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( 香水工場の )

香る生活


コスモプロフ8(マスターピーシーズ)
コスモプロフの展示会場内には入場手続きとは別の手続きをしないと入れてくれない特別エリアがあります。

ちょっと雰囲気がおしゃれなエリアがあったので吸い込まれるように近寄るとセキュリティの黒服さんに「INVITATIONは?」と止まられました。このエリアが「マスターピーシーズ」。

招待状がなければ入れません。

マスターピーシーズの文字通りの意味は「傑作」や「名作」。

コスモプロフでは「Artistic Perfumery」(芸術性の高い商品を有するパフューマリー)のために特別に準備された展示会場を意味しています。

パンフには、Masterpieces: the international appointment for Artistic Perfumeryと説明があります。「Selective Brands」(セレクティブ ブランド)という表現もあります。It's an exclusive meeting point for professionals. なるほどエクスクルーシブな商談スペースなんですね。

「誰か招待状をくれる人を紹介してもらえませんか?」と黒服さんに頼むと、なんと、あっさり近くのカウンターでINVITATIONを無料で発行してくれました。

名刺は出したものの何のための手続きか、その趣旨は不明ですが、とりあえず入れてよかった。

一歩踏み入れば、通常の香水メーカーの展示会とはやや異質な趣です。

まず、マスマーケットを狙うメーカーは皆無です。ニッチといえばニッチですが、小規模ながらフレグランスに対する意識の高い層に焦点を合わせた知る人ぞ知るパフューマリーさんばかりです。

その数は約90社。イタリアを中心にフランス、イギリス、アメリカのパフューマリーさんが多いようです。

このエリアではブースという観念がないらしくあまり仕切りのない、あるいはあっても低い仕切りで、一つのワクに数社入っていることもあります。

ソファも多く配置してあります。立って話すだけでなくソファに腰を下ろしワインでも飲みながらビジネスについて話しましょう、という態度がありあり。じっさいワインがおかれていたり。

出展社全社をリストアップするのは大変なので日本でも知名度がある、あるいは日本にも商品が流通しているパフューマリーをいくつかピックアップしてみると下記のようになりました。

コスモプロフでは「アーティスティック パフューマリー(芸術的香水メーカー)」と表現されていますが、日本では「メゾン系フレグランスメーカー」や「セレクティブ ブランド」に相当するパフューマリーさんと考えても遠からず。日本からの出展はなさそうです。


  • ACCORD PARFAIT アコール パルフェ
  • AESOP イソップ
  • ANNICK GOUTAL アニック・グダール
  • CARTHUSIA カルトゥージア
  • COMPTOIR SUD PACIFIQUE コントワール シュド パシフィック
  • CRABTREE & EVELYN クラブツリー&イヴリン
  • CREED クリード
  • DETAILLE 1905 デタイユ
  • DIPTYQUE ディプティック
  • e-SHAVE イーシェーブ
  • ETRO エトロ
  • FLORIS フローリス
  • LALIQUE PARFUMS ラリック
  • L'ARTISAN PARFUMEUR ラルチザンパフューム
  • LES PARFUMS DE ROSINE ロジーヌ
  • LORENZO VILLORESI ロレンツォ ヴィロレージ
  • MILLER HARRIS ミラー・ハリス
  • PENHALIGON'S ペンハリガン
  • RANCE' & C. SRL ランセ
  • THE ART OF SHAVING アート・オブ・シェービング


世界の香水市場は、超ビッグブランドさんが完全にマスマーケティングで市場を席巻しており、また一方では芸能スターによるセレブ香水の乱発で本当に香水の好きな人にとっては、今時の香水事情はややお疲れ気味です。

そんなこともあり、小規模ながらポリシーのある製品作りをしているパフューマリーに熱い関心が注がれるようになってきました。

同時に、世界的に百貨店やデパートなどの販売店サイドも並行輸入の横行などで香水のマスマーケット製品への関心を失いつつあり、新規の商品開拓に迫られています。このエリアの商談風景にやや熱気がこもるのは当然のことかもしれません。

武蔵野ワークスは、今まで展示会への出展には関心はありませんでしたが、マスターピーシーズにはやや心惹かれました。なんとってもソファに座ってワイン飲みながら商談できそうですから。

ところで、このエリアでは日本のバイヤーさんらしき人々もチラホラ目に付きました。近年まで海外でアジア系の人間を見かけると比較的日本人が多かったように思います。

最近は韓国人・中国人も多くて区別が付きませんが、こういったニッチなところまで踏み込むのはまだまだわれらニッポンジンが多いようです。

バイヤーさんにとって、特徴のある香水を探すならこのマスターピーシーズは、パンフに書かれている通り「はずせないショー(a must-attend show)」かもしれません。

(2007-05-07)
( 香水工場の )

香る生活


コスモプロフ7(ランセ)
ミラノにあるランセ(RANCE)という香水メーカーをお聞きになったことはあるでしょうか?

日本ではほとんど知られていないパフューマリーですが、本家フランスそしてイタリアでも一般消費者にとってメジャーかどうかは意見が分かれるところです。

日本で言えば京都あたりの老舗和菓子屋さんのように小規模ながら綿々と伝統を守っている老舗といったことろでしょうか。

そんなパフューマリーをイメージしていただければ近いかと思います。私自身はじめて聞くパフューマリーさんでしたが、コスモプロフに行くならランセの担当者に会ってくるよう取引先に勧められ訪問させていただきました。

なんでも1600年代に革手袋製造業者としてグラースの地で創業し、後にパフューマリーに転向した会社さんということです。

「革手袋からパフューマリーへの転向」は香水の教科書に必ず出てくる香水の歴史そのものです。

グラースにはフラゴナールやモリナールなど現在でも「グラース」という地場を意識したパフューマリーさんはいくつかありますが、革手袋の時代から綿々と続き今日パフューマリーになっているという香水の歴史を地で行く会社さんは、少なくとも私自身が直接に接触させていただく会社としてははじめてです。

しかし、なぜミラノなのですか?

エクスポート担当のアンナさんに質問してみると、グラースで創業したランセ家は、ナポレオンの時代、グラースにて本業を守るとともにパリにて活動するようになります。

当時ナポレオン・ボナパルトに献上した香水(オー・ド・ヴァインクール)がナポレオンの目に留まり、そして愛用されることでランセは香水メーカーとして飛躍することになります。

1795年には革手袋製造から完全に徹底して、香水、フラワーエッセンス(エッセンシャル・オイルのことと思われる)、クリームなどの香りを中心としたパフューマリーまたは化粧品メーカーとして転身をはかることでパフューマリーとしてここからランセの歴史が始まります。

皇帝一族との関係は、ナポレオンをはじめ、その妻、ジョゼフィーヌ、そしてナポレオン3世とその妻、ウージェニーなどへと続きます。その後ランセ家は、1800年代の終わり頃、拠点をグラースからミラノに移します。これは一族の相続問題と関係があるそうです。

現在、ランセでは、ランセ家の処方とその他香水製造に関連する多くの財産と遺品をジャンヌ・サンドラ・ランセ(マダム・ランセ)さんが受け継ぎ、伝統的な処方と現在的な技術を融合させながら香水から石鹸、クリーム、バス用品など多彩なラインアップを製造しているとのことでした。

ランセの製品は、ほとんどマダム・ランセご自身が一族に残された処方をもとに調香されるとのことでした。

パフューマーがマダム・ランセお一人かどうかまではお聞きしませんでしたが、伝統の重みは我々日本のメーカーとは趣を異にします。残念ながらマダム・ランセはコスモプロフに来場されていませんでしたが、次回はじっくりお聞きして読者のみなさんにお伝えできればと思います。

※ランセ社の正式な名称は RANCE & C. srlです。Eの上にアクサンが付いていますが、フランス語の文字の出し方がわかないのでEにしています。




(2007-05-06)
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香る生活


コスモプロフ6(今度こそパルファ・ディ・パリ)
ちょっと恥ずかしい思いでたどり着いたParfums Via Paris社。簡単に自己紹介して製品を見せていただきました。

新作が意欲的にいろいろ出されておりましたが、一つの訪問理由だった「Creature d'Anges」に関しては試作品(モックアップ)だけの展示となっていました(今秋リリース予定とのこと)。

こちらはパッケージデザイン案は固まっているとのことですが、先のFine Fragrances社同様手作りで写真撮影は許されませんでした。香りの方もまだ試作の段階ということでしたが、3種類スメリングさせていただきました。

ヨーロッパの濃厚さとはひと味違って予想通り可愛らしい香りです。日本で展開するなら強さはやはりこれくらいに押さえてもらいたというのが本音です。

「どう、弱くない?」
「日本の消費者は気に入るかしら?」

といった日本人受けするかどうかという質問には、日本の香水マーケットが小さいことを知りつつも日本市場への期待が感じられます。

ブランド戦略という意味でもヨーロッパの企業やブランドさんにとって「日本で売れている」というステータスは大きいのです。

さらに「これはいけるんじゃない?」と出された香水瓶には、ただただ巨大。見るからに1リットル程度はあります。

香り以前に「これは日本では大きすぎます」と断言しておきました。

ヨーロッパではよく売れる香水の標準サイズは、2オンス(2fl oz、約56mL)で、日本では30mL。その30mLを使い切れない消費者が多いことを考えるとかなり厳しいと思うのですが、

「中東やヨーロッパの人にはくれくらいないと」

と彼らはいたって明るかったです。





(2007-05-03)
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香る生活


コスモプロフ5(誤パルファ・ディ・パリ)
Parfums Via Paris社の訪問はちょっとハプニングに見舞われました。アポの時刻に遅れそうであわててブースを探しているとすぐに目の前にその看板が。

「おお、こんなところに」

たまたま来客者は他にいなかったのでブースに入って自己紹介。

「○○さんから連絡が行っていると思いますが、日本から新作を拝見に来ました」

女性のマネージャーらしき方に挨拶。彼女は魅力的な笑みで

「担当者が変わるというメールをもらっていたけど、あなたが新しい担当者ね。はるばる日本からようこそ。WELCOME!」

握手して名刺交換。お会いする予定の担当者とちょっと名前が違う気がしましたが、そんなことは気にせず席について香水市場について情報交換。

香水の新しい新興ブランドがどんどん生まれ、また若年層からマダムまで広範囲なユーザー層をカバーするために商品のラインアップも多彩に変化しているというパリの香水事情などお聞きしました。

て、では今日の訪問目的である「新作を拝見」というノリまではよかったのですが、ででてきたものは見慣れない香水。

私が探していたのは「Creature d'Anges(クレアチュールアンジ)」の新作。

日本でも人気の、特に若い女性に人気で、エンジェルというくらいなので、どちらかというと可愛らしい製品です。

この時点で内心「何かがおかしい」と感じていましたが、今さら、ここはParfums Via Paris社のブースですか?と聞き直して、最悪「ブース間違っていました」とは告白できず、とりあえず無難にまとめ、マネージャーさんとはハグまでさせていただき、ブースを後にしました。


私が訪問したその会社さんは「Parfums de Paris Int'l(パルファ・デュ・パリ)」

訪問予定だった会社さんはそこから30メートルくらい先にあった「Parfums Via Paris(パルファ・ディ・パリ)」。似ていますが違う会社さんでした。

この場を借りて、対応いただいたParfums de Parisのマネージャーさんにお詫び申し上げます。



(2007-05-02)
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香る生活


コスモプロフ4(Fine Fragrances & Cosmetics社)
Fine Fragrances & Cosmetics Ltd.(ファイン・フレグランシーズ&コスメティックス)社のブースを拝見。

こちら1982年にイギリスで創業したフレグランスとコスメの会社さんです。ハロッズのような高級デパートから日常品販売のドラッグストアまで幅広い守備範囲が特徴です。

日本ではおそらく「Taylor of London(テイラー・オブ・ロンドン)」シリーズにファンが多いのではないでしょうか。

Taylor of Londonというブランド自体は、1887年から存在する由緒あるブランドです。Taylor of Londonのラインには下記の4シリーズがあります。

・Lily of the Valley(ミュゲ)
・Freesia(フリージア)
・Rose(ローズ)
・Lavender(ラベンダー)

フリージアの香りを探している方って、非常に多いんですが、日本にも Taylor of London のフリージアを愛用されている方もおられるかもしれません。

上記4種類のそれぞれに、オードトワレだけでなく、ソープ、ボディスプレー、ルームフレグランス、パウダー、ローション、クリームなど10種類程度の関連商品で構成されています。

・Perfumed Drawer Liners
・Luxury Perfumed Soap
・Luxury Talcum Powder
・Ice Cologne Stick
・EDT Spray 50ml
・Luxury Shower Gelee
・Bath Soak with Essential Oils
・Conditioning Hand & Nail Cream
・Moisturising Body Lotion
・Room Fragrance Spray
・Body Spray

メーカーである私には、これだけのラインを整備することの困難さは肌身にしみてわかります。

商品の種類を2倍にしたら売上げは2倍になりませんが、開発費・製造コスト・労力までふくめたトータルコストは4倍くらいかかります。利益率を最大にしたいなら「単品勝負」したいのが我らメーカーサイドの本音であることを考えるとたいしたものです。

コスモプロフ展示会では、Taylor of Londonの新シリーズ「Teaシリーズ」のモックアップ(試作品)が展示してありました。

「グリーンティー」や「チャイ」などそのままズバリのネーミングとヨーロッパの香水にしては非常に穏やかな香調は日本人には好まれる香りではないかと感じました。

Teaシリーズにカメラを向けると、対応いただいたマネージャーさんにニッコリ「今日のことろはやめて」と手を入れられました。よく見るとモックアップは自分たちでハサミを入れて作った手作り感あふれる品。

香りのコンセプトは一応完成しているもののグローバルなマーケティングと各国の法規制対応などあり、リリースは、この秋くらいになるかもとかなり先の話でした。





(2007-05-01)
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香る生活


コスモプロフ3(飛び込みのブース)
コスモプロフは化粧品製品資材関連の巨大な総合展示会です。

全部見ようなんて腹づもりで行くと、けっきょく何も得ないまま体力消耗しますので、一番関心があるCosmopack(コスモパック=化粧品容器関連=容器、香水瓶、スプレー、キャップ、充填機)をメインに、Perfumery and Cosmetics products(香水関連&コスメ製品)は、参考程度にと計画しました。

Perfumery(パフューマリー)のパビリオンでは、ヨーロッパ中小のパフューマリーブランドが多彩に出展しており、新鮮です。


あるブースに入っていました。新興の香水ブランドさんのようです。

展示会での「ご用件は?」や「何を探しているか?」という質問されました。本当は「どこの誰?」が展示担当者が一番最初に知りたい情報だと思います。

それによって話す内容も、目の前にいるクライアントが何を探しているものかも検討がつきます。

この会社さん、15年前にグラースで創業した小さな新興香水ブランドさんでした。

グラースの伝統とインターナショナルに通用する香りをテーマにされているなどのプロフィールをお聞きしました。

接点はなかったです。むしろ、ライバル、敵情視察かと逆の警戒されて退散。

これは飛び込みのブースでしたが、実は何社か事前に訪問の予約を入れている会社さんもありました。

・Fine Fragrances & Cosmetics Ltd.社(イギリス)
・RANCE社(イタリア)
・Parfums Via Paris社(フランス)
・MAVIVE社(イタリア)



(2007-04-30)
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