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( 香水工場の )

香る生活


+ フィールドワーク:香水『葛の花』
香水『葛の花』の生まれた話・・(2024/03/04)

クズの香水『葛の花』

(※本記事は旧ドメイン「musashinoworks.com」内の10年以上前の記事で本ブログへの統合のため再投稿したものです、現在と違っている内容が含まれる場合があります)


青森の海岸で偶然遭遇したクズの群生


クズの花には強くて甘い芳香があります。青森を旅行中、海岸で偶然クズの群生地に迷い込みました。

よい香りが周囲に満ちていました。はじめクズの花とわからず、香りに誘われて花を探し回ると突然海岸が開けその海岸の崖にクズの花が群生していました。

別世界を思わせる光景と香りにしばし呆然となり心地よい時間が流れました。香りはどこかグレープジュースを思わせる甘さとフルーティ感。


武蔵野に咲くクズの花


東京に戻るとクズの花が案外、どこにでも咲く花であることを知り、そして武蔵野を横断する玉川上水の岸にもちらほら花を揺らしていることを知りました。

青森の海岸で偶然出会ったクズの花と香りが、フローラル・フォーシーズンズ香水シリーズ「葛の花」(2009年リリース)を制作するきっかけとなった。

記憶にとどめておいた香りをもとに調香し、季節になって吉祥寺から久我山あたりの玉川上水のほとりを散策しながらフィールドワークを行いました。

玉川上水の葛の花は豪華さ・香りともに青森の海岸を埋め尽くしていたクズの花のそれとは印象がかなり違いますが、紫色の花の香りに共通する部分はどちらの花にもよく感じられます。


クズの花の香水制作フィールドワーク( 玉川上水、葛の花の香り(2008年8月~9月) )

クズの花の香水制作フィールドワーク( 玉川上水、葛の花の香り(2008年8月~9月) )

日本人になじみ深いクズの花


クズはマメ科のつる性植物で、秋の七草の一つ。私たち日本人にはなじみのある植物です。

花はブドウを思わせる紫色の房状の花で目立つものの、葉やツルには特に目立つ特徴がないため気付きにくいと思います。しかし、空き地や雑木林、川辺の茂み、裏山の山中など様々な場所でさりげなく茂っています。


旺盛な生命力


つる性植物に共通した特徴としてクズも旺盛な生命力を持っています。どんなところにも生え、たくましく根を張り他の植物にからみついて短い期間で他の植物を覆い尽くすものも少なくありません。

クズもその例に漏れず大変な生命力を発揮します。一説に一年間で10m程度延びることもあるそうです。一年間で10mなら単純に計算すると1ヶ月で1m。毎日3cmも延びる計算になります。凄いの一言です。

明治時代、クズは米国に輸出されました。米国ではクズは緑化・土壌流失防止用植物として利用されていた。それはクズの生命力と繁殖力が評価されてのことですが、あまりに強い生命力・繁殖力のために現在では輸入クズは全米へと拡大繁殖し危険な外来種と見なされるようになったとか。

クズは「国際自然保護連合」(IUCN)の「侵略的外来種」のワースト100にリストアップされています。


日本の食文化に欠かせない葛粉


一方でクズの根には良質なデンプンが生成され葛粉(くずこ)の原料となります。葛粉から作れれるクズ切り・クズ餅・クズ湯などは日本の伝統的な食品。さらに根を乾燥させた葛根(かっこん)は漢方薬として現在でも愛用者は少なくありません。





(2024-03-04)
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