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香る生活


ビタミンE、"有添加化粧品"の実力
「有添加化粧品」というコトバを聞いたことがありますか?

グーグルとヤフーで"有添加化粧品"というワードで引いても一つも上がってこないところをみると、おそらくネットでは私がはじめて使用するコトバなりそうです。

超カンタンに、化粧品の作り方を解説すると、

「ベースに有効成分を溶かすこと」。

これだけです。

ベースとは、ローションですと水、クリームですとオイルなどです。

有効成分とは、ビタミンやアミノ酸やQ10などです。

つまり、すべての化粧品が「有添加化粧品」です。

化粧品である以上、すべて化粧品は有添加化粧品ですから世界のブランドやちゃんとした化粧品メーカーなら自社製品を「無添加化粧品」と呼ぶことはありません。



ところで、手作りビタミンオイルを試作しました。

ホホバオイル、オリーブオイル、大豆油、マカデミアナッツ、小麦胚芽油の混合オイルにトコフェロールを5%添加したオイルでもって、自分の四十肩にすり込むテストをしています。一回0.3g程度を指先に取り、直径5cmの範囲で朝夕患部に塗ります。

激しい痛みで手を上げられない状態でしたが(3ヶ月以上)、一週間程度で腕が上がるようになる回復ぶりです。まだ後ろに回せませんが、この調子なら行けそうな気配です。この一例をもってトコフェロールが関節炎に効く、などという主張をすることはサラサラありません。

また、四十肩オイルを開発して売り出そうなんているケチは仕込みでもありませんからご安心ください。それに若干湿疹が観察されますので副作用もありそうです。

この試験は抗酸化成分として有効なトコフェロールをオイル製品に多用したいのが第一の目的です。しかし、トコフェロールにはひどい独特の薬品臭があります。さらにオイル状のトコフェロールはそれ自体は肌に塗ると重たくベタベタになります。

薬事法で許される範囲で高濃度にトコフェロールを添加したいと考えている私には大きな問題です。そこで匂いのマスキングと感触をよくするテストを繰り返しているとき、自分の苦しい四十肩に処置してみたらどうよ?と思いついた次第です。

トコフェロール(ビタミンE)以外にも添加したい成分候補がまだいくつかあります。ビタミンC誘導体やカロチノイドなど。アスタキサンチンは現在チューインガムとして開発中ですが、特許の関係で当社が化粧品に使用することは不可能です。

有添加化粧品の実力は、時間をかけて読者のみなさんに報告していく予定です。
(2007-07-09)
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香る生活


日本の精油、ヒバ油

日本の三大美林


青森ヒバ(下北・津軽半島)、木曽ヒノキ、秋田スギは、日本の三大美林と呼ばれるそうで日本を代表する樹木です。高級木材としての利用が盛んですが、同時に精油が採取可能です。

ヒバ精油 = ヒバオイル


樹木は、水蒸気蒸留か水炊き蒸留でエッセンシャル・オイルが採取可能です。

花のように単に水蒸気だけを通すより大きな釜で水炊きにした方がよいかもしれません。そこは木材なりの採取ノウハウがあります。皮や葉は、幹や枝とはまた違った採取ノウハウがあるでしょう。


ヒバ精油は、フィトンチッド


ヒノキやスギ、ヒバなどに強い芳香があることはよく知られており、しかもその香りは人に優しく、細菌や虫には抗菌作用を発揮します。

森林の芳香成分を総称するフィトンチッドの一つと考えても差し支えありません。ヒバオイルの特徴的な成分が「ヒノキチオール」です。タイワンヒノキから分離精製され命名された成分です。


ヒバ精油の天然抗菌力


ヒノキチオールは、黄色ブドウ球菌や大腸菌など様々な菌に対する抗菌作用があります。

その抗菌作用メカニズムは解明されていませんが、万能抗菌成分と考えてもよいかも?(世の中の「抗菌成分」には特定の菌にしか効果が見られないものがあります)

カビの生育を阻害し、ダニやシロアリに対して防虫効果があります。そのため喘息・アトピーに苦しむ人にとっても理想的な木材ですね。


ヒバ精油生産


青森ヒバのヒバ油生産に関しては青森工業試験場さんの活動が有名です。

地元の林業、建設業、観光業など様々な企業さんがヒバ油生産とヒバ油ビジネスに関連していると聞きます。

ただし、廃業も多く生産量は減少気味とも聞いております。


コスメ・医薬品に利用されるヒバ精油


ヒバ油は、原油が精油として流通するだけでなく、化粧品や医薬品、防虫グッズなどの原料として利用されます。

ある香料会社さんはヒバ油を買い付け、歯磨き剤と育毛剤として製品化されていました。

ヒバ油に限らず、歯磨きに精油を使用するのは、かなり贅沢ながらとっても有効と思われます。

私の祖父は食塩で毎朝歯を磨いていましたが、精油はその抗菌作用のためにさらに有効です。


トゥースソルト?


岩塩に精油をまぜた製品を「バスソルト」と呼びますが、歯磨きに使用すれば「トゥースソルト」でしょうか?

口内は様々な成分を分解吸収する作用(消化)が盛んなため一般的な歯磨き剤は、それなりの毒性試験にパスする必要があります。

その含まれる多種多用の化学物質を考えれば、このような天然成分の歯磨き剤は、非常に安全かもしれません。


育毛剤?


育毛剤としては、ヒバ油はどんな原理で作用するのでしょうか?

詳細は不明ですが、おそらくその抗菌作用が頭皮の衛生を保ち、細菌や空気・日光による皮脂の酸化を防ぐためではないかと推測されます。

ハゲの原因は解明されていませんが、過酸化脂質による頭皮の老化が、脱毛の一因とのこと、抗酸化物質を頭皮に投与することはアンチエイジングとして正しいかも。

頭皮の血管拡張による栄養分補給をメインとするハゲ薬(市販育毛剤に多い)よりは、個人的には、抗酸化+アンチエイジングの方が安全で健全な手法のように感じます。






(2007-07-08)
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香る生活


厳しいEUの香料規制
とっても厳しい香料のEU規制、EUは一歩先か?それとも政治的なイニシアティブ?

香水の原料となる香料。香料の中には、昔のムスクのように危険な原料もあります。そこで危険な原料の使用を自主的に規制しようと考え出された仕組みと機関がRIFMとIFRAです。


RIFMとIFRA


・RIFM:リムフ。Research Institute for Fragrance Materials。香料の安全性を評価するための研究機関。世界の主要な香料会社などが加盟するNPO。

1966年米国ニュージャージー設立。日本の香料会社(長谷川香料、曽田香料、小川香料など)さんも正会員として参加。

・IFRA:イフラ。International Fragrance Association。RIFMの評価データを元に使用基準や規制を作成。世界の主要な香料会社などが加盟するNPO。1973年ジュネーブ設立。(Regular Members = FIRMENICH,GIVAUDAN,IFF. ROBERTET,SYMRISE,TAKASAGO)


自主規制という考え方


政府による公的機関の規制が始まる前に「自主規制」という形態で自らの製品を律する考え方は大変先進的で香水・香料にとって輝かしい歴史になると思います。

現在、世界のほぼすべての国の香料規制は事実上IFRAが発行する「IFRAスタンダード」に準拠しており政府などによる公的機関の規制は後追いの形態となっています。

「自主規制」のメリットは、いろいろあると思いますが、その一つに「行政による過剰な介入を防ぐこと」が挙げられます。

お役所や行政は面倒が大嫌い。多少なりともトラブルの元になるものはあらかじめ規制しようとするのはどこの国も同じです。

たとえば、公園のブランコで子供がケガすれば、即市内すべての公園で「安全のために」ブランコ使用禁止、公営プールで溺れる子がでるとすべてのプールが立入禁止。

もっともな名分ですが、実質誰のための安全策か疑問も湧きます。


EU化粧品指令


ところで、EU(欧州連合)には、IFRAスタンダードを超える規制があります。

「Cosmetics Directive (76/768/EEC)」。コスメティックス・ディレクティブ。「化粧品指令」と訳されることが多いようです。

日本では馴染みがありませんが、ヨーロッパで製造・販売される化粧品が準拠すべき規制です。

ヨーロッパで化粧品を販売するには日本製であろうと米国産であろうとコスメティックス・ディレクティブに準拠しなければ持ち込めません。

コスメティックス・ディレクティブ(76/768/EEC)では、香料に関し26種の香料をアレルギー物質(発ガン性、変異原性、生殖毒性を含む)として表示する義務があります(日本や米国では表示義務はない)。

そのアレルギー物質が配合成分なのか不純物なのか天然由来微量成分なのかも特定し肌への残留濃度に応じて表示義務の有無が違ってくるという厳しいさです。

コスメティックス・ディレクティブのAnnex?・Annex?にはそれぞれ使用禁止物質・使用制限物質が記載されています。


政治的な駆け引きも?


コスメティックス・ディレクティブは2003年に改正され強化されました。

そのとき、フランスの香料業界のお偉いさんがそのあまりの厳しさに「もう香水は作れない」や「規制は人体の安全問題ではなく政治問題」(EU内の各国の政治的駆け引き)といったことを発言されていたのが印象的でした。

しかし、EUは今後もさらに様々な規制を強化する方向です。化粧品成分だけでなく、プラスティック・金属の規制や地球温暖化対策のイニシアチブを取ろうとしている動きを感じさせます。

「安全」という大義名分の名の下に進められる規制。その真意は単純ではなく、また意見が分かれるところですが、少なくとも、現状リスクが高いイメージがある中国製品のEU内への無制限な流入を阻止するには今のところ有効かもしれません。
(2007-07-06)
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香る生活


日本の精油、シソ

日本人に欠かせないシソ


日本産精油シリーズ。今日のテーマはシソ(紫蘇)。「紫蘇」という漢字はイメジネーションを刺激する素敵な文字ですが、難しいので日頃は「シソ」で通しています。

シソの風味を愛する人は多く、日本全国で栽培されているとっても人気のハーブです。

道端などにも自生したりして日本の食文化に貢献してくれています。


シソ精油の産地はどこだろう?


さて「シソに精油は存在するのか」というと、流通量こそ多くありませんが一応存在します。

シソの出荷量全国3割を誇る愛知県、特にシソ農家が集まり大がかりなハウス栽培が盛んなJA豊橋市さんに電話で聞いてみました。

「あ、オイルですか?ウチは大葉ですから、全量、生で出しちゃいますね」

大葉(青じそ)の使い道は、やはり生で刻んで刺身のツマのようです。

念のため精油を精製しているところを質問したところ「う〜、どこでやっているかわかんないけど、誰かがやっておられるはずですよ」。たしかにシソからエッセンシャル・オイルを採ることはあまりポピュラーでないようです。


滝上町のシソ栽培


個人の趣味ベースは別として、シソの精油生産がコマーシャル(ビジネス)に乗る場所は、おそらく北海道だけ。

ラベンダーで有名な富良野か、もしくは滝上町。

滝上町がシソ栽培で有名なことは以前から知っていましたが、個人的には行ったこともないし、誰の紹介を通して、関係者への接触もできず、新聞で読んだ程度の情報しか私にはありません。

そこでJA滝上(たきのうえ)さんに電話してみると、委託会社さんとの取り決めにより詳細はお知らせできないということでした。

滝上町のシソ栽培は、香料会社の委託で生産し、収穫されたシソは現地で水蒸気蒸留し精製され、生産されたオイルは全量を特定の香料会社に納品する契約になっている模様です。

日本で精油といえば、北海道でラベンダー・プランテーションを開始した曽田香料さんが有名です。

北海道のシソ栽培とシソエッセンシャル・オイルの生産には、やはり曽田香料さんの陰が。



(2007-07-05)
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香る生活


大酒飲みはライトな酒を評価しない(?)
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香る生活


安眠香水の時代?
医師の処方による「睡眠薬」、処方箋なしで買える「睡眠改善薬」、「安眠枕」に「安眠体操」、「安眠CD」・・・世は安眠の時代のようです。ボクら香水関係者が安眠に目を向けないわけがないのに、考えてみればなぜか「安眠香水」は少ないようです。その理由はこうです。

ヨーロッパ生まれの香水は、生まれも歴史もテーマはずっと同じです。

ロマンチックでセクシーであること。

女を、男を、最大限に色っぽくするという使命を帯びる香水は、安眠とはほど遠い関係にあります。愛されるにしても眠れないくらい愛されること(結果的にクマができる=アイシャドウ)であることをテーマとしています。

シングルフローラルを追求する武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズは、実はヨーロッパ香水の王道とは言えず、ヨーロッパ人にすれば本流でないし「古典っぽい」とさえ評価されかねません。

先日、取引先との打ち合わせ中、あるヨーロッパの香水を見せてもらいました。ハーブ類ではありません。香水としてまじめに製品化の途上にある香りでしたが、テーマは「安眠」でした。香りはセクシーというより落ち着きがあり深いものでした。

世の中には、さまざまなブランド香水やセレブ香水が発売されていますが、それらはほぼすべてジボダン、IFF、フィメルニッチ、シムライズなどのような大手香料会社やそこに所属するパフューマーさんによって調香され制作されます。そのため、大手香料会社さんに来る開発依頼案件を見れば、次の時代のトレンドを予測するにはよいヒントとなります。香料会社さんがお持ちの案件内容を知る由はないのですが、世間話程度ならパフューマーネットワークに漏れ出てきます。

トレンドをごく簡単にいえば「ファンタスティックから自然への回帰」と言えるかもしれません。

ここでいう「ファンタスティック」とは、シャネル5番以降、現代まで綿々と続く合成香料による未知の香りを中心とするモダンパルファンの潮流を指します。90年代、エコロジーや環境意識が高まりからグリーンノートやオゾンノート(マリンノート、アクアノート)といった自然界の香りが好まれましたが、それでもアーティフィシャルでケミカルどころかキャローンのようなニューケミカルが主役だったりしました。

見せてもらった安眠香水にはEU規制に指定された26種類のアレルギー性香料フリーで、さらに「バレリアン」という天然香料が高濃度に配合されていました。バレリアンとはヨーロッパ原産の草。日本名「かのこ草」。バレリアンは、精神の鎮静作用があるとされるギャバを脳内で分泌促進する安眠ハーブとして有名です。本当に強い安眠作用があるか私自身試したことがないので何ともいえませんが、一般にはそのように評価されいます。

「EU規制に指定された26種類のアレルギー性香料フリー」は、さらりと書きましたが現在の市販香水で、実現できている製品は現状ほとんどないでしょう。

この一例からもヨーロッパの香水が、ハーブ系やアロマ系へ歩み寄る気配を見せていると感じさせられます。安眠香水が、はたして消費者に歓迎されるのか不明ですが、あってもおかしくないテーマです。

秋の夜長は、ぐっすりスリーピング ミスト
安眠香水の時代、来るか?
安眠をテーマにした香水


(2007-07-03)
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