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( 香水工場の )

香る生活


イタリアで買ったアロマオイル、本物か調べて
「商品には、一応成分は表示されていますが、本当かどうか、また違う成分が入っていないか分析してもらえませんか?」

というお問い合せ電話をいただきました。

問い合わせいただいたお客様には、どうも、ある機械にアロマオイルの液体を入れると成分がコンピューターの画面に表示されるようなイメージがあるようです。

実は成分分析は簡単ではありません。

食品や化粧品が安全かどうか調べる場合、普通はヒ素や重金属や特定農薬成分など有害成分としてリストアップされている成分が混入しているかどうかを検査します。

つまり、特定成分に当たりをつけて、それが入っているかどうかの検査が比較的多く行われている食品や化粧品の安全性テストです。

ところが、物体の全成分と調べたいとなると化学成分分析の専門機関に持ち込んで数十万円お支払いしても全成分を特定することは、とくに天然成分が含まれると、ある程度判別できても完全な解明は通常不可能です。化学成分分析の専門機関ではクロマトグラフィーや発光分析という手法で分析されますが、UNKNOWN(未特定成分)が続々とでてくる可能性があります。

そもそもアロマオイルを分析したら、「ラベンダー」や「カモミール」などのような植物名ではでてきません。ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、リモネン、カンファー、クマリン・・・など有機化学成分名ででてきます。これらから「それはラベンダーである」結論づけることはやや職人芸の世界。専門家によって違う結論もありうるという不安定な世界です。特に何かとブレンドされていたらアウトのはず。


悲しいことに、この種の商品はラベルに表記されてある内容を信じるしかありません。それは逆にエッセンシャル・オイルなどは信用のある会社から購入することをオススメしたいという理由にもなっています。


(2007-10-04)
( 香水工場の )

香る生活


バラの花の香りを完全に再現した香水
電話の主は、とってもマダムな感じのお方。

ご質問の内容は「バラの花の香りを完全に再現した香水、ございませんか?」というもの。今までいろいろなローズ系香水を、特にヨーロッパブランドで捜されてきたそうですが、満足できないそうです。香りの善し悪しではなく「バラとは言えない」香りだからです。

武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズならそのご要望にお応えできるでしょうか?

「申し訳ありません。不可能です。バラの香りの完全な再現は、世界のパフューマーの夢であり、調香技術の頂点です。現在科学をもってしてもバラの香りの完全な成分解明でさえできていない状態です。ひっよとしたら永遠に到達できないかもしれません」

と返答すると失望されるどころか、天然の凄さに、ひどく満足なご様子でした。この方は、真のローズファンに間違いない。

(2007-10-03)
( 香水工場の )

香る生活


秋づく。ニオイも穏やかになる通勤電車
10月ですね。秋になれば空気が落ち着くというか透明感が感じられるようになります。女性の方でしたらお洒落にも一工夫入れたくなる季節ではないでしょうか。何を食べてもおいしいこの季節、実りの秋はカラダも喜ぶ季節のようです。

黙っていてもウキウキしてくるこの楽しさは、お米の収穫、そしてそれに続く秋祭りという古来日本人が綿々と続けてきた生活に関係しているのかもしれません。秋が好きな私は根っからの日本人のようです。

とことで、当社のスタッフ、特に女性スタッフはこの時期、通勤電車の匂いから解放される時期です。仕事柄、匂いに敏感な彼女たちは街にでれば様々なニオイに遭遇します。

香水を付けすぎた人、生鮮食料品店のニオイ、おいしいニオイ、香ばしいニオイ、酸化しかけた油のニオイ・・・様々なニオイが色模様の風景のように楽しめるのですが、夏場の電車の中で、たまに遭遇する強烈な体臭はやはり苦手なようです。

「鼻が曲がりそうです」

あえて感想を聞けばこのような発言をしていました。皮脂由来大量発生細菌くんの仕業に違いありません。

しかし、そんな悩みも秋になればすぐに改善されます。心穏やかに今日も通勤電車。

(2007-10-02)
( 香水工場の )

香る生活


マスマーケットに向かうラグジュアリー5
「マスマーケットに向かうラグジュアリー」の5回目です。ブランドさんも、多くは普通の企業ですので、株主のために収益を上げ続けなければならないミッションがあります。職人芸的なモノづくりを優先するか、それとも利益を最大限にするため商品アイテムを増やし量産を行い事業拡大にひた走るか・・・悩み多いジレンマです。

今日は本来限定された人しか手にできなかったはずの「ラグジュアリー」が、ほぼすべての人に行き渡った日本の特殊な現象が述べられています。では、さっそく・・・

-------------(原文訳)--------------
そして、忘れていけないのが「過剰露出によるリスク」です。過去10年世界のラグジュアリーマーケットの40%を消費してきたと考えられている日本では、ある日本の調査機関によると94.3%もの20代日本人女性がルイ・ヴィトンの何かしらの商品を所有しているとされます。

過剰露出による悪夢へのシナリオは、たんにブランドの陳腐化と失墜に他なりません。1960年代ライセンスビジネスのパイオニアとなったピエール・カルダンは、結果的に数百種類に及ぶライセンス商品の管理不能状態に陥りました。一時期、トレンチコートで有名なバーバリーにも同じ現象がありました。1990年代中期、アメリカ人のCEOの元で進められた改革ではバーバリーのプレイドマーク(格子縞、スコットランドのチェックが起源と思われます)はビキニからベビーカーにまで及びました。

おかげでバーバリーは世界的な大ヒットの恩恵を受けたのですが、一方お膝元イギリスでは火の手があがります。フーリガンや下品な女性芸能人たちがバーバリーを愛用しバーバリーのプレイドを自分たちのシンボルにしたりしました。そんなこともあり一時期、バーバリーの帽子を着ているとナイトクラブにも入れない状態でしたが、2001年に起用されたデザイナーChristopher Baileyが、馬や騎士のアイコンを目立たせ、逆にプレイドを弱くすることでイメージの回復をはかりました。彼は新しいデザインを「くだけたエレガンス」と呼び、ラグジュアリー中に親しみを表現しようとしています。
-------------(原文訳ここまで)--------------


最近読んだ本『ブランドビジネス』(高橋克典)にはこのように書かれています:

「ルイ・ヴィトンはかくして国民的制服になり、ブルジョワだけが持つべきブランドではなく、年齢や性別を問わず誰もが安心して買え、リッチな気分になれるツールとなった」(29ページ)

階級意識が浸透しているヨーロッパでは、仮にお金ができても庶民はヴィトンには手を出さずに他のモノを買うし、しかも他人と違うものを捜すとはよく言われますが、年収2500万円のニューリッチも250万のOLもみんなヴィトンを持ち歩いて「わだかまりがない」日本では、ルイ・ヴィトンは国民服の様相を呈しつつ、それでもなおヴィトンのラグジュアリーイメージが健全であることに高橋氏は賛辞を惜しみません。

高橋氏は欧米では考えにくいこのような現象の原因を「日教組に代表される社会主義的教育」と断言しています。確かに同じバッグを持って街中で鉢合わせることに何ら違和感を感じない私たちは無個性で同一性をよしとする民族のようです。

ところで、ブランドとライセンスビジネスの関係を語るとき教科書のように語り継がれる話がピエール・カルダンです。

突然ですが、私は高校生の頃、ピエール・カルダンのショルダーバッグを持っていました。極東の片田舎のバッグショップに、まさかピエール・カルダンのような有名デザイナーの商品が置かれていたとは知る由もなく私は単純に5千円というプライスと色とデザインが気に入って購入しました。

筆記体で書かれたロゴ「Pierre Cardin」は当時読めませんし仮に読めても「ピエール・カルダン」というブランドは知りませんでしたが、どうも「高級ブランドらしい」ことは薄々感じていました。

しかし、その高級ブランドのロゴが、タオルやトイレ用スリッパなど結構いろんなところに張り付いているのに気づき、ピエール・カルダンを持っていることが「どうしても恥ずかしくて」ロゴのところだけマジックで塗りつぶそうかとも考えました。けっきょく使わなくなりいつのまにかなくなっていました。

イヴ・サンローランとともにクリスチャン・ディオール・メゾンの「プリンス」だった世界のトップデザイナー、ピエール・カルダンは、当時、極東の片田舎ではちょっと恥ずかしいブランドに成り下がっていたのです。

デザイナーからすれば、放っておいても自動的に上前(うわまえ)が上がってくるライセンスビジネスは「麻薬」のように魅力的ですが、反面ブランドの骨組みを蝕む魔物です。

ピエール・カルダン以降、ブランドではライセンスビジネスに厳しい制限を設けることが常識になりましたが、バーバリーが90年代に「ビキニからベビーカーにまでバーバリーチェック」を入れて同じ轍にはまったことを考えると、ライセンス中毒はよほど強力な麻薬のようです。

「過去10年世界のラグジュアリーマーケットの40%を消費してきた日本」とありますが、今後この主役は中国に移るでしょう。真のグジュアリーを求める大人たちの安堵するため息もどこからか聞こえてきそうです。


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---------------QUOTE--------------
There's also a risk of overexposure, particularly in Japan, which accounted for as much as 40% of worldwide luxury demand over the past decade. Already, 94.3% of Japanese women in their 20s own a Louis Vuitton item, according to one Japanese research institute.

The nightmare scenario is that your brand suddenly becomes banal or vulgar. That happened to Pierre Cardin, who pioneered the use of licenses in the 1960s only to lose control of the hundreds of products that ended up bearing his name. For a while it happened to Burberry. A British outerwear company best known for its trench coats, it underwent a transformation in the 1990s at the hands of an American CEO, Rose-Marie Bravo, who used Burberry's distinctive plaid on products from bikinis to strollers.

That made it a hit worldwide, but her strategy backfired in Britain when soccer hooligans and tart-tongued tabloid actresses adopted the Burberry plaid as their own status symbol. For a time, nightclub bouncers in Britain refused entry to people wearing Burberry caps. The firm succeeded in containing the problem to Britain and moved aggressively to resolve it. Christopher Bailey, brought in as designer in 2001, has deemphasized plaid and played up other icons of the brand, such as a horse and knight. He describes the new look as "disheveled elegance - it's luxury, but there's a familiarity about it."
---------------QUOTE--------------

(2007-09-29)
( 香水工場の )

香る生活


オードパルファム新撰組#2
周囲の人間に「あれ、どうなった?」と質問されているうちに次第に引っ込みが付かなくなってきています。逆に期待させて巻き込んで協力してもらうというのも手かもしれません。

読者のみなさんには、何のお話かまったく不明と思います。背景はこちら(オードパルファム新撰組)に。

話題性やウケねらいだけのチープな商品開発になると台無しです。商品化を前提としない制作が理想的ですが、開発費用がまるまる赤字となる事態は、たとえオヤジたちの酔狂プロジェクトとはいえ、せめてトントンくらいに押さえるのが継続可能な活動を旨とする企業の姿。プライスは付けざるを得ないと思いますが、そこは何か一ひねり欲しいところ。

また、それがほしい人にどのように届けられるのかというのも問題。商売だから売れりゃいいんじゃん、とあらゆるショップに並べることもしたくありません。まずは、熱い歴史ファンが集うであろう学研の『歴史群像』編集部さんに足を運びました。

「オードパルファム『土方歳三』をリリースしたら、読者さんへのプレゼント企画として採用いただけませんか?」

商品がない段階なので明白な返事はいただけませんでしたが前向き。商品開発中、編集部記者さんの個人的なアドバイスも頂けることになり、まずはグッドスタートです。


(2007-09-28)
( 香水工場の )

香る生活


テレビショッピングでデビュー予定
メーカーサイドで自身が開発に深く関わるとその商品に対して愛着が湧きます。『ローズ・エッセンス コンシンのジェル』は、私が全面的に商品開発に参加しただけでなく開発参加初仕事だったこともあり、気合いが入りました。

ブルガリアローズ配合のスキンケアは、市場では数万円を超えるクリームなど珍しくありませんが、『ローズ・エッセンス コンシンのジェル』はリーゾナブルなプライスながらバランスがよく非常に完成度が高いスキンケアに仕上がりました。

私はこの優れたスキンケアを全国のみなさんに知っていただくためにテレビショッピングでデビューさせようと画策しました。しかし、大手のテレビショッピング会社さんには取り付く島もありません。

この辺の事情は昨年のブログで告白しましたが、端的に言えばスキンケアはあまりにも激戦区。未だ知名度の低いブランドがスキンケアで勝負するには世間は厳しかった。製品の善し悪しの前に、そもそも採用枠がない状態です。売れる日を夢見て下積みに精を出す芸人さんのような気持ちになったものです。

反面、当社のメインプロダクトであるフローラル・フォーシーズンズを大手流通経由のショップさんや、ましてテレビショッピングなどで販売することは考えたことはありませんでした。量産する体質の製品でありませんし、実際量産していませんので伊勢丹新宿店さんだけとのお取引にとどめています。

ところが、取引先からQVCさんへの出品の打診とお誘いがきました。今年3月のことです。香水やフレグランスはそれほど激戦区ではないのでしょうか?

お取引先の紹介という事情と安心感、そして出品商品を2点「沈丁花」「金木犀」に限定することでこの秋初のテレビデビューという事態になりました。一般の方々にこのように大がかりに商品をご紹介するのははじめてです。当社には学べることも多いのではないかと予想しています。

QVCさんでの放送予定
2007年10月1日(月)13:00-13:30
出品商品:
・フローラル・フォーシーズンズ『沈丁花』 with 『練り香水 沈丁花』
・フローラル・フォーシーズンズ『金木犀』 with 『練り香水 金木犀』

 ※『練り香水 沈丁花』と『練り香水 金木犀』は非売品です。



(2007-09-27)
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