にあって農薬がいらなくて(イチョウは、虫が寄りつきにくい樹木)、晩秋を彩り、ロマンを感じさせるイチョウ。

それがボケ(脳内血管の異常による認知症、痴呆症など)防止の薬としての効果があるらしい。

イチョウにはフラボノイドが含まれます。フラボノイドとはニンジンなどの緑黄植物に含まれるカロテノイド(天然色素系有機化合物)と似た有機化合物で、カロテノイドやポリフェノール同様、植物内の酸素発生が多いところに高い濃度で存在し、活性酸素の無毒化を行っているらしいことが知られています。

つまりアンチエイジングの救世主「抗酸化物質」として機能するわけですが、フラボノイドの場合は、特に血管への作用が大きいらしい、ということでヨーロッパでは大変人気(痴呆症やアルツハイマーには決定的な医薬品が少ないため)とか。


日本人を葬り去る現在の三大疾病は、ガン・脳卒中・心筋梗塞。

私たちの誰もがこのどれかによって人生を終了するリスクが高いことを考えるととても実感が湧きます。この三大疾病で死亡する確率は太平洋戦争中、戦争が原因で亡くなる確率より高いそうです。

先日コーヒーショップで友人と茶をすすっているとき、無駄話にでたことですが、彼の故郷の青森では脳卒中関連の病気が多い。脳卒中で倒れたりすると、現地では「当たる」と表現される。

「誰だれさんは、当たったらしい」というような使い方だそうです。

なんと恐ろしいコトバでしょう。表現が印象的で記憶に残りました。

職場のイギリス人から聞いた話ですが、ソウルに出張した際、夜現地のスタッフと焼き肉へ。マカロニに似たものがでたので、これは何だと質問すると「It is a blood tube」(血の管)と。

彼はこう言いました。「英語では、血管のことはVEIN(ベイン)と言います。BLOOD TUBEと聞いて気持ち悪くなった。ついに食べられなかったよ」。

「当たる」という言い方もニュアンスがありありですね。

東北の食事は一般に「塩辛い」、だから「当たる原因は食生活では?」と。友人によるとそれと室内の暖房が効きすぎて風呂場やトイレなどで急激な気温差に曝されて倒れる人が多いとのこと。

心筋梗塞と脳卒中(脳梗塞、脳血栓、くも膜下出血、脳内出血・・・)はともに動脈硬化や血管老化、血管内汚れが原因。

中医でも「脈」、つまり血流は医学のキーポイント。

病気の診察は「脈を診る」などと表現されるほど血液循環系は健康の重要な要素になっています。特に脳内血管の異常は今後高齢化社会では多くの人が必然的にさらされるリスクです。



イチョウ葉の安全性を調べる(日本)
イチョウ葉の効用を調べる(海外)
イチョウの葉 #5 イチョウの葉茶
イチョウの葉 #4 燃えるイチョウ
イチョウの葉 #3 脳内血管
イチョウの葉 #2 イチョウ並木
イチョウの葉 #1

(2007-12-04)
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香る生活


アンチエイジング化粧品の広告
米国にはNAD(National Advertising Division、アメリカ広告審査局)という機関があるそうです。

日本の日本広告審査機構(JARO、ジャロ)のように広告の苦情や疑問を受付けその内容を審査し、必要があれば広告主に改善を促します。


ウソや誇大広告が世界的に氾濫する現代社会ではこの種の機関は必須かもしれません。

このNADが、世界トップの化粧品会社ロレアルのアンチエイジング化粧品のある製品広告の内容を変更もしくは中止(modify or discontinue)することをロレアル社に対してに勧告したことが話題になっています(August 15, 2007)。


世界最大の化粧品会社さんなので一挙手一投足、すべてにマークが厳しく、また対立勢力の政治的な思惑の可能性もあり、額面通りには受け取れませんが、世界最大の化粧品会社さんが米国の自主規制広告団体から注意されるのは大変不名誉なことに違いありません。

一方、世界大手トイレタリー会社ユニリーバの大がかりなワールドワイドキャンペーン「リアルビューティー・キャンペーン(real beauty campaign)」の一環でプロモーションされた「Dove pro-age」(ダブ プロエイジ)の広告は、ややご高齢のおばあちゃまたちがヌード姿で「アンチエイジングの広告に出演するにはちょっとまずいかしら?」と健康的な微笑みを視聴者に届けました。

加齢を否定せず、すっぱりと「アンチエイジング」の反対「アンチ-アンチエイジング」を主張し「老いたら、本当に美しくなくなる?」という問いかけは多くの人の共感を勝ち取ったようです。

(なお、このTVコマーシャルは、お肌の露出が多いということで米国ではTV放映が禁止になっています。ユニリーバでは逆手に「Watch what we couldn't show you on TV=テレビではお見せできないものです。ぜひご覧ください」と誇らしげにWeb公開されています)。

アンチエイジングには、いろいろな意見があり、さまざまな思惑がありますが、昔と違って全員が単一方向に突進するのではなく、さまざまな主張が許容され、世界の消費者にはそれらの主張を見抜く力があり、全体としていい方向に向かっていると信じたいと思います。



(2007-12-02)
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香る生活


サンプルボトル、新ボトルへ
現在使用中のサンプルボトル(セントチューブ)は「フタが開けにくい」という欠点があります。

その前のモデルは「フタが閉めにくい」という欠点がありました。

今年3月、主力ボトルを自社オリジナルの国産ボトルから、仏サンゴバン社製にリプレイスしました。

今度はサンプルボトルをフランス製に移行することを決定し、今月(2007年12月)からフタの開けやすい新式ボトルへ順次移行していきます。

移行完了は2008年2月を予定しています。


サンプルボトル
1mLサンプルボトルの写真
(左)現行ボトル、(右)新ボトル(高さ50mm):容量はフルに入れたとき2.5mLですが、1.3mL前後を目標充填しておりますので、液面はボトルの中程に来ます。 (2007-12-01)
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香る生活


奇跡のアンチエイジング成分
現代科学をもっても解明されない老化の原因とメカニズムですが、もしかしたら近い将来遺伝子工学の力で老化を食い止め、細胞再生を促すクスリが開発されるかもしれません。

一般市場で流通していなくとも研究室ではさまざまな細胞再生促進剤が開発されています。

少なくとも「試験管内では成功した」と主張する研究者は少なくありません。

まったく老化せず、死ぬことがない時代は「技術的にはすでに到達している」と主張される研究者の方もおられます。

不老不死どころか全身の若返り(REJUVENATION、レジュビネーション)さえ可能と言われています。

それが本当なら凄い時代になったものです。

昨今の化粧品のテーマは、大筋アンチエイジングに向かっています。

そこで医薬品・化粧品原料メーカーから様々な化粧品用アンチエイジング成分・アンチエイジング原料が開発され市場にでてきています。

きょうはそんな成分の一つについての体験談です。

成分名を公表できないのが残念ですがお許しください。

日本の化粧品業界では去年から盛り上がっている(米国ではかなり前から)ある成分をテストしました。

アンチエイジングの切り札「細胞再生」を促すとされる成分です。

安全性が高くエビデンス(実証データ・証拠)もあり、その研究成果はノーベル賞受賞という栄誉までついているとなれば、誰でもなんか「効きそう〜」という気持ちになるものです。

スキンケアに配合すれば、若々しいお肌が戻るハズ(実際、そういう説明がされています)、という期待も入道雲のように。

さっそく原料を入手し、ローションに配合して皮膚へのテストを行いました。

細胞再生の状況を数値的に計測することは、それなりに大がかりで複雑です。

そこでまずはマイクロスコープによる写真撮影という定性的なものにとどめましたが、定性的な変化がなければそれ以上のテストや測定は無意味です。

原料メーカーによる使用ガイドラインどおりの使用頻度・配合濃度を遵守し、自分だけでなくボランティアとして知人二人参加してもらい合計3名で3ヶ月間(ボランティアは1〜2ヶ月)テストしました。

そして3ヶ月後・・・

私たちのお肌に奇跡は?・・・

全員結果的に「変化認められず」という結論でした。



ときどき「奇跡の成分」が化粧品業界を騒がせます。必ず仕掛け人がいますが、そんなに簡単に奇跡は起こりませんよね、といつもの結論です。

どういうテストをすれば、提供側が出しているエビデンス・データのようなデータが取れるのか、おそらく「実験方法が悪い」と言われるだけでしょう。

しかし、我々がやって結果が出ないようでは、消費者が行うであろう想定外・非連続的な使い方で結果が出るわけがありません。


踊らされただけで断念、REJUVENATIONは、まだ時期尚早のようです。




(2007-12-01)
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