( 香水工場の )
香る生活
あたなは 30% 派? (コンシンのジェル)
(2014年11月30日、説明カード入荷、明日からドンドンお配りしますからね!)
2014年収穫のローズオイルを配合したコンシンのジェルは、今月工場生産し入荷しました。入荷以降、ミニパウチをお買い物のミニプレゼントとして配布中です。そして、制作が遅れていた説明カードが本日ようやく届きました。
今回のカードには少しだけ挑発的なメッセージを入れてみました:
「あたなは 30% 派?」
当社は、ローズオイルはすべての人に愛されるのだ!という思い込みからコンシンのジェル(スキンケアジェル)を開発しましたが、なんと天然のローズオイルの香りは、案外「苦手!」という人が多いんですね。
ローズがお好きな方にも、そうでない方びも、お買い物に1枚ミニパウチ、ついてきます。本日から刺激的な説明カードも入ってきますよ。
ぜひ、お試しあれ!
(2014-11-30)
コンシンのジェル ミニパウチ配布中
2014年収穫のローズオイルを配合したコンシンのジェルは、今月工場生産し入荷しました。入荷以降、ミニパウチをお買い物のミニプレゼントとして配布中です。そして、制作が遅れていた説明カードが本日ようやく届きました。
今回のカードには少しだけ挑発的なメッセージを入れてみました:
「あたなは 30% 派?」
当社は、ローズオイルはすべての人に愛されるのだ!という思い込みからコンシンのジェル(スキンケアジェル)を開発しましたが、なんと天然のローズオイルの香りは、案外「苦手!」という人が多いんですね。
ローズがお好きな方にも、そうでない方びも、お買い物に1枚ミニパウチ、ついてきます。本日から刺激的な説明カードも入ってきますよ。
ぜひ、お試しあれ!
(2014-11-30)
( 香水工場の )
香る生活
2014年、イチョウが燃えています
(2014年11月23日、)
(2014年11月27日、)
(2014年11月28日、)
(2014年11月30日、)
2014年、イチョウが燃えています
東京のイチョウは、落葉もクライマックスといったところです。この色彩感、いいですね。
(2014-11-30)
( 香水工場の )
香る生活
柚子クリームの生地
(2014年11月20日、製造中のバルク生地が入ってきました)
フレグランスクリーム柚子チューブ版、工場生産中です。チューブに詰める前の生地の一部をテスト用に瓶詰めして社内スタッフ全員で試しました。香りは充分にパワフルで、乾燥してきたためか、お肌に乗せて伸ばすと、あっという間にサラサラに。12月1日リリース予定です。 (2014-11-30)
柚子クリーム、工場生産中
フレグランスクリーム柚子チューブ版、工場生産中です。チューブに詰める前の生地の一部をテスト用に瓶詰めして社内スタッフ全員で試しました。香りは充分にパワフルで、乾燥してきたためか、お肌に乗せて伸ばすと、あっという間にサラサラに。12月1日リリース予定です。 (2014-11-30)
( 香水工場の )
香る生活
化粧水セミナーレビュー
保湿が切実な人も、そうでない人も、楽しい化粧水作りとなりましたことを願っております。
(2014年11月15日、化粧水セミナー)
当社でセミナーを開催しました。内容は、その前の週に京成バラ園さんで開催した「化粧水を作ろうセミナー」と同じものです。
今年6月に引っ越して以来、お客様には一度も事務所を公開したことがないので、当社にとっては、はじめてお客様をお呼びするイベントという意味もありました。
しかし、遠さが難点です。最寄りの駅は、新宿から電車で30分。そこからバスで10分から20分。さらに歩き5分。確かにイベントに適した場所ではありませんよね。
新宿から来られたお客様は「都心なら参加しやすいんですが」と「次回は都心で」というニュアンスも伝わってきました。
今回作った化粧水(ローション)のベース基剤は、100%フローラルウォーターです。
「化粧水」はその名の通り成分の大半が水です。市販の化粧水なら水95%以上、あとは保湿成分がチョコチョコ、といった成分構成が一般的でしょう。この水をフローラルウォーターに変えて化粧水を作りました。
フローラルウォーターとは花や植物から精油を採取する際にできる副産物で、精油成分が含まれて香りがよいことと、それぞれの効能が期待されることです。
市販化粧水でも、フローラルウォーターをベースにしたものはありますが、相当な高級レンジの製品になります。もしくはフローラルウォーターを配合しているものの100%ではなく水と混ぜ合わせたものなど。
セミナーではフローラルウォーター100%で作りました。こういう贅沢な原料をたまに使うのも楽しいものです。
保湿成分として、グリセリン・ヒアルロン酸・コラーゲンを配合しました。ちまたでよく聞くヒアルロン酸やコラーゲンなどの保湿成分を単品で腕などのお肌に塗り込んで、その保湿効果を実感する実験をやってみました。
京成バラ園のセミナーでは、保湿成分コーナーが予想外に盛り上がりましたので、今回も柳の下のドジョウ、と期待しておりましたら、参加されたお客様は、潤いが不足気味の方はおられず、切実さはあまりなかったようです。
当社スタッフも一般の受講生として何名か参加させてもらったのですが、この辺のメンバーは、非常に盛り上がっておりました。
質問コーナーでは、実店舗の展開計画について数名のお客様よりご質問いただきました。やはり、香水は、店舗で実際に香りを確かめながら購入したいというご意見が多いようです。
店舗を展開するには、リソース不足・人材不足など当社には大きな課題がありますが、まじめに考えたいと思います。
また、せっかくご来社いただいているので、セミナーの合間には、せめて商品(香水)のスメリングができたらうれしいというご意見もいただきました。
世間には、セミナーという名目でお客様を集め、実は展示販売会だったという話がよくあります。商品販売がメインの目的になるとちょっと微妙ですので、今回は商品販売を行いませんでした。しかし、スメリングなら、ぜひお試しいただける環境を準備した方がよいと反省しております。
寒すぎて、参加者がますます減少するかもしれませんが、同じ当社にて、1月を予定しております。内容は、香水作りになるでしょう。詳細は、メルマガやwebにて。
今回、はるばる弊社・小平事務所までお越しいただいたすべてのお客様に、この場を借りて、御礼申し上げます。
(2014-11-18)
(2014年11月15日、化粧水セミナー)
はるばるご来社、ありがとうございました
当社でセミナーを開催しました。内容は、その前の週に京成バラ園さんで開催した「化粧水を作ろうセミナー」と同じものです。
今年6月に引っ越して以来、お客様には一度も事務所を公開したことがないので、当社にとっては、はじめてお客様をお呼びするイベントという意味もありました。
しかし、遠さが難点です。最寄りの駅は、新宿から電車で30分。そこからバスで10分から20分。さらに歩き5分。確かにイベントに適した場所ではありませんよね。
新宿から来られたお客様は「都心なら参加しやすいんですが」と「次回は都心で」というニュアンスも伝わってきました。
100%フローラルウォーター
今回作った化粧水(ローション)のベース基剤は、100%フローラルウォーターです。
「化粧水」はその名の通り成分の大半が水です。市販の化粧水なら水95%以上、あとは保湿成分がチョコチョコ、といった成分構成が一般的でしょう。この水をフローラルウォーターに変えて化粧水を作りました。
フローラルウォーターとは花や植物から精油を採取する際にできる副産物で、精油成分が含まれて香りがよいことと、それぞれの効能が期待されることです。
市販化粧水でも、フローラルウォーターをベースにしたものはありますが、相当な高級レンジの製品になります。もしくはフローラルウォーターを配合しているものの100%ではなく水と混ぜ合わせたものなど。
セミナーではフローラルウォーター100%で作りました。こういう贅沢な原料をたまに使うのも楽しいものです。
保湿成分の体験
保湿成分として、グリセリン・ヒアルロン酸・コラーゲンを配合しました。ちまたでよく聞くヒアルロン酸やコラーゲンなどの保湿成分を単品で腕などのお肌に塗り込んで、その保湿効果を実感する実験をやってみました。
京成バラ園のセミナーでは、保湿成分コーナーが予想外に盛り上がりましたので、今回も柳の下のドジョウ、と期待しておりましたら、参加されたお客様は、潤いが不足気味の方はおられず、切実さはあまりなかったようです。
当社スタッフも一般の受講生として何名か参加させてもらったのですが、この辺のメンバーは、非常に盛り上がっておりました。
反省
質問コーナーでは、実店舗の展開計画について数名のお客様よりご質問いただきました。やはり、香水は、店舗で実際に香りを確かめながら購入したいというご意見が多いようです。
店舗を展開するには、リソース不足・人材不足など当社には大きな課題がありますが、まじめに考えたいと思います。
また、せっかくご来社いただいているので、セミナーの合間には、せめて商品(香水)のスメリングができたらうれしいというご意見もいただきました。
世間には、セミナーという名目でお客様を集め、実は展示販売会だったという話がよくあります。商品販売がメインの目的になるとちょっと微妙ですので、今回は商品販売を行いませんでした。しかし、スメリングなら、ぜひお試しいただける環境を準備した方がよいと反省しております。
次回のセミナーは?
寒すぎて、参加者がますます減少するかもしれませんが、同じ当社にて、1月を予定しております。内容は、香水作りになるでしょう。詳細は、メルマガやwebにて。
参加いただいたみなさまへ、御礼申し上げます
今回、はるばる弊社・小平事務所までお越しいただいたすべてのお客様に、この場を借りて、御礼申し上げます。
(2014-11-18)
( 香水工場の )
香る生活
イチョウの木が、色づき始めました
(近所のイチョウの木が色づいてきました。写真は、近所のイチョウ並木。2014年11月10日撮影)
東京の秋の最後を飾る紅葉は、やはりイチョウの木かなと思います。恐竜の時代から生き延びる太古の植物で生きた化石とも言われているそうですよ。
紅葉すると黄金色一色となり、豪快に散っていく姿が感動的です。扇形の葉の形は、強引に解釈すれば「末広がり」の縁起物。葉からは人の記憶力を増幅する成分が含まれているとも。話題性の多い樹木ですね。
この秋も日々変化していくイチョウを楽しませてもらえそうです。
(2014-11-11)
東京の秋の最後を飾る紅葉は、やはりイチョウの木かなと思います。恐竜の時代から生き延びる太古の植物で生きた化石とも言われているそうですよ。
紅葉すると黄金色一色となり、豪快に散っていく姿が感動的です。扇形の葉の形は、強引に解釈すれば「末広がり」の縁起物。葉からは人の記憶力を増幅する成分が含まれているとも。話題性の多い樹木ですね。
この秋も日々変化していくイチョウを楽しませてもらえそうです。
(2014-11-11)
( 香水工場の )
香る生活
ユズ精油工場 (エコロギー四万十社)
日本では精油産業は成立しないと言われます。
循環型ビジネスモデルでその常識をブレイクしようとする起業家さんの話・・(2014/11/09)
(右に見える蒸留器は初期の1号機。焼酎の蒸留器を参考に独自開発)
「フレグランスクリーム柚子」という新製品を開発中です。
ユズは日本国内で栽培されている柑橘植物で、持続的かつ商業的に国内生産されている数少ない精油の一つです。
ユズは人気がある香りですので、ユズ精油をベースとした食品用の調合香料(合成香料)なども多く、天然・調合のどちらの香料も入手しやすいことがメリットです。
食品用の調合香料の多くは化粧品にも応用できます。
そこで、天然のユズ精油が生産されている現場はぜひ見ておきたいと、株式会社エコロギー四万十さんに取材を依頼して高知へ行って参りました。
四万十川はとっても遠いイメージがありましたが、実際に行ってみると東京から案外さくっと行ける感じでした。
羽田から高知空港に入り、レンタカーで2時間。ひたすら海岸沿いの高速道路を愛媛方面に向かうと四万十川に遭遇し、あとは川に沿って走りました。
エコロギー四万十さんは、四万十川の中流域にありました。
ちょうどヒノキの蒸留作業が進行中でリアルな現場を体感できました。
なんでも米国でヒノキの注目度が高まり生産が追いつかない状態らしいです。
「檜舞台」という言葉があるように、ヒノキは日本では高級材木として憧れの木材です。
日本特有(日本以外は台湾にも生息)の木材で古来寺院や神殿の木材として愛用されてきました。
田辺社長によると「このへんは土佐藩の御用木としてヒノキの植林が盛んだった」とのこと。
現在でもヒノキは地場産業の一つとして周辺の山間部では植林・伐採が行われいますが、木材として加工されるヒノキは全木ではなく、とくに根元に近い部分は使用されず山間地に放置されるケースが多いそうです。
そういう放置材(林地残材)や間伐材が、現在エコロギーさんが精油蒸留のために使用しているメインの原料です。
(蒸留が終わったヒノキチップ。木材として使用されないヒノキの部位からオイルを採り、その後はバイオマス燃料として加工される)
お話を伺った田辺社長は、もともと「国鉄マン」(JRではなく「国鉄」に聞こえました)。
家庭の事情で実家を手伝うためにJRを辞めて地元に戻ることからプロジェクトはスタートします。
1999年(平成11年)、地元有志によって「株式会社エコロギー四万十」は立ち上げられました。
会社設立の目的は、バイオマスエネルギーなど再生可能な循環型エネルギーの開発。
バイオマスとは生物由来のエネルギーでヒノキなど廃材の活用が想定されていました。
エコロギーさんの事務所の壁には、循環型バイオマスエネルギーのフローチャートが掲げられています。
そこにはヒノキの廃材からいかに効率よくタービンを回して電力を生み出すか、発電事業の構想がまとめられていました。
「この会社さんは精油会社さんではなく、エネルギー開発会社さんだ」が第一印象です。
ヒノキオイルは、発電事業というシステム内で発生する副産物であり本来の目標物でないようです。
出資メンバーは、すべて自分の本来のビジネスの合間で活動しており、役員はすべて無給、もしくはごくわずかな手当程度の活動費で会社がごく最近まで運営されてきた。
それを、驚きと同時に日本では厳しいとされる精油生産が、なぜ持続可能なのか、おぼろげに理解できました。
熱い起業家魂に支えられているんですね。
ヒノキオイルは水蒸気蒸留法で採取されますが、この会社ではユズオイルも水蒸気蒸留法で採取されています。
柑橘類の果皮精油は、世界的にはコールドプレスといって低温のまま圧搾して採取する方法が普通です。
コールドプレスの方がコストも採油率も高いためですが、エコロギーさんでは発電時に生成される熱を活用して水蒸気蒸留を行うという前提があるため、水蒸気蒸留を採用する理由がありました。
水蒸気蒸留のメリットは精油以外の不純物がほとんど混入しないこと。
それだけ純度が高い精油が生まれます。
そのためエコロギーさんで生産されているユズオイルは、ほぼ日本にだけしかないユズという柑橘類の精油で、かつ水蒸気蒸留で採取された希少なオイルであり、世界的にもオンリーワンの価値があります。
エコロギーさんの工場(田辺社長は「研究所」と呼んでいた)には、多数の蒸留釜が鎮座しています。
蒸留とは物質に熱を加え、成分を分離する技術ですが、おそらく最先端の蒸留技術は石油コンビナートでの応用です。
ウイスキーや焼酎といった蒸留酒も、蒸留技術なしには製造できません。
蒸留技術は、蒸留する対象の物質によって釜の形状も抽出ノウハウもかなり違ってくるため、アナログ的な研究と経験が必要です。
職人的なカンと技も求められる技術。
工場に置かれている様々な蒸留器を見ながら、過去15年間の間にどれだけの試行錯誤があったかを思うとこの会社さんに蓄積された蒸留技術は相当なものとお見受けしました。
まさに「研究所」と呼ばれるにふさわしく、奇抜でオリジナルな蒸留装置が研究と同時にライブ・プロダクション実機として稼働しています。
田辺社長が蓄積してきたノウハウの継承はどうされるのか?と質問すると、会社の気風として、社員全員が自分たちで考え新しいやり方を見つけていくことなので、「今年やっている手法は、来年はまた違う手法に変わっているかも」とのことでした。
起業家スピリットあふれる職場ですね。
現在、エコロギーさんでは、精油ビジネスが、ようやく軌道に乗り始めてビジネスとしての可能性が感じられるところまで来ているとのこと。
しかし、会社全体の目標であるバイオマスエネルギーの事業採算性にはまだ課題が多くチャレンジは続いていくのでは勝手に空想しました。
また、軌道に乗り始めたユズオイルに関しても、採油したあとの残渣(ざんさ、残りかす)の問題があり、一方的に生産拡大は目指さないとのことです。
現在、ユズ残渣は蒸留時に生成されるユズ・フローラルウォーター(芳香蒸留水)とともにコンテナで運ばれブタの飼料として活用されています。
しかし、マスプロダクション(大量生産)に移行した場合、ブタの飼料では追いつけない量の残渣が発生します。
その残渣の有効でカーボンニュートラルな活用法がまだ解決できていないとのことです。
エコロギーさんにおける現在のユズオイル生産量は年間1.5トン。そのうち0.5トンが海外への輸出。
この高価な日本産精油が海外に売られていく事実だけでも、私には驚きでした。
本物のユズオイルが生産されている現場、それを支えている人々に出会えて幸運な取材となりました。
「オードパルファム・ショウガ」・・・こちらの工場(研究室)では、ヒノキ・ユズ以外にも様々な蒸留が行われています。
とくに私にとって感動的だった精油はショウガです。ドライブ途中、畑で多数の人が何かを収穫していたので、なんだろうとのぞくとショウガでした。
場所は、窪川町(現在の四万十町)。このエリアが日本一のショウガ産地だったことは後でわかりました。
蒸留するとその植物とは違った香りの精油が採れることが多いのですが、こちらの精油は、ショウガそのものです。
「オードパルファム・ショウガ」という香水も作れるかもと空想しました。
→ エコロギー四万十
(2014-11-09)
循環型ビジネスモデルでその常識をブレイクしようとする起業家さんの話・・(2014/11/09)
(右に見える蒸留器は初期の1号機。焼酎の蒸留器を参考に独自開発)
取材旅行
「フレグランスクリーム柚子」という新製品を開発中です。
ユズは日本国内で栽培されている柑橘植物で、持続的かつ商業的に国内生産されている数少ない精油の一つです。
ユズは人気がある香りですので、ユズ精油をベースとした食品用の調合香料(合成香料)なども多く、天然・調合のどちらの香料も入手しやすいことがメリットです。
食品用の調合香料の多くは化粧品にも応用できます。
そこで、天然のユズ精油が生産されている現場はぜひ見ておきたいと、株式会社エコロギー四万十さんに取材を依頼して高知へ行って参りました。
四万十川はとっても遠いイメージがありましたが、実際に行ってみると東京から案外さくっと行ける感じでした。
羽田から高知空港に入り、レンタカーで2時間。ひたすら海岸沿いの高速道路を愛媛方面に向かうと四万十川に遭遇し、あとは川に沿って走りました。
ヒノキの蒸留作業
エコロギー四万十さんは、四万十川の中流域にありました。
ちょうどヒノキの蒸留作業が進行中でリアルな現場を体感できました。
なんでも米国でヒノキの注目度が高まり生産が追いつかない状態らしいです。
「檜舞台」という言葉があるように、ヒノキは日本では高級材木として憧れの木材です。
日本特有(日本以外は台湾にも生息)の木材で古来寺院や神殿の木材として愛用されてきました。
田辺社長によると「このへんは土佐藩の御用木としてヒノキの植林が盛んだった」とのこと。
現在でもヒノキは地場産業の一つとして周辺の山間部では植林・伐採が行われいますが、木材として加工されるヒノキは全木ではなく、とくに根元に近い部分は使用されず山間地に放置されるケースが多いそうです。
そういう放置材(林地残材)や間伐材が、現在エコロギーさんが精油蒸留のために使用しているメインの原料です。
(蒸留が終わったヒノキチップ。木材として使用されないヒノキの部位からオイルを採り、その後はバイオマス燃料として加工される)
エコロギー四万十の由来
お話を伺った田辺社長は、もともと「国鉄マン」(JRではなく「国鉄」に聞こえました)。
家庭の事情で実家を手伝うためにJRを辞めて地元に戻ることからプロジェクトはスタートします。
1999年(平成11年)、地元有志によって「株式会社エコロギー四万十」は立ち上げられました。
会社設立の目的は、バイオマスエネルギーなど再生可能な循環型エネルギーの開発。
バイオマスとは生物由来のエネルギーでヒノキなど廃材の活用が想定されていました。
エコロギーさんの事務所の壁には、循環型バイオマスエネルギーのフローチャートが掲げられています。
そこにはヒノキの廃材からいかに効率よくタービンを回して電力を生み出すか、発電事業の構想がまとめられていました。
「この会社さんは精油会社さんではなく、エネルギー開発会社さんだ」が第一印象です。
ヒノキオイルは、発電事業というシステム内で発生する副産物であり本来の目標物でないようです。
起業家魂
出資メンバーは、すべて自分の本来のビジネスの合間で活動しており、役員はすべて無給、もしくはごくわずかな手当程度の活動費で会社がごく最近まで運営されてきた。
それを、驚きと同時に日本では厳しいとされる精油生産が、なぜ持続可能なのか、おぼろげに理解できました。
熱い起業家魂に支えられているんですね。
ヒノキオイルは水蒸気蒸留法で採取されますが、この会社ではユズオイルも水蒸気蒸留法で採取されています。
柑橘類の果皮精油は、世界的にはコールドプレスといって低温のまま圧搾して採取する方法が普通です。
コールドプレスの方がコストも採油率も高いためですが、エコロギーさんでは発電時に生成される熱を活用して水蒸気蒸留を行うという前提があるため、水蒸気蒸留を採用する理由がありました。
希少で純度が高いユズオイル
水蒸気蒸留のメリットは精油以外の不純物がほとんど混入しないこと。
それだけ純度が高い精油が生まれます。
そのためエコロギーさんで生産されているユズオイルは、ほぼ日本にだけしかないユズという柑橘類の精油で、かつ水蒸気蒸留で採取された希少なオイルであり、世界的にもオンリーワンの価値があります。
エコロギーさんの工場(田辺社長は「研究所」と呼んでいた)には、多数の蒸留釜が鎮座しています。
蒸留とは物質に熱を加え、成分を分離する技術ですが、おそらく最先端の蒸留技術は石油コンビナートでの応用です。
ウイスキーや焼酎といった蒸留酒も、蒸留技術なしには製造できません。
蒸留技術は、蒸留する対象の物質によって釜の形状も抽出ノウハウもかなり違ってくるため、アナログ的な研究と経験が必要です。
職人的なカンと技も求められる技術。
工場に置かれている様々な蒸留器を見ながら、過去15年間の間にどれだけの試行錯誤があったかを思うとこの会社さんに蓄積された蒸留技術は相当なものとお見受けしました。
まさに「研究所」と呼ばれるにふさわしく、奇抜でオリジナルな蒸留装置が研究と同時にライブ・プロダクション実機として稼働しています。
田辺社長が蓄積してきたノウハウの継承はどうされるのか?と質問すると、会社の気風として、社員全員が自分たちで考え新しいやり方を見つけていくことなので、「今年やっている手法は、来年はまた違う手法に変わっているかも」とのことでした。
起業家スピリットあふれる職場ですね。
循環型のビジネス
現在、エコロギーさんでは、精油ビジネスが、ようやく軌道に乗り始めてビジネスとしての可能性が感じられるところまで来ているとのこと。
しかし、会社全体の目標であるバイオマスエネルギーの事業採算性にはまだ課題が多くチャレンジは続いていくのでは勝手に空想しました。
また、軌道に乗り始めたユズオイルに関しても、採油したあとの残渣(ざんさ、残りかす)の問題があり、一方的に生産拡大は目指さないとのことです。
現在、ユズ残渣は蒸留時に生成されるユズ・フローラルウォーター(芳香蒸留水)とともにコンテナで運ばれブタの飼料として活用されています。
しかし、マスプロダクション(大量生産)に移行した場合、ブタの飼料では追いつけない量の残渣が発生します。
その残渣の有効でカーボンニュートラルな活用法がまだ解決できていないとのことです。
エコロギーさんにおける現在のユズオイル生産量は年間1.5トン。そのうち0.5トンが海外への輸出。
この高価な日本産精油が海外に売られていく事実だけでも、私には驚きでした。
本物のユズオイルが生産されている現場、それを支えている人々に出会えて幸運な取材となりました。
(おまけ)生姜の香水 オードパルファム・ショウガ?
「オードパルファム・ショウガ」・・・こちらの工場(研究室)では、ヒノキ・ユズ以外にも様々な蒸留が行われています。
とくに私にとって感動的だった精油はショウガです。ドライブ途中、畑で多数の人が何かを収穫していたので、なんだろうとのぞくとショウガでした。
場所は、窪川町(現在の四万十町)。このエリアが日本一のショウガ産地だったことは後でわかりました。
蒸留するとその植物とは違った香りの精油が採れることが多いのですが、こちらの精油は、ショウガそのものです。
「オードパルファム・ショウガ」という香水も作れるかもと空想しました。
→ エコロギー四万十
(2014-11-09)
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